LPGC WEB通信
Vol.124 2024.09.10発行
令和6年度南関東地方LPガス懇談会が開催されました
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する南関東地方LPガス懇談会が、去る8月5日に開催されました。
対象の埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。
本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LPガス事故の発生を防ぐために)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。
1
LPガス懇談会について
(1)目的 LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、 事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、 関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法 全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
学識経験者委員……知見を有する大学教授等
自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
行政…………………経済産業省、地方経済産業局
オブザーバー………LPガス業界団体
報道関係
2
議事次第
(1)開会挨拶
関東経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 中田係長
今回議題となっておりますLPガスの料金透明化・取引適正化につきまして、長年課題となっております無償貸与や無償配管を是正するために省令改正が公布され、7月2日には過大な営業行為の制限、LPガスの情報提供にかかる規定が施行され、来年4月には三部料金制の徹底にかかる規定が施行されることになっております。この制度の実効性を確保するためには、お集まりの皆様の連携が不可欠です、と挨拶がありました。
(2)懇談 司会・進行:国際大学学長大学院国際経営学研究科 橘川教授
テーマⅡ.「保安」について
① 経済産業省ガス安全室の榎本室長補佐による解説
② 消費者委員からの質問・意見等
③ 消費者委員の質問への行政からの回答
④ 消費者委員の質問への事業者委員からの回答・意見等
テーマⅡ.に関して以下の議論がありました。
他工事による事故が多いというご説明でしたが、消費者はこの事実を知らないことが多いと思います。防草シートのピン打ちでもガス管を傷つけてしまう事例があることに驚いています。こうした事故事例も消費者は知らないと思いますので、事業者の皆様から情報提供をお願いしたいと思います。
保安あってのLPガス業界であり、我々はその中で色々な業務をしています。他工事による事故が多く問題になっています。今後は埋設配管の位置を明確に示す対策も必要になるかと思います。また、消費者起因の事故も起きており注意が必要です。LPガスの特性や保安について何も知らないような方が施工している場合もありますので、充分に注意しながら販売活動をしていきたいと思います。
テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について
①
資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターによる事前プレゼンテーション概要の取り纏め
②
消費者委員からの質問・意見等
③
消費者委員の質問への事業者委員からの回答・意見等
④
行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて
テーマⅠ.に関して以下の議論がありました。
政府は今年の5月から第7次エネルギー基本計画の策定に入っており、今回の計画は非常に厳しいものになる。あらゆる二酸化炭素の排出を減らす手段を取らなければならない。LPガスは我々が思う以上に引き続き重要なエネルギーであり続ける。その中で料金透明化・取引適正化を進めていかなければいけないという脈絡になると思うので、非常に重要な議題である。
自宅でLPガスを利用していますが、以前と比べて資料や料金体系のパンフレットが届くようになり、そういった点では以前より料金透明化について進捗があると感じます。無償貸与や貸付け配管といった商慣行は大きな問題だと思っています。今回の省令改正では罰則や公開モニタリングにて実効性を高めるとの解説がありました。今後とも関係省庁が連絡を取り合い、実効性確保のための対策を進める必要があると感じました。
私どもはLPガスの料金透明化・取引適正化問題に20年ほど取り組んでいます。長年料金透明化・取引適正化の問題を指摘してきて、今回WGでの議論を経て、省令改正が公布・施行されたことに感無量の思いがあります。この問題はLPガス業界だけの問題ではなく、管理会社や不動産業界も関係してくる問題です。改正省令で規制することができるのはLPガス販売事業者だけです。省庁間の連携を密にし、他省庁においても罰則規定を設けるなどの対応をしていただかないと消費者被害を改善することはできないと認識しています。
(3)総括:国際大学学長大学院国際経営学研究科 橘川教授
全体を総括し橘川教授より以下のコメントがありました。
今後の動きとしてポイントが2つあると思います。1つ目は今後も悪者を炙り出すこと。悪者は誤解を恐れずに言うと大手事業者だけとは限りません。2つ目は国交省を動かすこと。WGでも途中から公正取引委員会や消費者庁を呼ぶことで、国交省にプレッシャーをかけて、法律を変えるかもしれないという発言を引き出すことができました。どうやって国交省を動かしていくのか、ここに全力を上げていくべきだと思います。
(広報室)