LPGC WEB通信 Vol.49 2018.04.10発行
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LPガス国際セミナー2018 開催報告(前編) |
LPガス国際セミナー2018を、3月6日(火)から7日(水)にわたり昨年と同じく東京・ 大手町の日経ホールで開催しました。 今月号と来月号に分けて、各講演者のプロフィール、講演内容をご紹介します。今月号では 初日の講演内容をお届けします。 |
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(会場の様子:増田エルピーガス振興センター理事長の開催挨拶) | |
<<初日(3月6日)の講演>> |
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1.基調講演:ポーテン&パートナーズ社(英国) LPGコンサルタント エマ・ラム氏 テーマ「世界のLPGマーケット:変化、挑戦と新たな章」 |
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【略歴】 ポーテン&パートナーズは60年以上の歴史をもち、コンサルタント活動と営業経験、海運市 場に直接かかわった経験を上手く組み合わせたユニークなサービスを提供する会社と位置付け られている。 エマ氏はセントアンドリュース大学で化学修士号を取得後、バース大学で化学博士号を取得 している。彼女は2014年にポーテン社のLPG & LNGコンサルティングチームに入社し、蓖麻 子油を含む消費財の需給と化学産業の関連を担当してきた。現在、彼女の専門は国際LPGマー ケット需給のモデル化である。彼女はLPGの需給問題、取引フロー、市場参入戦略に焦点をあ てた数多くの国際プロジェクトをリードしてきた。化学知識を有効に活用し、彼女は石化の利 用に特に焦点をあてたLPG下流部門の販路の分析に貢献している。 尚、彼女はポーテン社が毎月発行しているLPG in World Market及びポーテン社のオンライ ンLPGデータベースへの情報提供において常に貢献している。 |
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【講演内容】 ●中東は依然としてアジア向け供給の主要地域である。しかしながら2013年以降は米国の シェールガス由来のLPG輸出が著しく伸びており、今では米国が世界のLPGマーケットで鍵 となる供給国である。中東は増産が続くものの、東半球の伸張する需要には不十分である。 米国の驚異的な輸出増は西半球に供給されてもなお、プロパンは特に余剰である。輸出供給 の追加によって、LPG需要は世界的な石化需要の増大、特に西欧とアジアの鍵となる諸国に 焦点をあてて変化をみせてきた。中国では2013年に多くのPDHが稼働開始したことに伴い 輸入需要が伸び続けており、2015年には世界1位の輸入国となった。石化向けのLPG輸入が 伸びているので、価格センシティブがどの程度なのか、国際LPG価格がいくらに設定される のか、疑問が残る。また、2017年を見ると、供給主導のマーケットから需要主導のマー ケットに変わったかどうか疑問が浮かぶであろうがこの講演で答えていきたい。 ●需給の変化は当然のことながらLPG価格に影響を与え続け、西半球で追加供給が出現したの で、西欧LPG価格は原油とナフサ価格に比して安くなり、スチームクラッキングにとって魅 力を増した。しかしながらマーケットにおける最大の変化と価格への影響は米国湾岸地域か らの輸出レベルの増大である。過去には米国価格は東半球価格と同レベルではなかったが、 東半球の需要が拡大し域内供給が不十分で米国からの輸出が世界の海上取引の鍵となると、 LPG価格は世界スケールで同調し始めた。これは、米国からの北東アジア向け及び西欧向け の価格スプレッドが、ここ数年、まさに世界的に値付けに使われて契約されていることを見 ると更に強調される。 ●世界の海上取引は2017年に約97百万トンに達し、これは2016年比で3.5百万トン増である ものの、米国のシェールガス由来の増産と新しい輸出設備の追加がもたらしたここ数年の 8百万トンの増加には程遠い。