LPGC WEB通信 Vol.126 2024.11.11発行

 令和6年度中部地方LPガス懇談会が開催されました
 
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する中部地方LPガス懇談会が、去る9月25日に開催されました。
対象の愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。

本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。

LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、        事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、        関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       行政…………………経済産業省、地方経済産業局
       オブザーバー………LPガス業界団体
       報道関係

議事次第
(1)開会挨拶
   中部経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 長村課長

本日のテーマは「保安」及び「LPガスの料金透明化・取引適正化」と伺っております。保安につきましてはガス事故を減らすための取り組みの結果、ここ数年は年間200件程度で推移しております。ただ、200件の事故が発生していることについては、行政といたしまして引き続きLPガスの安全啓発に取り組んでいきたいと思っております。またLPガスの料金透明化・取引適正化につきましては、今年7月2日に液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、液石法の省令改正が施行されたところです。今回の改正内容を遵守していただくことによって、LPガスの料金透明化・取引適正化が一層進むことが期待されるものと思っております、と挨拶がありました。

(2)懇談 司会・進行:名古屋工業大学・大学院社会工学専攻 渡辺教授

テーマⅡ.「保安」について

① 経済産業省ガス安全室による事前プレゼンテーション概要の取り纏め
② 消費者委員からの意見等
③ 事業者委員からの意見等

テーマⅡ.に関して以下の議論がありました。
保安について、主に集合住宅などでの配管の事故が最近50件近く出ているというのは耳にしておりまして、賃貸で入る方などはガス管がどこに通っているかということは分かりにくいですし、そこは工事の方に「どこですか?」と聞くしかないかと思います。また自分の家で防草シートを敷く時にピンでガス管を傷めているという状況ですが、それも消費者が分かりにくいので工事の時に聞かれても分からない方がほとんどだと思います。でも例えばピン打ちがしてあるとか、ここに通っているということがあるといいのではないかと思っております。ただし、このような状況は危険なことですので、皆さんで一緒に広報していくということは大事だと思います。

LPガスの消費者が高齢化しているのは事実ですので、そういった中で事故が起こる危惧は感じております。若い方でも説明を聞いた時の理解とか、それから理解しようとする気持ちというのが昔よりも危機感がないのではないかと思いますので、事業者あるいは器具を作るメーカーが対応できるような方向に行っていただけると安全になるのではないかという気持ちでおります。

ガスの事故のことで言わせていただきますと、消費者とのコミュニケーションを密に行う必要があると思いました。ハード等はLPWA(LPガス集中監視システム)を含めて技術が発展していますが、地中に埋めている配管と目印、マーカー等は作った時に入れていても、年数が経つと土に埋まるなどで分かりづらいのが現状です。その辺をやっていくのはもちろんですが、常日頃からお客様と接触して情報を仕入れていくことが必要と思いました。

石川県の協会で5年ほど前から高齢者の見守り活動を行っておりまして、その中でガス栓カバーについてはかなり設置が進み、対策できていると思います。また、能登の地震で仮設住宅が多く立っていて、入居もかなり進んでいますが、能登の事業者から「高齢者も多いので仮設住宅に見守り活動をしていきたい」という話も聞いております。最近オール電化の住宅に住んでいて、ガスを使っていなかった方もかなりいらっしゃるので、ガスの取り扱いの注意事項については、見守り活動や点検活動を通じて指導していきたいと思っております。

テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について

資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターによる事前プレゼンテーション概要の取り纏め
消費者委員からの質問・意見等
事業者委員からの意見等
消費者委員の質問に対する行政からの回答
事業者委員からの意見等
行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて
テーマⅠ.に関して以下の議論がありました。
法律や制度が改正されていくことに関しては、この会議で何度も提案されてやっとここまでたどり着いたと感じています。利益供与は資料を読ませていただくと無限大にあると思っています。消費者自身が知らないような利益の供与など、制限してもこれからも出てくるのではないかと危惧しております。小さい業者は代金が上乗せできないということで始まった改正だと思うので、少しでも改善されていけばいいと思っております。

三部料金制の徹底の中で、設備費用の外出し表示については既存契約にも適用されるとありますが、LPガスに関係のない設備費用や賃貸向けのガス機器等の消費設備費用の計上禁止は新規契約のみの適用となっております。来年4月の改正省令施行後に賃貸アパートの既存契約者の方から「これは不公平じゃないか」という苦情が相談窓口に寄せられる可能性があると懸念しておりますので注視していきたいと思います。

今回の料金透明化、取引適正化については、全国LPガス協会が制作しました周知チラシを全会員に配り、また中部経済産業局に行なっていただきました省令改正のオンライン説明会を会員の皆さんに受講するように伝えました。通報フォームについて、6月28日くらいに省令改正施行の直前にアパート数棟を切り替えられたという話も実際に聞いておりまして、残念ながら業界の体質はすぐに変わらないというのが実態と思います。特に建設業界とか不動産業界などに対して発信をしていかないといけないと思います。建設や不動産業者に対しても強く申し入れをしていく必要があると思っております。

7月の施行前に周知のためのチラシの配布や通報フォームへの書き込み、省令とか自主取り組み宣言の策定依頼等を会員に要望してきました。そして7月2日に中部経産局主催の液石法省令改正に伴う説明会がございましたので会員に ウェブで参加するよう呼びかけました。また8月23日には弊協会主催のLPガス政治連盟で目黒室長補佐も参加いただいて、料金透明化の説明そして質疑応答もしていただき、9月も鳥羽・伊勢志摩協議会で合同研修等をさせていただいております。自主取り組み宣言については全事業者300以上ありますが、まだ5%ぐらいしか宣言しておりません。三部料金制はシステム変更で各社手間取っています。

(3)総括:名古屋工業大学・大学院社会工学専攻 渡辺教授
全体を総括し渡辺教授より以下のコメントがありました。
保安に関しましては消費者側のご意見を受けて、事業者も一生懸命やっているがコミュニケーションのところで伝わってないという意味では、見守り活動であるとか、あるいは点検の時に「ここにガスが埋まっています」ということをお互いがコミュニケーションを取り合う関係性の構築が必要かと思いました。
LPガスの料金透明化・適正化に関しましては、法整備が進んだことについては評価されていたわけですが、実効性を確保しながら、通報フォームや情報提供の仕組みの推進など、三部料金制についてはいろんなものが同時多発的に進んでおりますけども、これから展開するにあたっての課題を、消費者、事業者、所管省庁、他省庁、公正取引委員会も含めて、いろんな方向で取り組んでいかないと一筋縄ではいかないような状況かと思いますので、最終的には消費者の保護という観点から、きちんとやっている事業者を保護するということも重要かと思いますので、こういうことをやり続けることこそが大事であります。
(広報室)