LPGC WEB通信 Vol.126 2024.11.11発行

 令和6年度近畿地方LPガス懇談会が開催されました
 
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する近畿地方LPガス懇談会が、去る10月2日に開催されました。
対象の福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。

本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。

LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、        事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、        関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       行政…………………経済産業省、地方経済産業局
       オブザーバー………LPガス業界団体
       報道関係

議事次第
(1)開会挨拶
   近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 金丸課長

LPガスは全国総世帯の約4割で使用され、国民生活社会生活を支える重要なエネルギーであり、またその特徴である可搬性の高さを生かし、山間部や離島などの地方においても重要なエネルギー源として幅広く利用されています。また能登半島地震においてもLPガスはエネルギー供給の最後の砦としての機能を発揮したところです。一方でLPガス業界におきましては、多年にわたり問題とされてきた商慣行についてその是正改革を進めてまいりました。本年7月には液石法施行規則の一部省令改正が施行され、過大な営業行為の制限、LPガス料金等の情報提供が求められるようになりました。また来年4月には三部料金制の徹底が施行となります。あわせて実行性担保の面から、取引適正化ガイドラインについても改定を行い、当局においても立ち入り検査を実施していく中で、料金透明化・取引適正化に向けた取り組みを進めてまいります。引き続きLPガス販売事業者(以下、事業者という。)による法令指針等の遵守及び真摯な取り組みを通じて、今後もLPガスが一般消費者等から選択されるエネルギーとなり、国民生活を支えるエネルギーの一翼になっていくことを期待いたします、と挨拶がありました。

(2)懇談 司会・進行:甲南大学 法学部 土佐教授

テーマⅡ.「保安」について

① 経済産業省ガス安全室による事前プレゼンテーション概要の取り纏め
② 消費者委員からの意見、質問等
③ 事業者委員からの意見等
④ 学識経験者から事業者委員への質問
⑤ 事業者委員からの回答

テーマⅡ.に関して以下の議論がありました。
水道工事やリフォーム工事など他工事による事故が多いというご報告がありましたが、この現状を意外と消費者は知らないと思います。ましてや防草シートの固定ピンを打ち込む作業でもガス管を傷つけてしまうことが分かり大変驚いています。事業者の皆様から消費者へこうした事故があるということを情報提供していただき、埋設配管の位置を正しく周知していただければと思います。またガス機器の正しい使い方についても情報提供をしていただきたいと思います。ガス漏れ対策として非常に有効なガス警報器(以下、警報器という。)についても広く啓発していただければと思います。

ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒の心配があったりすると思います。昨今地震が多発していますので、地震発生時の情報提供体制がどのようになっているのか、どういった判断基準でどのような媒体を通じて発信されるのかを確認させていただければと思っています。また、地震発生時に安全装置がどのように働いているのかといったことも消費者に情報提供していただければありがたいと考えています。

警報器の点検、交換の件についてですが、警報器は使用期限が5年です。4年に一度の定期調査で訪問した際に作動試験などをして、きちんと動くかどうか、また使用期限が残っているかどうかを確認しています。警報器のリースのやり方は事業者によって様々です。リース料金を別で頂いているところもあれば、基本料金の中に組み込んで頂いているところもあります。お金を頂いている以上期限管理はきっちりと実施しています。

お客様がガスを使用している時に震度5程度の地震が発生すると、ガスメーターがガスを遮断する仕組みになっています。地震発生時の対処に関しましては、2年に1回もしくは1年に1回、周知文書をお客様へ配布するのですが、その中に地震の際の対処方法が書いてあります。また、ガスメーターが遮断すると集中監視システムがセンターへ通報し、センターの社員がお客様に電話して対応をする仕組みもあります。お客様が電話に応答しない場合は事業者が出動し対応をすることになっています。

地震が発生した際にはガスメーターでガスが遮断するようになっているので、大変安心しています。年初の能登半島地震のような場合は容器が流されてしまったりするのではないかという心配があると思います。また、流された容器が爆発してしまわないかといった心配もあります。その点について教えていただきたいと思います。