2016-2017年伸び率は4%だが、2013-2016年の期間の年間 伸び率は平均で9%であった。中東地域は主たるサプライヤーであったが、この6年間の伸び は合計で15%または9.5百万トンである。 ●2017年については、海上取引の伸びが2017年は鈍化しているが東西の需給バランスを見る と、2016年に比べ少なくなっているとはいえ2017年は西の供給増が続いた。同時に2016年 から2017年は、LPG価格が過去数年よりも相対的に高かったので、西欧の石化の採算が悪化 し西の需要は減退した。更に西欧のスチームクラッカーはエタン原料に置換されもした。東 では、OPECの減産が特にサウジからの輸出減をもたらした。需要面ではインドネシアやイ ンドのリテールマーケットの成長は続いているものの、全体の伸びは、LPGを原料とするク ラッカーの経済性が悪化したことにより輸入需要が過去よりも減少した。 ●この結果、アジア・パシフィックの需要増に向けて、2017年は西から東への流れが増加し た。西欧を見ると、2017年は大西洋のラージバルク分野の需要が減少しプロパンのスプ レッドが$52/トンから$44/トンに狭まった。興味深いことには、米国から極東向けプロパンス プレッドは狭まったものの、2017年の米国からアジア・パシフィック向けに約15百万トン 動いており、2016年比4百万トン上昇している。これは裁定取引の経済性が悪くても東の需 要の伸びが西からの追加出荷を牽引していることを示している。なお、2017年の裁定取引の 経済性悪化は82カーゴ以上のキャンセルを生んだ。 ●2017年の米国輸出先を詳細にみると、欧州、アフリカ向けは減少、中南米向けは例年並、ア ジア・パシフィック向けは大幅増で、米国輸出の合計は28.5百万トンに達した。2016年か らは3百万トンの増であり、日本と韓国向けが増加分の大半である。興味深いことは、日本と 韓国の総需要は2016年から2017年は増えておらず、日本は約10.9百万トンを維持し、韓国 は7百万トンから6.2百万トンに減少しているので、米国産が中東産に置き換わったことを示 す。中国は状況が少し異なり、米国産の輸入は伸びているものの総需要が伸びている中国に 向けては中東産が伸びている。 ●西欧の石化利用に目を向けると、スチームクラッカーでのLPGの利用が最高レベルだった 2015-2016年と比べると2017年は環境が変わった。LPGの値付けがその年のクラッキング の主流であった過去2年の後で、2017年の西欧では季節性が戻ってきた、夏は石化ユーザー にLPGは有利性をもたらし、冬はLPG価格が高くなりプロパンとブタンは有利性を失った。 この地域におけるスチームクラッキング需要向けの輸入については、2016-2017年は 6.5百万トンに増えた後で2017年は経済性の悪化とクラッキング向けエタンの米国からの輸 入増により約20%減少した。 ●今度はアジアの石化状況を見よう。西欧と同じことが起きている、すなわち2017年のLPG価 格の強勢が東ではプロパンがナフサの97%、ブタンがナフサの100%となった。その結果と して、東ではスチームクラッキングに対してエチレン生産が高マージンだったにもかかわら ず、ほぼ1年を通してプロパン、ブタンの両方に対してナフサがより良いマージンを提供し た。これは2015年と特に2016年のLPGのほうがナフサより高いマージンを提供していたこ とと比較される。この影響を輸入需要でみてみると2017年はクラッカー用ブタンが減少して いる。 ●次の5年を見るにあたり、まずは世界の海上取引の供給を予想したい。過去の主供給地域で あった中東は引き続き伸張が予想される、特にイラン、カタール、アブダビにおける新規ガ スプロジェクトが著しく、輸出レベルはこれらのプロジェクトの稼働開始による。他に伸び る地域はアンゴラと豪州のLNGプロジェクトであるが、驚きもなく最大の成長は米国であ る。今後数年は米国輸出だけでなく新規のカナダ輸出プロジェクト追加で1.5百万トンが出 てくることが予想される。米国はもちろん増え続き、2020年までには世界の海上供給の 33%になり、2025年までにはほぼ40%近くまで上昇する。これはシェールガスの増産によ るものである。 ●米国はLPGマーケットのキープレイヤーであるので、さらに詳しく見たい。米国の増量はガ スプラント生産増によるものだが、ポーテンの予想では2017年から2018年は9%ほど、あ るいは約5.5百万トン増加し、2020年には80百万トン近くに上昇するであろう。今後数年間 は国内需要の伸びは限られているので、追加された供給は輸出市場に向かう。輸出レベルが 伸び続けるので、疑問は輸出能力が十分であるかである。米国のインフラ開発の最後の波 は、今年出てくる北東部にあるマリナーイースト2パイプラインが完成しマークスフックか らの輸出が予想される。2022年に米国輸出が40百万トンに達するまでに成長を続けるため には追加の輸出能力が必要である。 ●これらの米国の全ての追加供給が輸出市場に向かうということは、西欧でのLPG需要が大き く伸びるとは期待できない(2017より少し上回る程度では伸張するであろうが)一方、需要 が最も伸びる地域は驚くこともなく東であり、その結果、西から東への流れは2022年に向 かって20百万トンから27百万トンまで増え続ける。注意しておくことは、西欧は2017年と は異なり2018年は米国品をもっと引き取るであろうから限定的な伸びが期待され、同様に 2018年は東でも追加供給はあるが石化分野での需要増はない。 ●需要サイドに目を向け、この追加供給がどこに行くと予想されるのか?アジアがこの追加供 給の吸収に極めて重要である。海上輸入需要は2017年の約60百万トンから2022年は75百万 トン近くに伸びると予想される。この成長は、バルク分野とリテール分野の両方の需要増が もたらした。バルク分野においては、石化プロジェクトの新規PDH装置やLPGを使用するス チームクラッキングという新しい波が起きるだろう。この結果、より良い経済性や原料を軽 質化する多くの生産者をもたらした。 リテール分野では、インド、インドネシア、バングラデシュや他の東南アジアのような新興 開発国において成長が続く。アジア以外のリテール分野では、地中海諸国、北アフリカ、そ の他アフリカ、中南米において、国内生産レベルが上がるまで、例えばブラジルのように、 輸入需要が伸びる。西欧においては短期的には好調な経済や2022年に向けての成長が若干予 想され、インフラへの投資、例えば新規PDHプラントや新貯蔵プロジェクトによりジャカル タの需要増が期待される。 ●東の少数の主要輸入国に特化してみれば、中国がまちがいなくキープレイヤーである。日本 と韓国はリテール分野は成熟マーケットであり減少または停滞しているが、石化需要とくに スチームクラッキング向けの増加により、輸入需要は少し増加する。一方でインドについて はここ数年家庭におけるLPG消費、とくに調理を伝統的な方法で行っている田舎を対象に政 府が計画的に転換を推し進めたため、驚異的な伸びを見せてきた。最近の毎年伸びている大 きな成長にもかかわらず、2025年に向け伸び率は若干おちると予想する。他のアジア諸国、 タイやベトナムのような東南アジアも成長が予想される。 2017年に特化してこれらの国の輸入需要を見る。インドの輸入の大半はリテール分野であ る。日本は、リテールマーケットが減少しラージバルク利用が伸びているにもかかわらず、 LPG輸入の大多数はリテール用である。韓国では、過去はリテールマーケットから輸入が始 まったが、特にPDHとスチームクラッキング向けのラージバルク分野の成長が著しくなって きた。2017年には輸入の60%がラージバルク分野である。これは中国でも同じような状況 であり、他分野でもラージバルク需要の伸びがみられている。他のアジア諸国では輸入の大 半はリテールであり大きな変化はないと予想する。これらを総合すると、世界のLPGの状況 は2022年までに中国の輸入需要は海上取引の21%となり、中国、インド、韓国と日本は世 界のLPG取引数量の半数近くを吸収する。 ●中国の輸入需要の伸びのピークは過ぎたのか、あるいはこれまでの伸びが続いていくのか? 2013年に最初のPDHプラントが稼働してからこの分野での突風を見てきて、ラージバルク LPG需要は2015年から2017年に64%増加した。しかし2016年から新規のプラントは立ち 上がっていない。