LPGC WEB通信 Vol.137 2025.10.10発行

 令和7年度中部地方LPガス懇談会が開催されました
 
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する中部地方LPガス懇談会が、去る9月16日に開催されました。
対象となる愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体等行政関係者が出席しました。

本年度のテーマとして予め設定した、
(1)保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
(2)LPガスの料金透明化・取引適正化について
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。

LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、        事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、        関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       行政…………………経済産業省、地方経済産業局
       オブザーバー………LPガス業界団体
       報道関係

議事次第
(1)開会挨拶
   中部経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 鬼頭課長補佐

本日のテーマは昨年度に引き続き、保安とLPガスの料金透明化・取引適正化と伺っております。保安につきましては46年前の1979年、年間793件起きていたガス事故を減らすための取り組みを、事業者、ガス機器、ガス警報器メーカーの皆様と行政で一体的に進めた結果、2024年には217件ということで、ここ数年は年間200件前後で推移しております。行政としましては、LPガスを安全に使っていただくために、さまざまな方法で安全啓発を引き続き行ってまいります。
LPガスの料金透明化・取引適正化につきましては、令和6年7月7日に液石法の改正省令が施行され、過大な営業行為の制限とLP ガス料金の情報提供にかかる規則が設けられ、その後、本年4月2日からは三部料金制の徹底についても施行されたところです。令和6年7月以降、これまで3回にわたり液石ガス流通ワーキンググループが開催されておりますが、その中では商慣行是正の実効性確保に向けて、国交省、消費者庁、厚生取引委員会といった各省庁と連携し、監視執行体制の整備、違反行為の取り締まりや市場監視、モニタリングといった取り組みの徹底を進めていくとされています。こうした動きの中で、当局として日々管内の事業者から商慣行是正に関するご質問を受けることがあり、これは事業者の皆様が、法令遵守の意識を持っていただいているからこそだと考えております。他方で商慣行是正の趣旨が浸透していないのではないかと思われるようなケースもあります。その中で、当局としては真摯に法令遵守に取り組んでいる事業者に不利益が生じないよう、不適切な事例への監視指導を緩めずに、商慣行是正の実効性をより高めていくように取り組むと共に、通報フォームや実際のヒアリング等で把握した情報について、立ち入り検査権限を持つ資源エネルギー庁、地方経産局、自治体で共有して適切な対応をしてまいります。
LPガスはボンベで供給される分散型エネルギーであるために、持ち運びがしやすく、長期保存ができ、品質劣化が少ないといった利点があって、全国どこへでも供給可能であることから、災害に強いエネルギーであるとされています。能登半島地震の際に炊き出しへの利用や、さまざまなニーズに対応し仮設住宅にも用いられたことで、その重要性が改めて見直されているところです。
事業者が法令遵守と真摯な取り組みを取り続けることによって、今後もLPガスが一般消費者から選択されるエネルギーとなり、国民生活を支えるエネルギーの一翼を担っていただくことを期待しております、と挨拶がありました。

(2)懇談 司会・進行:名古屋工業大学大学院 社会工学専攻 渡辺教授

テーマI.「保安」について

(1)学識経験者委員による経済産業省ガス安全室の事前プレゼンテーションに関し概要のとり纏め
(2)消費者委員からの質問・意見等
(3)消費者委員の質問・意見に関する事業者委員からの回答・意見等

テーマI.に関して以下の議論がありました。

近年、気候の極端現象が増えており、それに伴って残念ながら生活インフラの被害が今までよりもさらに身近になっています。災害時の対応についての周知啓発のパンフレットをご紹介いただいておりますが、こちらの周知拡大は引き続き積極的に進めていっていただければと思います。
また、消費者の保安の事故事例としてご紹介いただいた使用時の事故について、消費者側も自分の敷地の地中の配管の配置を知らないといけないと感じましたので、理解や周知など消費者団体としても努めていきたいと思います。
他工事の事故防止について、ガス会社に連絡してくださいとプレゼン動画にはありましたが、ガス会社に直接連絡するのは消費者にとってはハードルが高いので、工事事業者にガス配管の有無などを必ず確認するように注意喚起ができないかと思いました。