LPガスの容器は水に流されてしまっても爆発することはありません。ガスが漏れ出した時に周囲に着火源が無い限りは引火しません。これは灯油であろうがガソリンであろうが同じですので、ご心配には及びません。流出容器を見つけた時には、必ずLPガス協会か消防署へ通報をお願いします。容器の流出防止対策としてチェーンの二重掛けを実施しています。今年の5月末迄で対策が完了していますので、安心していただきたいと思います。ただし家ごと流されてしまうような場合につきましては、対策のしようがないこともお伝えしたいと思います。

テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について

資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターによる事前プレゼンテーション概要の取り纏め
消費者委員からの質問・意見等
事業者委員からの意見等
消費者委員の質問に対する自治体からの回答
消費者委員の質問に対する事業者委員からの回答
行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて
テーマⅠ.に関して以下の議論がありました。
改正省令の実行性確保に向けた取り組みとして、通報フォームに寄せられた情報の活用や事業者による自主取り組み宣言などは非常に有効だと思います。改正省令で規制することができるのは事業者だけですが、この問題は不動産業者や住宅メーカーにも大きく関係しています。国土交通省(以下、国交省という。)との連携は当然不可欠であり、国交省にも法律を改正していただき、罰則規制を設けるなど早急の対応をお願いしたいと思っています。今回の改正省令では、賃貸集合住宅の入居希望者へのガス料金情報の提示については努力義務となっています。入居してからガス料金の高さに気が付くといったケースは、今後も続くのかと思われます。消費者が納得してLPガスを選択し、使い続けることができるよう、この法律が消費者のためになっているかどうか、これからも検証を続けていきたいと思っています。

今回の省令改正では過大な営業行為の制限、三部料金制の徹底については義務になっていますが、ガス料金情報の提供は努力義務になっています。色々な資料を読んでいくとオーナー、不動産業者等のガス会社以外の関係者も説明する機会があるとのことで努力義務になっているようです。SNSや消費生活相談の出前講座等を通じて入居の際にはガス料金も確認しましょうといった啓発をしていく必要があると思いました。消費者が知ることがとても大事だと思います。また、実効性確保のために規制をきちんとしていかないと商慣行見直しの歩みが進まないと思います。

取引適正化につきましては、国から情報が届くごとに会員企業に対して周知を実施しています。契約更新のお話がありましたが、こちらにつきましては、まず供給開始時に14条書面を交付しています、そこで契約内容や料金等についての説明を実施し契約となります。高齢者等への説明につきましては、地域により年に1度ライフライン関係の方と行政の方で市内の独居老人宅を訪問させていただき、上手に設備をご利用いただいているかの点検を実施しています。地域密着型の商売をしていますので、様々な機会を通じて点検、声かけ、説明をさせていただいています。今後襟を正して行動していかないと、この先の長いお付き合いは無くなってしまうと考えています。

料金についてなかなか改善に至っていませんでしたが、罰則まで加えた今回の改正により、LPガスは安全面だけではなく、価格面においても適正に販売されているとの高い評価が出てくるのではないかと思っています。賃貸集合住宅にお住いの方は学生や若い方が多く、また居住年数も短いので、ガス料金に不満があっても泣き寝入りをされているケースが多いです。 その点では今回の省令改正により問題解決にいい形が出てくるのではないかと思います。

(3)総括:甲南大学 法学部 土佐教授
全体を総括し土佐教授より以下のコメントがありました。
平成15年からLPガス懇談会の委員を務めておりますが、ほとんど進展のない状況が続いていると認識しています。非常にリソースが足りない中、努力を払われていることは十々承知しておりますが、何らかの新しい取り組みをしていただければと思います。それから経済産業省におかれては、他省庁との連携が非常に重要な課題だと思っています。電気や都市ガスについては省庁間連携が密なので、LPガスに関してもそれになぞらえる形で連携の努力をお願いしたいと思っています。
全体を通じて言えることは、14条書面の記載内容をきちんと分かりやすく明記しましょうといった議論が平成29年頃にあったと思います。9割以上の事業者がきちんと内容を記入して交付するようになるまで8年ぐらい時間がかかっています。今回も大規模事業者から小規模事業者まで全ての事業者にしっかりと浸透させていくのには時間がかかると思います。そういった意味で消費者、行政、事業者も、息長くそれぞれの立場からご協力をお願いしたいと思います。その際非常に重要になるのは、フォローアップ調査、公開ヒアリングだと思いますので、消費者、事業者の方々も是非とも積極的にご参加いただき、側面支援をお願いできればと思います。
(広報室)