LPGC WEB通信  Vol.114  2023.11.10発行 

 令和5年度中部地方LPガス懇談会が開催されました

 経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する中部地方LPガス懇談会が、去る10月2日に開催されました。対象の愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県の消費者委員、事業者委員、学識経験者委員、自治体及び行政が出席しました。
本年度のテーマとして予め設定した、
①LPガスの料金透明化・取引適正化について
②保安(LP事故の発生状況等)
各テーマについてそれぞれ活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づきエリアを越えた共通課題に対し、従前にも増して議論が深まりました。

LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、
       事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、
       関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内の主要都市にて開催する
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       行政…………………経済産業省、地方経済産業局、地方産業保安監督部
       オブザーバー………LPガス業界団体
       報道関係
議事次第
(1)開会挨拶
   中部経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 中井 基之 課長

 平素は当局のエネルギー行政、LPガス行政にご理解ご協力をいただきまして誠にありがとうございます。今年度の本懇談会のテーマは料金透明化・取引適正化及び保安(LPガス事故の発生状況等)と伺っております。 料金透明化・取引適正化につきましては、これまで液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律や取引適正化指針ガイドラインなどにより、LPガス小売価格の不透明性の是正や取引適正化に取り組んできたところでございますが、賃貸集合住宅においては賃貸集合住宅オーナーに対するガス消費機器やエアコンなどの無償貸与、入居希望者に対するLPガス料金の情報提供不足、戸建住宅においてはLPガス販売事業者が配管の所有権を持ったまま屋内配管工事を行う無償配管などといった課題が指摘されておりました。これらの課題を解決するため今年3月に液化石油ガス流通ワーキンググループが開催され、無償貸与をはじめとする、 LPガス業界特有の商慣行の是正に向け、実効性確保を念頭において液石法施行規則の改正にまで踏み込んだ議論が進んでおります。一方保安(LPガス事故の発生状況等)につきましては、44年前の1979年には年間約800件も起きておりましたが、ガス事故をできるだけ減らしたいという取り組みをLPガス販売事業者やガス機器、ガス警報器等のメーカーの皆様と行政で進めた結果、ここ数年は年間200件前後で推移しております。行政といたしましてはLPガスを安全に使っていただくためいろいろな方法で安全啓発を行ってまいりますが、 LPガス販売事業者におかれましては、引き続き事故の防止に取り組んでいただきますようお願いいたしますと挨拶がありました。

(2)懇談 司会・進行:名古屋工業大学 大学院社会工学専攻  渡辺 研司 教授                                             

テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化」について

 ① 学識経験者委員による資源エネルギー庁・エルピーガス振興センターの事前プレゼン
   テーションに関し概要の取り纏め
 ② 消費者委員からの質問・意見等
 ③ 消費者委員の質問への事業者委員からの回答・意見等
 ④ 行政のLPガスの料金透明化・取引適正化の取組みについて

テーマⅠ.を総括し渡辺教授より次のコメントがありました。
まずは所管であるLPガス販売事業者に関係する省令を整理して、そのうえで他の省庁を巻き込んで進めていこうとしております。また、このような改革は強制力を伴う法規制がないとできない部分がありますので、これは官民連携で進めていくのが重要であると思います。正直者はバカを見るではありませんが、抜け駆けをする人たちがいることで健全な競争が保たれていないとすれば、その方々を公開することも必要だと思います。

テーマⅡ.「保安」について


 ① 学識経験者委員による経済産業省ガス安全室の事前プレゼンテーションに関し
   概要の取り纏め
 ② 消費者委員からの質問・意見等
 ③ 消費者委員の質問への行政からの回答
 ④ 消費者委員の質問への事業者委員からの回答・意見等

(3)総括:名古屋工業大学 大学院社会工学専攻  渡辺 研司 教授
全体を総括し渡辺教授より次のコメントがありました。
テーマⅠにつきましては、LPガスの料金透明化・取引適正化ということで経産省も省令改正に向けた動きが始まったということであります。現場の方でも既に岐阜県では、実際に不動産業者を巻き込んだ形で料金透明化・取引適正化に向けた動きがございます。その一方でそうではない販売事業者がいるということは悪貨が良貨を駆逐するではありませんが、正直者がバカを見るという状況があるとすれば、それを是正しなければなりません。また、ブローカーの存在や裏取引というものがあるとすれば、そういった実態をもう少し吸い上げてワーキンググループに打ち込んでいかないと、せっかく省令改正を実施しても実効性を欠くことになるかもしれませんので、そのような点につきまして各地域の懇談会でより具体的な議論を進めることが重要かと思います。ルールを守らない販売事業者については通報も歓迎するという話がございましたので、違反があった場合は通報してその販売事業者に対してヒアリングを実施していただくなど、様々な対応方法があると思われますので、実態を把握しながら省令改正を進めていくという推進段階に入ったと思います。ぜひ皆さん立場を超えてご協力いただければと思います。テーマⅡの保安につきましては、他者起因による事故であるとか、あるいは高齢者も含めて誤操作による事故があるとすれば、そこについての普及啓蒙もどうするかというのは、いろいろな個別の取り組みもありましたが、こういったものは情報共有しながら進めるべきだと思いますので、個別の取り組みでは限界があるという点もふまえ、このような懇談会の場でシェアしながら進めるべきだと思います。
(広報室)