長くLPガスを使っている方は多いのですが、その方たちも高齢になってきて、慣れもあって危険性に対する意識が薄れてきています。それから、集合住宅などでご利用の若い方々に聞くとLPガスと都市ガスの違いを理解していない方も多いので、LPガスを設置する事業者には改めて新しく利用される方あるいは年度をまたぐようなタイミング、またはボンベを交換するタイミングで、パンフレット配布や安全に関するお声がけをいただくようなことが必要ではないかと思います。

消費生活相談センターの相談窓口では、消費者から価格や事業者の信用性についての相談は多く寄せられますが、保安については実際大きな事故などニュースで話題にならないと消費者は関心を寄せないのが現状だと思います。今回の保安についてですが、水害による容器の流出防止対策として容器の鎖の二重掛けが挙げられますが、近所では二重掛けされていない家庭が多く見受けられます。この水害対策について、浸水の恐れがある地域については、リーフレットですでに昨年6月1日までに容器が浸水によって流されることを防止する措置が講じられていることを広報されていますので、広く社会に広めて浸透させたいと思います。

私どもは事業者として定期的に消費者に対して安全にガスを使っていただくような周知、これは法律で定められた義務ですので、正しい使い方などお伝えしておりますが、ご指摘の通り面前で消費者に説明をする機会が少ないのは事実であります。消費者とコミュニケーションを取る中で実際にお願いしているのは消費者宅に行った時には何か不自由がないかといった話は聞きますが、一歩踏み込んだコミュニケーションの取り方が必要というのは感じました。例えばガス器具を販売する時も、消費者の状況を聞いてそれに合ったガス機器を提案する。例えば30分で必ず切れるような機能のコンロもありますので、高齢者にはそういう機器を勧めるといった形で消費者に安全に使っていただくような活動を今後もしていきたいと思います。

災害関係につきまして、中部5県で協定を結びまして、災害時の対応ができるというような、あるいはすぐ人を送り出せるような体制を取りつつあります。また、各県では災害対策要綱を各県の個性に合わせて対応できるよう、災害対策要綱は事業者が災害時に動く際の基本になりますので、現在すり合わせをやっています。各県は石川県の能登半島地震の災害をもとに勉強させていただいて対応しようということで、ピッチを上げてやっています。

能登半島地震に関しまして、現在解体工事が進んでおり、ここに来て地震の際に埋まったガス容器が出てくるということが増えてきています。ガス容器に書いてある連絡先が見えないというケースも多いので、協会に連絡があれば回収するという体制を取っています。能登半島地震以前のここ数年で、珠洲での地震が多かったことや県内でも水害が発生しており、ガス容器流出防止のチェーンの二重掛けや、過流出防止タイプの高圧ホースへの切り替え、またマイコンメーターも普及しているため、実際に災害時にガスの漏洩による事故はほとんどなかったように聞いており、対策は効果を上げているかと思っています。

テーマII.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について

(1)学識経験者委員による資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターの事前プレゼンテーションに関し概要の取り纏め
(2)消費者委員からの質問・意見等
(3)消費者委員の質問への事業者委員からの回答・意見等
(4)自治体から取り組みに関する報告
(5)行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて

テーマII.に関して以下の議論がありました。

昨年改正された省令が今年度4月から全て施行されることになりましたので、LPガスの取引適正化がより進むことを期待しております。その中で1点懸念点があります。LPガスの取引適正化を確実にするためには、例えば賃貸住宅の場合であれば不動産事業者または賃貸住宅のオーナーとLPガス事業者の双方が改正内容を知っている必要があります。しかし、改正省令による規制は賃貸住宅のオーナーが対象ではないため、改正の内容についての認知度には差があると思います。しかしながら、規制がかからない賃貸住宅のオーナーや不動産事業者の認知度は100%であるべきと考えます。そのためにもLPガスの関係者全てが周知、啓発に努めて欲しいと思います。またオーナーや不動産事業者の認知度を向上するためには認知度調査なども有効ではないかと思いますので、検討を是非お願いしたいと思います。

