LPGC WEB通信 Vol.127 2024.12.10発行

 令和6年度九州・沖縄地方LPガス懇談会が開催されました
 
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する九州・沖縄地方LPガス懇談会が、去る11月19日に開催されました。
対象の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。

本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。

LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、        事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、        関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       行政…………………経済産業省、地方経済産業局
       オブザーバー………LPガス業界団体
       報道関係

議事次第
(1)開会挨拶
   九州経済産業局 資源エネルギー環境部 砂入次長

本年4月2日に液化石油ガス法の改正省令が公布され、7月2日に本省令の一部、過大な営業行為の制限、LPガス料金等の情報提供について施行されました。来年4月2日からは三部料金制の徹底を図るとともに、新規契約においては LPガス消費と関係ない設備費用のLPガス料金への計上禁止、賃貸住宅向けLPガス料金においては、ガス器具等の消費設備費用についての計上が禁止され、本改正により価格の透明化や取引の適正化がより一層進むことが業界内外から期待されております。また、三部料金制の徹底により、消費者の皆様にもこれまで不透明でなんとなく高いと思っていたLPガス料金の内訳が見られるようになります。LPガス料金の請求が適正なのか、LPガス料金とは関係のない設備の費用を支払っていないかなど、しっかりとご確認いただき、商慣行是正に向けた機運を高めていっていただければと考えております。
我々、九州経済産業局としてもこの期に、業界の皆様と共に長年の課題であった商慣行是正を貫徹したいと考えております。資源エネルギー庁(以下、エネ庁という)の液化石油ガス流通ワーキンググループでも話に上がりましたが、正直者が馬鹿を見るといったことがないよう、取り締まりの強化をはじめ、改正省令の解釈や判断事例といった情報をいち早くLPガス事業者(以下、事業者という)の皆様にお伝えするなど、健全な競争環境の整備に努めていかなければならないと考えております。そういった事業環境のもと、事業者が互いに切磋琢磨し、思考錯誤していく中でサービスを進化させることでLPガスが引き続き我が国の重要なエネルギーとして消費者から選ばれ続けるものになると確信しております、と挨拶がありました。

(2)懇談 司会・進行:福岡大学 商学部 笹川教授

テーマⅡ.「保安」について

① 経済産業省ガス安全室による事前プレゼンテーション概要の取り纏め
② 消費者委員からの意見・質問等
③ 事業者委員からの回答等

テーマⅡ.に関して以下の議論がありました。

自宅ではLPガスを利用していますが、先日4年に1度の定期点検をしていただきました。また、自宅は賃貸住宅ですが警報機をつけていただいております。シャワーから湯舟の時期になりマイコンメーターが先日止まったのですが、メーターのところにきちんと防水措置を施した説明書きが取り付けられておりましたので、無事自分で再度ガスを通すような作業ができまして、寒い思いをせずに済みました。このようにLPガスの利用につきましては、業界挙げての努力がなされているところですけれども、今回はガス栓が2つある理由とともに、ガス栓のカバーなど新たに「見える化」した対策をご紹介いただきました。また、戸建て住宅等で防草シートを使う機会が増えているかと思いますが、それに対しての注意点についても理解を深めることができました。このような機会を活用して色々な情報を提供していただければと思っております。

私のところはオール電化です。引っ越してからオール電化ですが婦人会館はLPガスです。だから両方を使っている形になっていますが、会員の中にはLPガス使っていらっしゃる人のほうが多いと感じています。私がオール電化にした頃に姉にも進めたことがありましたが、LPガスがいいってことでずっとLPガスを使っています。昔に比べれば事故もほとんど聞かないです。安全的なものを一番に考えていて、その辺が不安でオール電化にする方も多いと感じていますが、その辺をお聞かせいただければと思います。

今のLPガスの機械は全て安全装置がついており、オール電化と変わらず安全装置があります。また、末端ではマイコンメーターで安全を確保し、末端のガステーブルの方でもSiセンサーコンロというコンロがあります。そちらで安全を確保していますので、安全に関してはオール電化とほとんど変わらない現状です。

以前は14人家族の炊事をしていたので、ガス炊飯機は早く炊けて美味しかったのですが、高齢者もいたのでガスを使わせるのは危ないなっていうところもあります。ガスを使っている近所の人が「ガスで危険はもう感じない。自動的に消えるし、設備も整っている」という話を聞くとそうなのかと思っています。
武雄市で令和元年と3年に大きな災害があり、その時に婦人会は炊き出しをしました。炊き出しをした時もすぐにガスの設備ができて、炊飯や料理ができて、ガスが大活躍したことを思い出します。ガスは私たちの味方だと思っています。

保安の件ですが、ガス警報器が本当に必要なのか、私たちの中で話題になります。ごく微妙のガス漏れに対してもガス警報器が有効ということで、これはもっと広めるべき、もっと広報するべきだと思いました。あと、自分の敷地のどこにガス管が通っているかというのをほとんど知らないので、広報していくべきだと思います。私が熱望しているのはLPガス対応バルクを公共施設に多く広めて、どこでもそれがついているとなればいいと熱望しています。

テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について

資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターによる事前プレゼンテーション概要の取り纏め
消費者委員からの意見・質問等
事業者委員からの意見・回答等
消費者委員の質問に対する行政からの回答
行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて

テーマⅠ.に関して以下の議論がありました。

難しくてわからないところもあり、ガスの改正について私のところには全くこういう話は出てこないのですが、例えば配管をするのに許可がいるのですか?