新規プラントが今後数年の間に稼働を予定していたり、LPGを使うエチレ ン生産の拡張を検討している生産者がいたりしてLPG需要は増えるものの、この分野での 2017から2022年の伸びは約25%に減速すると予想する。中国で最大の需要であるリテール 分野においては、2015年から2017年の伸びは25%だった。しかしLPGは天然ガスのような 他燃料との競合により2017年から2022年の伸びは10%に減速する。他に注意しておくこと は、米国エタンを原料とするスチームクラッカーを構想している生産者がいることである。 ●他のキーとなる国であるインドは、2017年は2016年の10.2百万トンから大きく伸びて 11.7百万トンを輸入し日本を抜いて世界第2位の輸入国となった。中国や韓国と違ってイン ドの輸入は主にリテール需要である。過去にはスチームクラッキング用に0.5百万トンの LPGが輸入されたが、リライアンスがエタンに転換したようにこの分野では輸入が減少して いるので、インドの輸入はリテール分野に焦点を当てる。インドの輸入の大多数は中東か ら、特にサウジとカタールであり、2017年のインド輸入需要の60%となっている。インド の輸入需要の将来へのキーは、リテール分野の燃料としてLPGを使うための政府支援であ り、補助金の効果である。さらにインドの港における荷揚げの大幅な遅れであり、インフラ が成長の度合いを制限するであろう。 ●他のマーケットで輸入の伸びの可能性があるのは、アフリカ及びパキスタン、バングラデ シュのようなアジアのリテール分野である。西では、中米やカリブ諸国のような発電需要や リテール分野である。他の成長地域は、リテール分野が伸びる北アフリカと南欧や、モ ロッコやエジプトのような地中海諸国である。東では、既に紹介したインドを除くと、中国 とインドネシアの輸入の伸びは続くと予想され2017年レベルから2022年は約2百万トン伸 びるだろう。また、日本と韓国、ベトナムのラージバルク分野の輸入需要も加えられるであ ろう。 |
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2.講演:経済産業省(日本) 資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課企画官 谷浩氏 テーマ「日本のLPガス政策の現況」 |
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【講演内容】 ●日本の需要は1996年の19.7百万トンをピークに逓減している。2016年度は約14百万トンに なる。今後は家庭業務用をはじめとした需要拡大と産業基盤強化に取り組む。 ●供給の8割が輸入で、2012年から米国品が増加し中東依存度は54%に下がった。今後も調達 国の多様化に取り組みたい。 ●国家備蓄が昨年11月に目標の輸入量50日程度、約1.4百万トンを達成した。民間備蓄は省令 を改正し今年2月に輸入量の50日分から40日分に引き下げた。今後もLPG産業の基盤強化と なる施策を実施したい。 ●日本は最高レベルの安全を実現しており、集中管理システムを拡大中である。急速に需要が 拡大中のアジア諸国に、日本の誇る安全と保安を中心にした技術協力を開始した。昨年は ミャンマーから8名の行政官を招き10日間研修を実施している。 ●今後、他のアジア諸国との協力を拡大していく予定。 |
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3.講演:日本LPガス協会(日本) 会長 岩井清祐氏 テーマ「日本のLPガス業界の現況」 |
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【講演内容】 ●我が国の法定民間備蓄は1981に義務化され、1989年に目標の50日分を達成した。2017年 12月に省令の改正があり、2018年2月以降40日分に引き下げられた。一方、国家備蓄は湾 岸紛争を受け1991年に目標数量40日分が定められ、2017年11月に数量50日分を達成して いる。 ●供給では、米国からの調達が拡大している。2017年度の輸入シェアは米国が56.3%となっ た。