LPGC WEB通信
Vol.127 2024.12.10発行
令和6年度四国地方LPガス懇談会が開催されました
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する四国地方LPガス懇談会が、去る11月8日に開催されました。
対象の香川県、徳島県、愛媛県、高知県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。
本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。
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LPガス懇談会について
(1)目的 LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、 事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、 関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法 全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
学識経験者委員……知見を有する大学教授等
自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
行政…………………経済産業省、地方経済産業局
オブザーバー………LPガス業界団体
報道関係
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議事次第
(1)開会挨拶
四国経済産業局 資源エネルギー環境部 岡田部長
LPガスは国民生活に欠かせない重要なエネルギー源です。今年1月の能登半島地震において、備蓄基地や充填所が被害を受けながらも供給を継続したことから、LPガスが災害に強い分散型エネルギーとしてさらに評価されています。今後も引き続き、教育施設、福祉施設、避難所等へのガス機器導入が進むと思われます。また、8月には日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、今回初めて南海トラフ地震臨時情報が発表され、特別な警戒や対応の確認が求められました。幸いにも臨時情報は1週間で終了となりましたが、引き続き巨大地震への備えに万全を期しておく必要があると認識しています。このような中、災害時に的確に対応できるよう、11月12日に各県LPガス協会などの参加のもと、災害時石油ガス供給連携計画に基づく通報訓練が実施される予定となっており、四国管内においても災害への備えが着実に深化するものと期待しております。
一方、家庭におきましては需要が徐々に減少するなど、厳しい環境に直面しておりますが、LPガスが今後も引き続き消費者に選択されるエネルギーとなるためには、消費者との信頼関係の構築が重要と考えています。消費者との信頼関係の構築に関しては、LPガス事業者(以下、事業者という)と不動産・建築業者との間の無償貸付や貸付配管等の商慣行が消費者に不利益をもたらしているとの旧来からの課題を是正するため、今年4月に過大な営業行為の制限、三部料金制の徹底、LPガス料金等の情報提供の3つを柱とした省令の改正を行いました。当局としましても、今後事業者への立入検査等を通じて、一層の取引適正化を進めていく所存です、と挨拶がありました。
(2)懇談 司会・進行:香川大学 経済学部 古川教授
テーマⅡ.「保安」について
① 経済産業省ガス安全室による事前プレゼンテーション概要の取り纏め
② 消費者委員からの意見・質問等
③ 事業者委員からの意見・回答等
④ 学識経験者から事業者委員への質問
⑤ 事業者委員からの回答
⑥ 行政からの回答
テーマⅡ.に関して以下の議論がありました。
徳島県でも都市ガスの普及が進んでおらず、県下のほとんど全域がLPガスに頼っているという状況です。戸建ての集合住宅の防草シートのピンの打ち込みで事故があったということですが、住民の方にガス管が敷地に通っているということが認識されていないので、ガス管の表示などが徹底されればこういう事故は起こらないのかと思います。
私もLPガスを利用しております。先日、給湯器が壊れて修理しましたが、その際事業者にお願いして直してもらいました。「今年の7月までは無料で修理できたけど、今は修理代を取るようになりました」とおっしゃっていました。給湯器などの機器の所有権が事業者にある場合とない場合で修理の対応は違うのか、もし故障した場合、誰に連絡をして修理をすると1番メリットがあるのかを伺いたいと思います。
給湯器のメンテナンスの問題ですが、事業者にご連絡いただくのが1番かと思います。テレビCM 等で安い給湯器を販売しておりますが、実際その方が取り付けに来た時に免許を持っているのか、その後ガス漏れの点検とかしているのかという部分については、事業者では保安管理の部分も含めて監督ができておりませんので、まず納入されている事業者にご連絡いただいたらと思います。
個別の集合住宅についてですが、ピン止め等で埋設管が傷つけられるというのは大変危険な行為なので、極力ガス配管をする場合は見えるようにします。ただ、外観上の問題等ある場合は埋設管表示をするように事業者また設備業者に協力を依頼しています。 故障の修理対応につきまして、連絡先は現在ガスを取引している事業者に連絡するのが1番だと思います。その費用につきましては、戸建ての場合はほとんど買い取っていただいている場合があります。その場合は修理について実費はいただくようにしています。あと一部貸付けしている場合もありますが、その場合も修理に関しては実費でいただくような形で進めております。
事故に関して、昨年愛媛では業務用でCO中毒の事故が1件ありましたが、協会としてはCO中毒事故の防止についても今後力を入れて推進していく考えです。
ガス検知器の交換の状況についてお話しいただけますでしょうか?
