LPGC WEB通信 Vol.138 2025.11.10発行

 令和7年度近畿地方LPガス懇談会が開催されました
 
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する近畿地方LPガス懇談会が、去る10月8日に開催されました。
対象の福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体等行政関係者が出席しました。

本年度のテーマとして予め設定した、
(1)保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
(2)LPガスの料金透明化・取引適正化について
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。

LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、        事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、        関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       行政…………………経済産業省、地方経済産業局
       オブザーバー………LPガス業界団体
       報道関係

議事次第
(1)開会挨拶
   近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 金丸課長

LPガスは全国総世帯の約4割、約2200万世帯で使用され、国民生活、社会生活を支える重要なエネルギーであり、またその特徴である可搬性を生かし、山間部や離島など地方においても重要なエネルギー源として幅広く利用されております。
また、災害時においては被災地を支えるエネルギーとして重要な役割を担い、発電、空調、炊き出し等に必要不可欠な燃料として避難所などにおいても活用され、まさに最後の砦としての機能を発揮しているところです。
一方でLPガス業界においては多年にわたり問題とされてきた商慣行について、その是正・改革を進めてまいりました。ご存知の通り、昨年4月に液石法の施行規則の一部省令が改正され、過大な営業行為の制限、LPガス料金等の情報提供が求められるようになりました。また本年4月には三部料金制の徹底が施行となり、LPガスの料金透明化・取引適正化に向けた取り組みを一層進めているところです。
本懇談会はLPガスにかかる諸問題について情報を共有し、問題点を把握するとともに相互の信頼を深めることを目的に毎年実施されているところです。本年も甲南大学教授の土佐先生にご参加いただいておりますので、ご助言をいただき、より良いLPガスの利用環境の構築に生かしてまいりたいと思っております、と挨拶がありました。

(2)懇談 司会・進行:甲南大学 法学部 土佐教授

テーマI.「保安」について

(1)学識経験者委員による経済産業省ガス安全室の事前プレゼンテーションに関し概要のとり纏め
(2)消費者委員からの質問・意見等

(3)消費者委員からの質問に対する事業者委員からの回答・意見等
テーマI.に関して以下の議論がありました。

2020年度以降LPガス関連の死亡事故は起きておりませんが、2024年度の事故件数は前年度より増えています。事故原因で1番多いのが戸建て住宅の他工事事故です。敷地内に埋設配管があるとは知らない消費者、事業者がたくさんおります。こうした事故を防ぐために工事事業者、消費者の方に埋設配管があることを周知徹底していただきたいと思います。
また、消費者の起因事故を防ぐために、ガス機器やガス栓の誤使用を防ぐことはもちろんですが、ガス漏れ対応にする3点セット、特に消費者の身の安全を守るためにはガス警報器の設置が必要だと思います。事業者の方々の積極的な呼びかけもお願いをしたいと思いますが、消費者自らもガス警報器を取り付けるようにしたいと思っています。

最近、自然災害が多いですが、ボンベが流出することはなかったかとは思います。私どものところではどちらかというと雪害になります。豪雪地帯ですので皆さんそれぞれ管理されていて、事故になったようなことは今までありませんでした。ただ、水害は以前に起きたことがあり、そういったことが起きた時にどうしたらいいかということを教えていただけたらありがたいです。

改正からちょうど1年が経ちました。この間大変なご苦労されたのではないかと思っております。悩みの種であった諸々のことが非常に少なくなってきたということです。大阪府では大幅に減少しています。それというのも消費者と流通関係の話、安全の問題など、さまざまな問題を話し合う機会があります。
また、安全安心にお使いいただくためにというチラシにより消費者啓発も十分やっていただいていることで苦情が少なくなった原因ではないかと思います。
しかし経済産業省への通報が月平均141件あり、一部の事業者で改正にそぐわないような商売の仕方をされているという実情もあります。改正されているにも関わらず従わない事業者もいるということです。法律ができたからそれで終わりではなく、これから監視そして指導が必要になってくると思いますので、厳しい目を持っていただくようよろしくお願いいたします。

