LPGC WEB通信
Vol.127 2024.12.10発行
令和6年度中国地方LPガス懇談会が開催されました
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する中国地方LPガス懇談会が、去る10月29日に開催されました。
対象の鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。
本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。
1
LPガス懇談会について
(1)目的 LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、 事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、 関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法 全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
学識経験者委員……知見を有する大学教授等
自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
行政…………………経済産業省、地方経済産業局
オブザーバー………LPガス業界団体
報道関係
2
議事次第
(1)開会挨拶
中国経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 林課長
LPガス懇談会は、LPガスに関する諸問題について意見交換を行うことで相互理解を深め、頂いた貴重なご意見やご要望を施策に反映させることにより、LPガス産業の健全な発展に資することを目的に開催しており、今回は保安とLPガスの料金透明化・取引適正化の2つをテーマとして行われます。保安については下水工事などの事業者によりガス管が損傷する他工事事故の増加なども含めたLPガス事故の発生防止について、また料金透明化・取引適正化については昨年度の液化石油ガス流通ワーキンググループにおいて、商慣行是正等の議論を踏まえて、液化石油ガス法の省令改正が行われ、今年4月に公布、今年7月と来年4月の2段階に分けて施行となったLPガス商慣行是正に向けた制度・取り組みについて、またLPガス事業者の実態調査結果など、それぞれお話をいただいております。
中国経済産業局といたしましてもLPガス産業の健全な発展に向けて引き続き地域の皆様と連結した取り組みを推進していく所存です、と挨拶がありました。
(2)懇談 司会・進行:広島経済大学 メディアビジネス学部 学部長 北野教授
テーマⅡ.「保安」について
① 経済産業省ガス安全室による事前プレゼンテーション概要の取り纏め
② 消費者委員からの意見・質問等
③ 事業者委員からの意見・回答等
④ 行政からの回答
テーマⅡ.に関して以下の議論がありました。
LPガスを使うほうにとっては、ガスという名がつく以上、危ないものというところで少し怖いイメージがありますが、こういったことに対して様々な対策が取られているということでご説明いただきました。自宅ではLPガスを使用しており、4年に1度の定期点検の他、ガスの警報器やマイコンメーターなどは身近に感じております。マイコンメーターのように自分でできる対応等の努力もたくさん頂いておりますので、消費者もさらに安全に気をつけて使っていきたいと思います。
未使用のガス栓にカバーをつけたい場合はどこで購入するのか? 4年に1回ぐらいの点検なのでそれまで待つのか?点検に来られた時にはすでに設置されているガス漏れの機械ですが、泡をつけたりしたような検査もされるように思います。カバーについてどのようにして手に入れればいいのかと思います。
ガス栓カバーにつきまして、鳥取県内では事業者の対応は様々で、無料で設置する事業者もあれば、有償のところもあります。弊社では簡易的なゴム栓のようなものは無料で付けさせていただいています。点検時あるいは器具の取り付け等のタイミングで取り付けるようにしております。
警報器の件は、基本料金の中で取り付けている事業者もあれば、弊社では基本料金以外にリースもしくはお客様の買取りという形で設置をしています。
警報器については事業者によってケースバイケースです。基本料金に含まれているところもあれば、別にいただくところもあります。それから家の中でフレキ管にしているところにもつけるという事業者もあります。警報器をつけても消費者がコンセントを抜くという事例もありますが、当社としてはつけてくださいとお伝えしています。コックのカバーは点検等の時に付けられなかったら、こちらの費用負担で付けています。また、転倒防止や容器が流出しないようにということで二重掛けを進めております。
ご質問にあった配管について、基本的にボンベが集合されている場所からガスメーターまでの間は、事業者が管理をしなければいけない部分になり、当然図面等をお持ちなので、そこは遠慮なくご確認いただければと思います。逆にガスメーターから宅の中に入っていく部分についても、ガスのプロである事業者に気になることがあればお問い合わせをいただいたらいいと思います。
ガス漏れの時に泡での検査とありました。オンオフはアナログ的に行っており、ある程度の量が漏れないとシャットダウンしないという仕組みになっています。実は事故のケースの多くは、ちょっと漏れたガスでの事故なので、ガス栓カバーをつければ回してはいけないという認識になると思います。
ガス警報器については、集合住宅で3部屋以上あるところは設置義務がかかっておりますので、個人住宅なら3世帯以上ある集合住宅は設置が義務化されているとお考えください。
テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について
①
資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターによる事前プレゼンテーション概要の取り纏め
②
消費者委員からの質問・意見等
③
事業者委員からの意見等
④
消費者委員の質問に対する行政からの回答
⑤
行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて
テーマⅠ.に関して以下の議論がありました。
今回の省令改正で消費者が必要と感じる情報提供がこれまで以上に進むものと期待しています。今後については、戸建に関わる問題も残っていますので、改善に向けた取り組みにも期待したいと思います。
2点目は通報フォームの活用についてです。LPガスにつきましては今回の省令改正に先立ちまして通報フォームが開設されていますので、活用については是非進めていきたいと考えています。過大な営業行為につきましては是正が進んでいけばいいと期待しています。
最後に、賃貸住宅におきましてLPガスは入居後に事業者を変えることができません。だからこそ入居前に「この賃貸住宅のLPガスの事業者はここで、LPガスの料金はこれぐらいになります」という目安をお示しいただくことは賃貸住宅を選択する上で大変重要になってまいります。
省令の改正について実行性確保の部分に触れられておりますが、我々消費者側がこういう事実を知って、それに対してこういう対策も取られていると自覚する必要があると思います。今般の改正の趣旨を利用する側の我々が知っていくということが必要であって、この業界全体の中で、その周知をさらに徹底していただくことの努力を、引き続き我々も事業者側もあるいは行政の皆さまも一緒に取り組んでいく必要があるかなと感じております。
賃貸住宅の料金情報提供のことにつきまして、基本的には各不動産業者に料金表を提示していますが、事業者には様々な料金プランがあり、全てを不動産会社の方に提示するのは難しいので、一般的なものは出しながら、基本的には各物件の事業者に問い合わせてもらいます。事業者はそうした問い合わせがあった場合に速やかにその物件の正確な料金体系を提供するということを徹底するように不動産会社の方とお話ししています。
ガス料金は基本的に自由なので、場所とか地域によって若干は違うと思います。ただ、戸建ての消費者の場合、納得いかない料金であれば変えることはできますが、賃貸の場合は他のところに変えられないところがあります。来年4月から是正となりましたが、その後は随分そういったサービスで商売をしている話を聞かなくなりました。いい流れかと思います。
今回、省令改正等で様々な規制ができて、それをこれから実行性あるものとして周知していくということですけども、問題の根本は建築側にあると思います。今回はガス事業者等の規制を当然徹底していく必要がありますが、発注側の課題を様々な法規制も含めて今後検討していく余地があるのか、その辺りの見通しについて行政側にお伺いしたいと思いますがいかがでしょうか?
国側からすると、不動産関係業界を決めている国交省とうまく連携していかないと対策的には片手落ちになると感じています。国土交通省にも入っていただきながら、どういう流れの中で対応が必要なのかというところは認識いただきながら連携していこうということで、参画いただいているということであります。今回の改正の内容について、国交省を通じて業界向けの発信、周知・広報を国の方からやっています。ただ、大小さまざまな事業者がいますので、引き続き要求を受けているという話は聞きます。通報フォームにもそういった情報は来ています。そういった情報は国土交通省を通じた形でしっかり個者レベルで対応できるように引き続き時間をかけてやることかと思います。
(3)総括:広島経済大学 メディアビジネス学部 学部長 北野教授
全体を総括し北野教授より以下のコメントがありました。
簡単に今日の総括をしたいと思います。
1つ目、保安に関しての議論です。実際起こっているトラブルは人為的なエラーが多いと思いますが、プラス技術的なものもあると思います。こういったことは日頃からの注意が大事ですし、災害時に強いエネルギー源ということで災害時に備えての保安というのは当然あると思います。保安に関しても事業者に相談するのが前提だと思います。
2つ目のテーマ「料金透明化と取引適正化」に関しては、これも継続的なテーマです。ここで大事になってくるのは、事業者側からのきちんとした説明がますます大事になってきているということです。そのベースとなるのが社会的な背景があるかと思います。
一方で、先行き不透明な政治環境や経済環境の中で、適正な商取引のあり方が大事になってくると思います。その時に、ポイントになる視点が2つ。1つは地域間の差です。中山間地で一戸建てが主体で賃貸住宅があまりないエリア、ここの場所で事業者を変えるというのはあまり現実的ではない話もありましたし、一方、都会の集合住宅が多いエリアでは、様々な情報開示がもっと必要になってくるだろうというところがあります。2つ目のポイントは多様なステークホルダーです。この懇談会も消費者の皆さんと事業者の皆さん、それから行政の皆さんと3者で議論してきたわけですが、それに加えて他の建築業界や不動産業界、あるいは他の省庁にも関連するので、連携や情報共有が必要になってくると思います。今回の省令改正によって一歩進んだと思うと同時に、この会のメンバーに関しても将来的にはオブザーバーでそういった方も参加していければいいかなと思った次第です。
(広報室)