LPGC WEB通信 Vol.51 2018.06.11発行
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平成29年度石油製品需給適正化調査 概要(前編) (石油ガス流通・販売業経営実態調査) |
当センターでは、経済産業省の委託事業として石油ガス流通・販売業経営実態調査を行い ました。調査結果の概要を前編と後編に分けて公開いたします。 ※後編は来月号に掲載予定です。 |
_______________________________________ LPガスを取り巻く環境は、少子高齢化による人口減、東日本大震災後の省エネ志向の高まり による国内需要の減少傾向が続いています。しかしながらその一方で、緊急時にも活躍できる 分散型のクリーンなLPガスは、この自然災害の多い日本において「災害時にはエネルギー供 給の最後の砦」と認識されています。 小売部門については、エネルギー自由化時代においても消費者に選択してもらえるよう、LP ガス料金設定の考え方を含めた料金の透明性確保・向上が求められ、「改正液石法省令等及び 取引適正化指針」や「LPガス販売指針」に基づく取り組みの一層の進展、取組状況のフォ ローアップが求められています。 このような背景のもと、本調査は経済産業省資源エネルギー庁が、平成29年度石油製品需給 適正化調査として一般財団法人エルピーガス振興センターに委託した調査です。 実施した内容は、LPガス販売事業者における経営の合理化、近代化を図り、LPガスの低廉 で安定的な供給に資する情報を収集し、LPガス販売事業者の経営実態を把握するLPガス小 売価格の実態調査を行い、透明性の確保や消費者への情報提供とあり方について調査するこ と。また、災害時のLPガスの有用性に鑑み、充填所についての調査に加え、災害時に機能を 維持する必要のある施設における燃料備蓄の状況などを調査することにより、LPガスの業界 の取引適正化を図り、料金構造の改善、消費者への情報提供のあり方、災害時の活用方法につ いて検討するための基礎資料とすることを目的としたものです。 ◆LPガス販売事業者の経営実態調査 調査対象は全国のLPガス販売事業者のうち10,000事業者。 ◆LPガス充填所に関する調査 調査対象はLPガス充填事業者のうち200事業者。 ◆需要家側における燃料備蓄に関する調査 調査対象は病院、介護事業者、自治体のうち5,000事業者。 _______________________________________ ※調査報告書から引用をしておりますので、項目2-1からの掲載となります。 |
2-1 販売事業者の実態 1.組織形態別にみた事業者比率(SA) 組織形態別の事業者数は「(法人経営)会社組織」が56.3%と最も多く、「個人経 営」、「(法人経営)組合」が続いている。 |
2.流通段階別にみた事業者比率(SA) 流通段階別の事業者数は「小売専業者」が92.5%と大部分を占め、「卸売小売兼業者」 が7.1%となっている。 |
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3.兼業の有無 LPガス以外の事業との兼業状況について、「その他事業と兼業である」と回答した事業者 が79.1%を占めている。 |
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4.事業承継 現在の経営者は「2代目」との事業者が半数近くを占めている。また、「5代目以上」との 回答も258件に達する。 |
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2-2 販売事業者の経営実態 1.簡易損益 各利益率はLPガス部門の方が良好であり、LPガス事業が全社での収益性向上に貢献して いる結果となっている。 |
2.販売数量 (1)得意先戸数別事業者割合 得意先戸数別の事業者の比率は「1-150戸」が26.2%で最も多く、「151-300戸」が 24.2%、「301-600戸」が22.5%で続いており、これらの合計で7割を超えている。 |
(2)得意先戸数別の増加要因 得意先戸数別の増加要因としては、「賃貸住宅等への入居」が最上位となっており一事業者 あたり14.7戸増加している。その他の要因として、「同業他社からの顧客獲得」が 13.0戸、「住宅の新設」が12.4戸で続いている。 |
(3)得意先戸数別の減少要因 得意先戸数別の減少要因としては、「同業他社との競合」が一事業者あたり9.1戸で最上 位となっており、競合エネルギーによるものを上回っている。その他の要因として、「賃貸住 宅等からの転出」が6.9戸、「住宅の取り壊し」が5.5戸で続いている。 |
(4)消費量別顧客構成(月間消費量) 消費量別の家庭用得意先構成比率は「5m3以内」が53.0%と過半数を占めている。 |
3.小売販売価格 家庭用小売価格の全国平均は「基本料金」、「5m3料金」、「10m3料金」ともに戸建用料 金の方が集合用料金よりもやや安価となっている。 |
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2ー3 取引適正化に向けた取組 (1)全体 家庭用の料金表は「1種類」の事業者が38.4%、「5種類」までで84.4%を占め、 一定程度の集約が進んでいることがうかがわれる。 |
(2)得意先戸数別 得意先戸数が「5000戸以上」の事業者では、「7種類以上」との回答が72.6%を占 めている。 |
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2.家庭用小売料金の開示方法 家庭用小売価格の開示方法として「店頭に料金表を掲示」事業者が46.0%と最も多く、 「全得意先に料金表を定期的に配布」が39.3%で続いている。 |
3.料金変更時の通知 小売価格値上げに際し、周知文書へ値上げ理由を記載している事業者が86.7%を占め る。 |
4.苦情などへの対応 (1)苦情などの記録簿の作成状況(事業者割合) 苦情などに対する記録簿の作成状況は、59.5%の事業者が「作成している」と回答して いる。 |
(2)専用相談窓口の設置状況(事業者割合) 苦情や相談の対応について、「専用相談窓口を設けている」事業者は10.2%となってい る。 |
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5.契約開始時の説明 14条書面の記載内容を「説明している」事業者は96.9%となっている。 |
6.契約解除時の供給設備の撤去 契約解除時の供給設備撤去までに要する日数については、大多数の事業者が「7日」までと 回答している。 「1週間ルール」は浸透しているが、「退去時のお客様の都合に合わせている、あくまでも 平均」というコメントも多数追記されていた。 |
7.賃貸型集合住宅における設備負担・LPガスへの転嫁 (1)設備費用を負担したことがある事業者割合 賃貸型集合住宅における設備費用について、「負担したことがある」事業者が54.7%と 過半数を占める。 |
(2)負担したことのある設備内容 費用負担をしたことがある設備としては、「給湯器」が98.5%と圧倒的に多く、「エア コン」が22.9%で続いている。 |
(3)負担した設備費用をLPガス料金に転嫁している事業者割合 負担した設備費用のLPガス代金への転嫁について、「転嫁していない」とする事業者が 70.2%と大半を占めるが、「設置をした一部の賃貸型集合住宅では転嫁している」と回答 した事業者も29.6%に達する。 |
(4)転嫁している設備内容 LPガス代金へ転嫁している設備としては、「給湯器」が95.3%と圧倒的に多く、「エ アコン」が22.2%で続いている。 |
2-4 販売事業者のヒアリングまとめ |
(調査研究部/鈴木 宏) |