LPGC WEB通信  Vol.117  2024.02.13発行 

 令和5年度九州・沖縄地方LPガス懇談会が開催されました

 経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する九州・沖縄地方LPガス懇談会が、去る11月30日に開催されました。
対象の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。
本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LP事故の発生状況等)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。

LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、
       事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、
       関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       行政…………………経済産業省、地方経済産業局、地方産業保安監督部
       オブザーバー………LPガス業界団体
       報道関係
議事次第
(1)開会挨拶
   九州経済産業局 資源エネルギー環境部      砂入 成章 次長

 LPガスは身近なエネルギーとして生活になくてはならないものです。特に九州地域においては総世対数の半数がLPガスを使用しており、より重要なインフラとなっています。また南海トラフ地震などの災害が危惧される中、可搬性に優れ貯蔵が容易であるLPガスは有事の際のエネルギーの最後の砦として大きな役割が期待されています。さて、今年度の本会議のトピックとして2点申し上げたいと思います。まず1点目はLPガス料金の価格高騰に対する負担軽減対策です。本日ご出席の各県LPガス協会の皆様に大変ご尽力いただき、全県においてLPガス使用世帯等の負担軽減に取り組むことができました。この場をお借りしまして御礼申し上げます。2点目はLPガス料金の取引適正化・料金透明化に向けた新たな取り組みです。
11月22日に開催されました液化石油ガス流通ワーキンググループにおいて今後の取り組み方針が示されました。実効性を確保しこの機に長年の課題でもある不透明な商習慣を是正していくことは、LPガスが引き続き消費者に選択されるエネルギーとなり、更には消費者との信頼関係の構築につながっていくものと確信しています。本懇談会は消費者、学識経験者、LPガス事業者、行政が情報提供と意見交換を行う大変良い機会です。本懇談会を通じ関係者相互の理解を深めることがLPガス産業の健全な発展に資するものになると思いますと挨拶がありました。 
(2)懇談 司会・進行:福岡大学 商学部      笹川 洋平 教授                                             

テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について

 ① 学識経験者委員による資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターの事前プレゼン
   テーションに関し概要の取り纏め
 ② 消費者委員からの質問・意見等
 ③ 消費者委員の質問への事業者委員からの回答・意見等
 ④ 行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて

テーマⅠ.に関して以下の議論がありました。
 LPガスの取引適正化に関する情報提供窓口(通報フォーム)へ情報提供する際に匿名での利用が認められているのは、正確な情報を提供してもらうという観点からみるといかがなものかとの意見や、三部料金制の「設備利用等料金」の部分の内容の正当性の評価はどのようにするのかとの意見、また、もう既に省令改正を見越した無償貸与の駆け込み競争が発生しているが、これは最終的に消費者に負担が回ってくることになる。商慣行を是正しようとしている中でこのような行為が行われることについてLPガス事業者や不動産業者はどのように考えているのか伺いたいとの意見が寄せられました。

テーマⅡ.「保安」について


 ① 学識経験者委員による経済産業省ガス安全室の事前プレゼンテーションに関し
   概要の取り纏め
 ② 消費者委員からの質問・意見等
 ③ 消費者委員の質問への行政からの回答
 ④ 消費者委員の質問への事業者委員からの回答・意見等

(3)総括:福岡大学 商学部    笹川 洋平 教授
全体を総括し笹川教授より以下のコメントがありました。
 今日は大変有意義な意見交換ができたと思います。一般の商品であればそれ自体営業行為ですので大きな問題にはならないはずですが、LPガス業界の場合、メインの商品がガスであること、また1回契約してしまうと簡単に切替ができないという特殊性があります。それに加えて家主と事業者が消費者の知らないところで料金設定をしてしまったり、工務店と事業者が家主やオーナーの知らないところで無償配管をしてしまうという問題が発生しています。これらについて1つ1つ事実を確認し、確認ができた段階でワーキンググループの方向性に沿った対策を考えることが重要だと思いました。基本的に電気、都市ガス、LPガス、どのユーザーも等しく消費者利益を受益する権利を持っていますので、それがアンバランスになるのは本来おかしなことであり、行政においてはそういう観点からLPガス行政を考えていただきたいと思います。また、正直者が得をするという業界秩序の形成に向けて消費者・LPガス事業者が協力し、さらに足りないことがあれば行政に少々強いことを言ってもいいのではないでしょうか。そういった声も必要であれば上げることで、行政にも検討いただけるのではないかと思います。
(広報室)