LPGC WEB通信 Vol.125 2024.10.10発行

 令和6年度東北地方LPガス懇談会が開催されました
 
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する東北地方LPガス懇談会が、去る9月4日に開催されました。
対象の青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。

本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。

LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、        事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、        関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       行政…………………経済産業省、地方経済産業局
       オブザーバー………LPガス業界団体
       報道関係

議事次第
(1)開会挨拶
   東北経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 茂木課長

本日の懇談のテーマの1つでありますLPガスの商慣行是正への取り組みについては、今年の7月に改正液石法が施行されすでに2ヶ月が経過しているというところです。過大な営業行為にかかるエネ庁の通報については、改正法施行前は1200件を超える通報があったと聞いておりますが、現在は減少傾向にあるということです。ただ局に対してもまだ問題となるような案件の相談があることから、引き続き適切な法執行に向けて監視体制を強化していくことが重要であると思っています、と挨拶がありました。

(2)懇談 司会・進行:東北大学大学院 経済学研究科 吉田教授

テーマⅡ.「保安」について

① 経済産業省ガス安全室による事前プレゼンテーション概要の取り纏め
② 消費者委員からの意見等
③ 消費者委員の意見に対する行政からのコメント
④ 消費者委員の質問に対する自治体保安担当からの回答

テーマⅡ.に関して以下の議論がありました。
ガス管については庭で防草シートを敷いて雑草が生えないようにし、そこに自転車を置いたりするなど、よく防草シートは扱っています。ガス管だけでなく水道管があるかということも気にしながらピンを刺していますが、ピンの長さによっては長いものと短いものとさまざまなサイズ感があるのでその辺りは身近な問題として気をつけた方がいいと思いました。

LPガスにつきましては資料にもあります通り、集合住宅等においては地盤面下にLP ガスの供給管が埋設されていることがあります。そういった意味でLPガスにおいてもこういう他工事の事故には注意していかなければいけないということで、この資料に載せました。

私の住んでいる隣は非常に空き家が多く、その中に何年も空き家になっているところがあり、ガスボンベなどの設備が設置されたままで非常に錆びているという状況があります。見た感じではガスが中に入っているかどうか分かりませんが、非常に危険を感じます。こういった事案はその建主がその事業者に申請しなければいけないのか、放置されたガスボンベ等については何かしら方策があるのでしょうか?

今のケースの場合には事業者がその供給設備について責務を追いますので、放置されていて危険な状態になっている場合には事業者に連絡をして処置してもらうということになるかと思います。

テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について

資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターによる事前プレゼンテーション概要の取り纏め
消費者委員からの質問・意見等
消費者委員の質問に対する行政からの回答
事業者委員からの意見等
行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて
自治体保安担当からの質問に対する行政からの回答
テーマⅠ.に関して以下の議論がありました。
昨年度であれば県内で約8000件の相談を受けており、その中でLPガスに関する相談というのはわずか15件です。その中で戸建てを買った時に事業者を選ぶのに、配管が古くなっていてそれをどこに頼めばいいか、どこの事業者を選択すればいいかというのが非常に迷うということがあるようです。また、価格が高いということで、価格に関する質問が少ない件数ですがその率は高くなっております。

やはり料金については多分色々な問題があると思います。例えば「何月から料金が上がります」というような説明書がポストに入っていたとしても、消費者側はそれを受け入れざるを得ないと思っています。料金体系についてもう少し丁寧な説明が事業者からあるといいのかなと思っております。
また、空き家はこれからどんどん増えると思います。その場合、住んでいた方の家族へきちんと伝達することも大事ですし、あるいは空き家になる場合には契約をやめるということで事業者に連絡が行くと思うので、その場合に撤去するかどうかの確認をしていただけるといいのかなと感じました。

空き家という話につきまして、住まなくなる場合にはガスの解約があれば消費者のニーズに応じてボンベを撤去いたします。ただ解約がなく単純にお住まいにならない場合は使用実績がないまま基本料金だけを請求して頂戴するということになります。本当にお住まいではなく、請求書を受け取る方がない、支払う方がいなければ調査に入ります。その上で危険と見なした場合は判断すると理解しております。

次にLPガスは基本料金と従量料金が高いというご指摘で、どれが適正か分からないという話であったと思います。基本料金、従量料金は各社設定になっており、消費者の数、扱いの量によって人口が少ない地域では少しずつ高くなる、少なくなるといった差はあると思います。ただ、他県との違いについてきちんと認識をして参りたいと思います。

賃貸の件数、事業者数、消費者数ともに相当数存在し、それら一つ一つの内容を見ていくのは難しいです。一方で実行性を確保していく上で、事業者が自ら努力して変えていく部分も当然評価しながらやっていきたいので、どこまで取り組んでいるかの1つの指標として、検査の過程で目ざといところを見ながら、事例として他のところにも波及させていくというところも促すという意味で、事業者の対応を促していきながら変えていくということを今後やっていくと考えています。

(3)総括:東北大学大学院 経済学研究科 吉田教授
全体を総括し吉田教授より以下のコメントがありました。
今日は多岐にわたる議論があったと思いますが、私のほうで気がついたところは2点あります。1つは少子高齢化や人口減少によって空き家が生じる、それから住宅も長く住んで世代代わりでリフォームするところで思わぬ事故が発生するという。これはいろいろなところと連携しながら防いでいくことが必要になった時代になったということです。もう1つは料金透明化が法改正によって今年大きく舵を切ったところにあると思います。今年の7月から一部施行実施されていますので料金の開示、伝達情報開示について来年は大きく数字が変わっていくのかどうかというのは大きな注目するところだと思います。
(広報室)