福井県は2004年7月に福井豪雨という水害があり、その時に多数のボンベが流出しました。当時は過流防止弁のついた高圧ホースがなく、生ガスが吹きっぱなしのまま川に流されて全部大気放出する形となりました。ところが後日、土の中に埋まっている容器をユンボなどで掘り起こす際に、もし中身が入っていた場合には確実に二次災害が起きていたと思います。
結論として、地震に関しては流出防止の高圧ホースは有効ですが、水害に対しては逆に危険という認識です。現在ハザードマップ上で水害対策のエリアをお知らせしていますが、福井豪雨の時、ハザードマップは関係ありませんでした。山の小さい川が氾濫して、それで土砂崩れや水害がありました。そこで福井県としては法律上のハザードマップに関係なく、全戸にボンベの二重掛けチェーンを推進してきました。現在ほぼ完了している状態という報告を受けています。

京都府の場合、京都府が作成された京都府マルチハザード情報提供システムというホームページがあります。それを開けて京都府の各市区町村をクリックすると地図が出てきまして、そこが例えば、水害の場合、水没するのが○m以上の可能性があるとか、南海トラフの場合には震度○度強の恐れがあるといった地図が出てきます。誰もが見られるので、日頃から自分たちの住んでいる地域がもし水が浸ったらどれぐらい来るのか、地震がもし来た場合にはこの辺どうなのだろうか、ということで、それを役立てる場合があります。

兵庫県では他工事事故に関しまして、保安講習会等で事業者に指導はしておりますが、兵庫県独自に埋設管の表示シールを作りまして、それを埋設管のあるところに貼っていただいて他工事事故がないようにと啓蒙しています。

テーマII.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について

(1)学識経験者委員による資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターの事前プレゼンテーションに関し概要の取り纏め
(2)消費者委員からの質問・意見等
(3)消費者委員からの質問に対する事業者委員からの回答・意見等
(4)自治体から取り組みに関する報告
(5)行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて

テーマII.に関して以下の議論がありました。

三部料金制につきまして多くの消費者に届いていないように思います。したがって、事業者から周知していただけるといいかと思います。消費者の中には何世代も前からLPガスを使っていて、契約書などは見たこともなく、事業者を信頼している形になっています。しかし、ルールが変更になるようなことがある場合は、消費者に届けていただけたら有難いと思います。

LPガスの利用者が約4割ということになっていますが、他社への切り替えが大変難しいと思います。
一方で人材確保が最近厳しい状況になってきていますので人材確保、それから料金についての丁寧な情報提供ができる人材の育成が必要だと思います。それは料金の情報提供だけではなく、LPガスに関する安心安全な情報も含めて、消費者と情報提供が測れるようなコミュニケーションを期待したいと思います。その中で料金構成を可視化することで明らかにして、より消費者に分かりやすくお伝えいただけると安心して利用できるのではないかと思います。

貸付配管について、戸建て住宅であれば貸し付けを行っていて解約した場合には残債を払うというのは理解できますが、集合住宅の場合、三部料金制になり設備のリースを貸し付けのところにするのか。オーナーが配管を支払っていれば変更しやすいと思いますが、貸付配管で減価償却した場合、後に住んでいる人は例えば20年経ったら払わなくていいのか、その辺りが分かりにくいです。
LPガスについては明確化されていて、説明がされているので消費生活相談での相談はほとんどありません。ただ、アパートの中でLPガス事業者を変えることができるのかどうか即答ができないのが現状で、契約がどうなっているのか気になるところです。

料金透明化につきまして、賃貸住宅またはアパートの料金の透明化についての話だと思います。戸建て住宅においてはそういったことは言われていないと理解しておりますが、滋賀県においても、料金透明化または過大な営業行為の禁止について不動産事業者または建設事業者等に文書で周知したということがあります。
過去には給湯器を無償で提供するというのが当たり前の時代がありましたが、近年はアパートのオーナーまたは不動産事業者からの話はかなり少なくなっています。その面で我々が消費者の皆様に、可能な限り丁寧な料金の説明をしていかなければならないと思いますし、また消費者の皆様も集合住宅に入居される前、契約される前に不動産事業者から料金の説明を事前にしていただく、そして料金が高くて分かりにくい場合は入居しなくていいと思います。可能な限り納得のいく料金で、納得のいく入居をしていただくのが一番望ましいと思います。