調達先の多様化で、我が国までの運送期間がアラビア湾岸18日、豪州8日、米国西海岸 12日、米国メキシコ湾岸28日、米国東海岸29日となっている。今後も輸入は米国を中心に 増加していく。 ●日本到着時の輸入価格は中東産、米国産は2014年以降相関関係が強まり、2017年は原油価 格の上昇によりCP/MBとも上昇傾向。 ●日本の国内需要は1996年をピークに漸減傾向、2016年度も減少が続いた。需要喚起にセク ター毎に目標を設定、家庭部門5.1百万トン、業務部門2.2百万トン、産業部門6.2百万ト ン、運輸部門1.3百万トン。具体策として、FRP容器の技術基準化と普及促進を図る、GHP とコジェネ設置推進、災害・福祉ニーズに答えたLPG車の普及促進、災害対応型バルク供給 システムの普及促進、供給サイドにおける強靭化対策(基地出荷機能の強化、中核充填所の整 備)を挙げた。 ●長期視点における日本のエネルギー政策は、カーボンフリーに向けた総力戦でもある。 ●船舶燃料としてLPGの可能性がでてきた。 ●今後の課題は、国内のエネルギー市場自由化の流れにおける対応であり、ひとつは総合エネ ルギー市場の創出、もう一つは料金透明化と取引の適正化である。 ●まとめ、「調達先の更なる多様化」「災害対応能力の強化」「需要創出」「料金の透明化」 「流通の合理化」「海外諸国との関係強化」が重要である。 |
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4.講演:タルガ・リソーシズ社(米国) バイスプレジデント ロバート・ドナルドソン氏 テーマ「永続を確立する:米国ミッドストリームのインフラの進展」 |
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【略歴】 同社は2003年4月に設立されたミッドストリームのリーディングプロバイダーであり、北米 最大のミッドストリームにおける独立系エネルギー会社である。同社はミッドストリームにお ける補完エネルギー資産の保有/操業/獲得/開発という多様的なポートフォリオをもっている。 主な事業は、天然ガスの購入/プロセシング/販売、LPG輸出を含むNGL/NGL製品の貯蔵/蒸留/ 処理/輸送/販売、原油の購入/貯蔵/処理、石油製品の貯蔵/処理/販売である。 ドナルドソン氏は米国内で幅広い経験をした後にLPG国際マーケットにやってきた。彼はそ の長いLPG経歴を、1996年にWarren Petroleum社の米西部地域の鉄道フリートロジスティク スの運営でスタートした。Warren社と後半のDynergy社におけるマーケティングの時代に は、米西部のブタン及び重質製品に焦点をあてたリファイナリーサービスに従事していた。最 近のTarga Resources社では、国内プロパンマーケットに焦点をあてるとともに、ノースダコ タ州Williston BasinにあるTarga社のBadlandsガス田におけるガスプロセシングと生NGL生産 をサポートしてきた。彼の現在の職務は、Targa社の国際/国内マーケテイングと輸送事業の責 任者である。彼は、カリフォルニア州立大学デイビス校において理学士とMBAを取得してい る。 【講演内容】 ●米国の最近の原油とNGLの生産は、原油価格(WTI)が低レベルにもかかわらず、高いレベル が維持されている。 ●IHSの予想では、現在から2025年の間にNGLの生産は2MMBbl/d近く増え、ミッドスト リームのインフラも整備されるとしている。PADDにおけるNGLの生産物はMBに向かう。 ●Premian Basinが今後の生産の成長の主なけん引役となり、増産分を取り扱うためのミッド ストリーム及びダウンストリームへの投資に拍車がかかる。 ●米国のLPG生産の急激な伸びは輸出世界1位の地位を中東から奪った。米国の内需はフラッ トなので、余剰分は海外に放出される。 |
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5.講演:ワンフア・ペトロケミカル社(中国) アシスタント・ジェネラルマネージャー トニー・リアン氏 テーマ「中国のLPGマーケットの重要な進展」 |