三部料金制の促進については、設備料金の名称がバラバラであるということが資料に書かれていましたが、名前を統一するという形も必要かと思います。統一する際に再度事業者が周知できるのではないかと思います。
商慣行見直しに向けた取り組み宣言について書かれていましたが、取り組みの目印になるような表示があると消費者にとって良いのではないかと感じました。

改正省令で過大な営業行為の制限、三部料金制の徹底、LPガス料金の情報提供の3つが明確化されたことは本当に素晴らしいことだと思います。消費者のリテラシーを上げなければいけないということが言われていますが、真面目にやっている優良な事業者がひと目で分かるような仕組みがあると消費者が事業者を選ぶ際に安心感が生まれると思います。

法令改正以降、特に集合住宅でのガスの切替事案は大幅に減っていまして、それなりに理解をされて、効果があるかと思いますし、最近不動産会社で設備更新のための共済みたいなものを作り、不動産会社もある程度、法令改正については理解をいただいてるかと感じています。
三部料金制についてもアンケートを取りまして、概ね導入はされていますが、特に小規模事業者で請求書の表記が正しくできていないなどの課題があり、その辺をもう一度徹底していかなければいけないですし、特に小規模事業者ではこれまで設備投資がないといった感じで、設備費用自体元々必要ないという感覚の事業者が多いので、その辺が理解されていないと感じています。
自主取組宣言につきましては、法改正の前から機会あるごとに会員に案内していますが、現状でも宣言を公表している事業者が少ないということで、この辺は課題であると思っています。多くの中小事業者はホームページも持っていないといった事情もありますが、その点についても理解が進んでいません。いろんな考えはありますが、消費者が見たら自分で選択できる材料を与えなければいけないので、ネットの得意不得意があってもホームページを作って自分はこうやっていると公表していかないといけないので、引き続き会員にはホームページで取り組み宣言を公表して、法令改正に対して適正に対応していくよう伝えていかなければいけないかと思っています。

立ち入り検査については令和6年度の実績を取りまとめている状況で、三部料金制はまだ法施行されていないということで、ガイドラインに基づく指導という形で行っています。
今年度も指導保安業務の自主方針の中で三部料金制について語っており、それに基づいて各振興局の指導保安係で発見次第、指導する形になっておりますが、ワーキンググループの中でも中小零細企業におけるソフトの更新が思うようにいかないというところも公表されております。それについては我々が発見した際に改修の計画など投資関係を聞き取りながら指導していく形になると思います

問題になっているのはブローカー等による強引な勧誘や切替営業です。悪質なブローカー行為に対して、県協と警察の名前で特商法違反の取り締まりをしていくという文書を出させていただきました。ブローカー名とそれを買っている事業者名、そこを対応してほしいということをお願いしています。真面目な事業者がしっかり商売できる体制を作っている最中です。

自主取組宣言について多くの方が誤解してるのは、経産省が言っているからやらなければいけない、あるいは協会が言っているから事業者としてやらなければいけないくらいにしか考えていません。でも、そうではなくこれは消費者とのお約束です。したがって消費者との約束なので早く取組宣言を出してくださいと話をしています。

(3)総括:名古屋工業大学大学院 社会工学専攻 渡辺教授
全体を総括し渡辺教授より以下のコメントがありました。
ここ4年ほど参加させていただいて、最初の頃よりもだいぶ消費者側と事業者側の距離感が縮まってきているかと思います。これは国がご尽力いただいた省令改正という具体的な共通のベースができたということが大きいかと思います。ただ法令はあくまで法令ですので、魂を入れなければいけないという議論の中で、今日は具体的な課題などが注出できたと思います。特に「リテラシー」というのがキーワードの1つになっています。高齢者に対してリテラシーは難しく、今日の参加者のレベルではお互いがなんとなく理解できましたが、具体的にユーザーである消費者、それから具体的に販売を行う事業者のリテラシーを同じレベルに上げて、特にきちんと商売を行っている事業者が消費者から選ばれるような仕組み、その中には悪徳ブローカーを排除する仕組みを作り、最終的には消費者保護という ところで安全に使っていただく。一方で事業者も経済合理的に物が売れるという世界を作るための法令ができましたので、今後は具体的議論に進めるのではないかという印象を持ちました。
(広報室)