協会ではそういう指導をしており、取り付けるのが基本でしたが、特にアパートは法令で決まっていますので、消費者から指摘がなくても取り替えに行くようにしています。集合住宅など義務付けられている部分に対してはホールで決まっている部分がありますのでやっています。一般の方は取り付けても外される等ありますが、検針にも行っていますし、お伺いした時に付け直しはしています。
テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について
①
資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターによる事前プレゼンテーション概要の取り纏め
②
消費者委員からの意見等
③
事業者委員からの意見等
④
消費者委員の質問に対する行政からの回答
⑤
行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて
テーマⅠ.に関して以下の議論がありました。
今回、事業者がいろいろな設備を無償貸与しているケースがあると初めて知り驚きましたが、徳島県でも各事業者のところで三部料金制やガイドラインを自主宣言しているということで、安心して頼める事業者も増えてきているということがホームページを見たらわかるというのがいいと思いましたので、こういう事例が全国でも広がっていくといいと感じました。
消費者としまして、改正省令による料金の透明性が図られることで、メリットなど当然あるかと思いますし、喜ばしいことだと思いますが、高知県でも70%を超える普及率の中で、中山間地域もかなり大きな割合を占めているのではないかと思います。料金が適正に戻ることはありがたいことですが、中山間地域での事業者が料金改正によって担い手を減らすことに繋がることはないのかと思い、そういうことが十分に確保されているであればすごくありがたいなと思いました。
香川県では北関東のような状況にはなっていないと思いますが、少なからず無償貸与や機器の貸付はやってきていましたので、それを是正するために法改正に合わせて進めていくべきだと思います。香川県としましても県内で支部説明会を6支部でやっており、自主宣言のお願いもしております。全L協で取り組み宣言した一覧があると思いますが、そこに載っていない事業者がたくさんあります。ホームページを持ってない、小さな零細の事業者が多く、店頭で自主宣言した用紙を張り出しているというところがほとんどだと思います。ただ、不動産業者にも周知文書を作りまして、お願いをしている途中です。国交省からの働きかけもあり、そのうち盛り上がっていくと思います。いっぺんには進まないと思いますが、地道に行動していかなければと思っています。
三部料金制につきましては、来年の4月2日に施行されますが、高齢の事業者でよくわからないという方がおります。それについても勉強会などで周知していますので、4月2日にはほぼ全部の事業者が三部料金制に移行できるように頑張ってやっております。 今度の法改正で三部料金制が進んでないということが聞かれますが、社内のシステムを変えないとできないことが多くて、現在、自分の会社ではコンピューターを入れ替えているところです。大手で資金があるところはすぐにできるでしょうけども、法律で決まった以上、高知県の事業者はみんなやってくれると私は信じています。ただ、無償貸与をしたことがない事業者は規模が小さくなるほど多いです。高知県でも田舎の方に行くと採算が取れてないくらい小規模の事業者もたくさんおられます。また、だんだん高齢化してインターネットなどもできない事業者がいて、他の事業者がそこへ進出することは採算上あまりないところがあります。ただ、今年、電化製品に省エネの補助金が出て、ガスの給湯器にも補助金が出るようになって、私が関係している会社ではその補助金を使ってお客さんにアピールしたところ、今まで無償じゃないと買わないと言っていた消費者も買っていただけるようになって、改めてガスの仕事は見直さなければと自覚しております。
(3)総括:香川大学 経済学部 古川教授
全体を総括し古川教授より以下のコメントがありました。
大学では商品学を担当しておりまして、その中で商品知識ということも分野の中に含まれてきますが、消費者側の立場に立つといろいろな商品を普段使っておりますので、1つ1つに深い商品知識を持つことはできないのです。防草シートにピンを打ったら傷つけてしまった、そんなことがあるというようなことを初めて気づかされたわけですが、そういった商品知識を消費者側はそれほど多く持ってないですけども、事業者の皆さんは普段取り扱っておられる商品ですので、深い商品知識をそれぞれお持ちだと思います。なので、事業者の皆様には消費者はそんなに商品知識を持っていないということを踏まえた上で、企業の社会的責任として、企業から積極的に商品・サービスの情報を提供して、そういった事故や取引、価格のトラブルが起こらないように取り組んでいただければなと思っております。
(広報室)