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【略歴】 ワンフア・ケミカル(万華化学)グループは、ポリウレタン原料であるMDIとTDIの世界最 大の生産者であり、中国のプロパン、ブタンの下流におけるキー・サプライヤーで、精密化学 品の世界トップ生産者でもある。生産は中国、欧州、米国で行われており、世界中で 12,000人の従業員がいて、その市場価値は200億米ドル、ネット利益は約22億米ドルを計上 している。 トニー・リアン氏はワンフア・ケミカルグループに2007年にファイナンス・コントロー ラーとして入社し、2009年にWanhua Netherlandsのファイナンス・マネージャーに昇進し た。3.5年のアムステルダム勤務の後に、ブダペストにあるBorsodChemにマーケテイング・ マネージャーとして異動し6か月勤務した。2013年初に中国に戻り原料購買のヘッドとして Purchasing Departmentに配属され、現在は。ワンフア・ペトロケカルのアシスタント・ ジェネラルマネージャーである。 |
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【講演内容】 ●中国の消費はここ3年間、15%以上の伸びを維持してきた。国内生産が需要の伸びに追いつ かないので、輸入が伸びた。2017年の総輸入は18.5百万トン(プロパン13.4百万トン、ブ タン5.1百万トン)であった。2017年の中国のLPG国内生産は2.9百万トン、原油精製は 4.9%伸びて精製量は568百万トンに達した。LPGの国内生産はSinopecとPetro Chinaが 52%を占め、地域では沿岸部が70%である。原油精製能力は2017年から2020年までに中 国南部を中心に159百万トン増える。LPG生産量は年間3百万トン増える。 ●2017年の需要構造は、家庭用31.7%、業務用9.8%、石化用42.9%、産業用14.1%、自動 車用1.5%となっており、石化用は主に山東省と北部で消費されている。家庭用については 政策変更と石炭からガス転換に対する補助金支給によって伸びる潜在性があるものの、需要 の伸びは鈍化している。 ●中国のプロピレンは64%がポリプロピレン製造用途であり、2017年の輸入量は31万トンで ある。プロピレン供給予想は今後のPDHプラントの立ち上がり(2018年2つ、2019年6つ、 2020年1つ、合計生産能力5.7百万トン)により増加する予想である。アルキレーションに ついては、2012-2017年は生産能力が年率10%以上も伸びたブーム期であった。アルキ レーションプラントの増加はイソブタンの追加需要を生む。2020年までにアルキレー ションはプラントの新設で7.5百万トン増え、LPG(主にイソブタン)需要は1.2百万トン 増える。MTBEに関しては、PO/MTBE、C3/C4 ADH、BDH用に4.6百万トンのブタン需要 がある。PDHプラントは比較的収益を維持しているが、ADH-MTBEプラントは2017年はブ タン高の影響で収益が悪かった。 ●天然ガスは中国の再生不能エネルギーの中で最速で伸びている。天然ガスは現在中国のエネ ルギー消費の中で6%となっており、中国政府はこれを2020年までに10%に、2030年まで に15%になると予想している。天然ガスの消費は2017年に30bcm増え235bcmになった。 この冬に3.9百万戸の家庭が、大気汚染改善に暖房を石炭から天然ガスに転換したため、天 然ガス消費が急増した。LPGの家庭用と産業用の分野においては天然ガスとの競合により、 さらに価格に敏感になるであろう。2017年は天然ガスに比しLPGは11月まで割高であっ た。この冬、多くの化学プラントは天然ガスの不足により減産するかシャットダウンした。 天然ガスの輸入は2017年に26.9%増え68.6百万トンになった。12月単月でも、中国は 7.9百万トン輸入した。 ●自動車用燃料は、新エネルギー車やCNGが台頭し、政府もバイオエタノール車を推進して おり、LPGオートガス需要は政策の変更と価格競争性の喪失により減退している。 |
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6. 講演:世界LPガス協会(フランス) デピュティ・マネージングダイレクター マイケル・ケリー氏 テーマ「変貌する世界におけるLPG:需要の成長はどこからもたらされるか?」 |
