LPGC WEB通信 Vol.125 2024.10.10発行

 令和6年度北海道地方LPガス懇談会が開催されました
 
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する北海道地方LPガス懇談会が、去る8月29日に開催されました。
対象の北海道の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。

本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。

LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、        事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、        関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       行政…………………経済産業省、地方経済産業局
       オブザーバー………LPガス業界団体
       報道関係

議事次第
(1)開会挨拶
   北海道経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 五十嵐課長

LPガスは道民の生活を支える上で欠くことのできないエネルギー源であるとともに、運搬や貯蔵に優位性があり最後の砦として緊急時のエネルギー供給に貢献する重要なエネルギー源です。LPガスは仮設住宅や避難所への燃料供給を担うなど災害への有効性が示されているところです。また、今年の4月2日には液石法が改正され、過大な営業行為の制限・三部料金制の徹底・ガス料金情報の提供が整備されたことで、今後は消費者とのさらなる信頼関係の構築が期待されています。当局としましても、事業者ヒアリングの実施や北海道・札幌市と立ち入り検査等に関わる情報を共有しつつ、取引の適正化を着実に進めていく所存です、と挨拶がありました。

(2)懇談 司会・進行:北星学園大学文学部 大島教授

テーマⅡ.「保安」について

① 経済産業省ガス安全室による事前プレゼンテーション概要の取り纏め
② 消費者委員からの質問・意見等
③ 消費者委員の質問への行政からの回答
④ 事業者委員からの意見等

テーマⅡ.に関して以下の議論がありました。
他工事による事故というものを私は知らなかったのですが、事故原因を見るとこうした事故が発生するのも当然だと思いました。ガス管が地中に埋まっていると尚更分からないので、こうしたものに関しては、ガス管が埋設されているという目印のようなものを地面の上に設置するのが、事故防止にはとても有効ではないかと思います。事故防止のためには誰にでも分かりやすい表示方法を検討していただくことも必要だと思います。

現状、北海道においては冬の凍結の問題もあるため埋設配管にはせず、基本的に露出配管で工事しています。埋設配管にする際も凍結防止のため深いところに配管しているので、配管を傷つける事例は非常に少ないです。むしろ北海道の場合は除雪の際に重機を使用し、その際にガス管を傷つける危険があるので注意喚起をしています。

火災の際にLPガス容器が爆発するかどうかということですが、LPガス容器にも安全弁等の安全装置がついていますので、よほどのことが無い限りはLPガス容器が爆発することはないと思います。また地震でLPガス容器が転倒しても、高圧ホース部分にてガスが遮断される安全装置もありますので、ガス漏れが発生してそれが火災につながる可能性は低いと考えています。

テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について

資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターによる事前プレゼンテーション概要の取り纏め
消費者委員からの質問・意見等
消費者委員の質問への事業者委員からの回答・意見等
行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて
消費者委員の質問への行政からの回答
テーマⅠ.に関して以下の議論がありました。
省令改正で過大な営業行為の制限、三部料金制の徹底、LPガス料金の情報提供の3つが明確化されたことは本当に素晴らしいことだと思っています。また、省庁間の連携が最近見えてきたのも素晴らしいと思います。私たち消費者のリテラシーを上げなければいけないと色々なところで言われていますが、それを求める前に、優良な事業者についてきちんと広報してほしいというのが本音です。優良な事業者が一目で分かるような仕組みがあると、私たちが事業者を選ぶ際に安心感が生まれます。

商慣行が大きく動き始めた契機は、事実の提示で消費者被害の実態が立証されたこと、マスコミ報道の後押しがあり悪しき商慣行の実態が社会の共通認識になったこと、複数行政の連携と推進が明確になってきたことの3つだと考えています。 実効性確保の取り組み課題は基準を今すぐ設けるのではなく、議論等を積み重ねて作ることとありますが、これには賛成です。その上でLPガス問題は消費者被害、社会問題の認識を共有する、罰則規定の制定、通報フォーム等で集まった情報の分析、実効性確保のために何をやりつつあり、何をやろうとしているのかが見えるような中身にして欲しいと思います。

今回の法令改正はいずれも消費者保護の強化につながるということで評価しています。今後の課題は実効性です。オーナーや不動産業界への訴求は国交省との連携が必要です。また原価償却期間が終了したものについては速やかに契約更新し三部料金制が適用されるような仕組み作りが必要です。

商慣行是正への取り組みは大手事業者にとっても設備費用の負担が重荷になってきたこともあり、徐々にコンプライアンス優先の状況に変化してきたように思います。現在は判断に迷うこともありますが、商慣行是正に向け取り組んでいます。今後多くの事例蓄積を経て、ガイドラインが拡充されれば、より理解しやすく、分かりやすいものになると思います。

立ち入り検査時にどういった観点から検査を進め、どういった質問等をするかについては、行政機関としてマニュアルのようなものを持っています。自治体とも情報共有しながら検査体制を組んでいるところです。また今後三部料金制に移行しますが、それについての検査項目も現在作成中です。細かい内容についてのご説明はできませんが、検査体制の確立に向け準備は進んでいます。

(3)総括:北星学園大学文学部 大島教授
全体を総括し大島教授より以下のコメントがありました。
取引適正化はここ数年で大きな前進があり、今年も非常に期待が持てる状況にあると思いますが、前進したからこそ見えてきた様々な問題や懸念といったものがあります。だからこそ消費者委員から様々なご意見やご指摘を本日いただいたと思いますので、ここだけで終わらせることなく、色々なチャンネルを通じて引き続き議論をしていくことが重要だと思います。
(広報室)