貸付配管は「貸付」となっている通り、本来は建物があってガスを使うために建物にくっついた状態で配管がされて、部屋の中でガス機器が使用されますが、そのための配管は建物が作られる時に、一緒に配管が工事として敷設されますと、普通は建物を買った人がその建物全体の所有をし、配管も一緒に工事されます。配管も家を持っている人が配管も全部所有しているのですが、この「貸付」というのがミソでして、実は工事で敷設した時にガス会社が配管を工事し、ただ所有権はガス会社が持ったままになります。その結果、建物が引き渡された時に所有者の持ち物でない配管が貸し付けられた状態で残っているという状況です。それを「貸付配管」と言います。

LPガス特有の商慣行があるのを知ったのが約2~ 3年前、宮崎県のお客様相談室でLPガス協会からの説明があって、初めてこういうことが行われていると知りました。話を聞けば聞くほど特有のやり方があると思いましたが、どれくらい前からそれが激化してきたのか、また消費者がそれを求めたのか、事業者の方からエスカレートした営業が行われて、利益はどちらにもあるからずっと黙認されてきたと思うのですが、それに関して今回、料金の適正化・透明化で問題に上げられたのはなぜだったのか教えていただけませんか?

事業者と話を聞いてきた中で言うと、30~40年くらい前から始まったということです。当然消費者を獲得していく上でそういったサービスを、ガスを使うための設備と合わせてセットでお使いくださいという形で営業してきたということが始まりだと考えています。エスカレートしてきたのがどの段階かというのは「だんだんそうなった」と考えていますけれども、いろんな事業者から現場サイドで話を聞くと、さまざまな規制緩和が行われ、ガス事業も現在は自由化されています。またオール電化も進化している。そういう中で事業者から見ると競争相手は多分野、多業種の人たちが増えたと言えます。多分野で競争相手が増えてきた結果、営業をかけないと自分たちの商権も失ってしまうことは想定されるので、サービスを向上していかないと生き残っていけないという過程で様々な設備にまで及んだと。それが1つの軸としてある一方、不動産関係が関係します。経済成長をしていく上で住環境の整備っていうのは世の中的に求められて来ました。その過程でLPガスを導入していく上でこういったサービスが提供されてきて、賃貸住宅で住宅の整備というのが後押しとなって進んできたという意味で貢献されてきたわけです。

今度の改正はすごく良かったなと思っています。数年前に甥が一人暮らしした時にガス代がすごく高いとぼやいていたことがあって、消費者としては「設備費がガス代にくっついていて別だ」と言われても、ガス代はすごく高いっていうイメージしか持っていないので、LPガスの評価ができるようになって良かったと思います。

我々もこの法改正を強く推し進めていかなければならないと思っております。福岡県としても講習会もやりましたし、オンラインでもやりました。また会議等でも色々と進めている最中です。
アパートが古くなりリノベーションをかけていくという時に、ちゃんとやっている事業者にリフォーム会社が「お宅はできますか?」と言ってくる。それで「できない」と言ったらよその事業者を連れてきてエアコンをつけたりするわけです。正直者が馬鹿を見るような状況になっていますので、この法改正は進めていかなければならないと。これからも会員に指導していきたいと思っております。

これまで商慣習の中で使われたものが今回法改正となって変わっていくわけですが、今までの歴史の中で最終的にまずかったのは、消費者に対してのガス料金にオンしたということです。建設業者、不動産業者、またオーナーからいろんな要求をされたものをやらざるを得ない、そしてガスを供給する、その中で生まれたのが回収するお金を消費者のガス代にオンする。それが消費者にとって「LPガス代は高い」というイメージがある1つの大きな問題で、その辺からおそらく消費者団体に話が行き、いろんな問題が出て国も動いたのかなと思います。今回の問題はこの2~3年で業界にとって大事な、大きく転換することになるかと思います。建設業界、不動産業界、オーナー、そしてLPガス業界、また国、そして消費者の皆さんと一緒になって、この問題は業界としてやり遂げていかないといけないと号令がかかっていますので、いい形で消費者の皆さんが満足できるような是正できればということで一致団結しているところです。

(3)総括:福岡大学 商学部 笹川教授
全体を総括し笹川教授より以下のコメントがありました。

例えば通報フォームの結果について知ることがなければその効果が分からないとか、三部料金制についても透明性の課題は残るのではないか、実行性をどう確保していくのか、また県単位でまとまって取り組み宣言をするとしても、越境事業者との関係でまとまりが取りにくいため県単位として市場を認識するのか、全国単位で市場を認識するのかというところで、事業者として整合性のある行動を取っていただく際にどうしても基準の違いがあって合意について取りにくい事情を生んでいるということです。
私個人としては、今回の省令改正について大きな画期をなすことになるかと期待していますが、ただ今回、販促費として扱われていたものを家賃に戻して回収しなさいという話であったかと思いますが、本来こういったものは事業者が競争の中で創意工夫する中から生まれてきた商慣行であるという側面もあって、それが消費者の不利益につながるというのが今回の認識であったかと思います。ただ、もう少し大きくズームアウトして業界の競争を見ると、現在で言えばオール電化との競合ということで、今後ますます新たな商慣行というものが事業者の工夫の中から出てくるだろうと思います。この中で、いわゆるモニタリングとか事例の積み重ねを通して、そういった事業者の総意工夫が消費者の不利益につながらない形で、業界の今後の発展に資するような形で進んでいければと思った次第です。
(広報室)