ブローカーの件について、関西はブローカーが少ない地域ですが、ブローカーが利益を得るというのはあってはならないということで、特に大阪におきましてはブローカー行為があった場合については早い段階で協会に情報が上がってきます。最終的にブローカーは配送を受けてくれるところがなければ消費者に渡すことはできないので、ブローカー行為があった場合については、そういった消費者を受けない、ということが一番大事だと思います。

人材の確保に関して質問がありましたが、どの業界も人材の確保というのは難しく、LPガス業界も悩んでいます。現在は保安ガスメーターがあり、オンラインで保安情報やガス指針を毎日取れますし、検針は自動で検診をし、配送が月5回だったのを3回にできるということで時間が他に取れますので、社員に有給休暇を多く取ってもらい、環境が良くなるように努力しています。
育成に関して、協会としては年2回保安セミナーを開催しており、若い人材で青年部会を通じてお互い防災訓練への参加や勉強会を開いて研修しています。

(3)総括:甲南大学 法学部 土佐教授
全体を総括し土佐教授より以下のコメントがありました。
これまで戸建て住宅に関しては料金制度の開示や見える化を含めて前進してきたと思いますが、今回の施行規則等の改正は集合住宅における商慣行の改善に焦点が合っていると思われます。 3つのうち1つ目は過大な営業行為の制限で、これは事業者にとってもオーナーやデベロッパーからの要請に対して抵抗策を提供しているという面もあると思っています。「今度ルールが変わって今までのようなことはもうできません。」と断る理由にもなりますので、そのような意味でも利用価値があるということは強調しておきたいと思います。
2つ目、三部料金制の徹底ということで、他の商品やサービスでも二重価格表示や怪しげな価格表示というのは当然あると思います。
しかしLPガス業界でどうして透明化を図らなければいけないかというと、エネルギー間の競争が今後の少子高齢化、人口減少社会の中では一層進展する、端的に言うとIHが競争相手になります。皆さん方が中心になってご努力している分野、地域でこそエネルギー間競争が激化する一方だと思いますので、そういう意味でもユーザーに選ばれるLPガスになっていくためにはどうしても超えなくてはならない大きな壁だと思っています。
それは単に身内ひいきで言っているのではなくて、国土の健全な発達や防災など、公共的な価値実現という見地からも非常に重要な産業取引であると思います。そういう意味で、三部料金制の徹底ということをご配慮賜わればと思います。
3点目が賃貸集合住宅の入居希望・相談者に対する不動産取引店頭等におけるLPガス料金の情報提供について、これは当然のことながら液石法の直接の目的でありません。従ってこれは国交省マターですが、エネ庁、国交省、消費者庁、この省庁間連携を現状よりも一層強化していく仕組み作りについて、具体的な今後のデザインに踏み込んでいただければいいのではないかと思っています。当然、他省庁の話に踏み込むのは難しいということは重々承知していますが、例えば経産省が所管している他の取引分野、中小企業受託取引適正化法(取適法)が今回この通常国会で通過したと思いますが、昔の下請法です。例えばそういう中で省庁間の連携における根拠規程を条文化していますが、そういうものを1つのヒントにしながら、省庁間連携の実効性をどう高めていくかについて、頭のひねり方、創意工夫はあり得るのではないかと思います。
以上、長々と述べましたけれども、液石法施行規則等改正に関する3つの課題それぞれに、事業者にとっても直接、間接に大きなメリットのある話だと理解しておりますし、消費者については言うまでもなく大きな前進だと思っておりますので、制度の形を作って魂をこれから入れていくということに本格的にそれぞれの立場から着手していただければありがたいと思います。
(広報室)