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【略歴】 世界LPガス協会はLPガスの普及推進の世界的団体である。加盟は125ヵ国、250団体/企業 となる。 米国ワシントンDCのジョージワシントン大学で外事修士号を取得、4ヵ国語に堪能で、これ まで米国、日本、台湾、イタリア、イギリス、フランスに仕事で住んだことがある。彼は 2006年10月にWLPGAに市場開発のダイレクターとして参画した。環境政策、広報、コミュ ニケーションにおける広範囲な経験をもとに、米国生まれの彼は実業界、政府、民間組織の橋 渡しに焦点をあててきた。彼は、前職はパリにある国際商業会議所の環境・エネルギー政策分 野のポリシーマネージャーであった。彼はそこで、環境、エネルギー、気候、持続可能開発に おける国連交渉での実業界派遣団をコーディネートした。彼は2010年5月にWLPGAのデビュ ティ・マネージングダイレクターに昇進した。 |
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【講演内容】 ●LPG産業の概況は、北米シェールガス革命が世界の生産を牽引した、パナマ運河の拡張は米 国湾岸LPGをアジアにもたらした、イランの輸出の可能性はアラビア湾岸LPGをさらにアジ アへと向かわせる。 ●LPG生産は2017年は5.75%増え306百万トンに伸びた、2016年の消費は2015年より6.5% 増え298百万トンに増えた、価格は歴史的な低いレベルが維持されているが変わるのでは。 ●増産は続く。北米が牽引しているが他地域も伸びている。 ●強い需要、アジア太平洋地域が最大の伸びとなっている。2016年の世界の需要の上位10国 は順に、中国、米国、インド、サウジアラビア、日本、ロシア、韓国、メキシコ、カナダ、 ブラジルである。 ●需要を牽引するものは、経済成長(特に個人所得の伸び)、人口増加、ガスインフラへのア クセスと投資、環境政策、グッドプラクティスを実行するにあたり適切なフレームワークの 調整である。 ●LPGによる調理が有望である。世界中で4.3百万人が毎年室内の空気汚染で死亡している。 なぜ調理にLPGを薦めるかというと、LPGは輸送が容易で、運搬も容易、劣化することなく 貯蔵でき、クリーンなエネルギーであるから。家庭用の需要が大きく拡大しているのは、発 展途上国での調理用である。調理需要が成長しているのは、明確な政府の政策、末端消費者 の目にみえる利点(金と時間の節約、健康の改善と地位向上)、強力かつ効果的な産業界の 推進である。また政府の役割が極めて重要である。 ●オートガスは、研究所だけでなく実際に使用してもクリーンである。オートガスは大気汚染 を即時に解決する。オートガスはガソリンや軽油よりも安全である。オートガスは、年間 26百万トン強、2010-2015年の伸びは34%、2020年までには35百万トン強になる。 ●発電用LPGも期待できる。対象は中小規模<50MWから、大規模<400MWである。LPGは 他競合燃料より魅力的な価格であること、LPGのインフラは多くの国で整備されているこ と、取扱い・輸送・貯蔵が比較的容易でコストも安い、LPG発電は相対的に早く導入でき 且つコストも安い。事例として米国バージン諸島、ガーナにおけるLPG発電がある。 |
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7. 講演:サウジ・アラムコ社(サウジアラビア) マーケティング・コーディネーター ムアイヤッド・アルアバンディ氏 テーマ「限りなき可能性」 |
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【略歴】 サウジアラビアの国営石油会社であり、世界、特にアジアのLPガス供給のプライスリー ダーである。 アルアバンディ氏は東海大学の化学エンジニアリング学士号を取得。2007年にサウジ・ア ラムコ社の奨学制度を利用して日本に留学している。2013年から同社のLPGセールス&マー ケティングで働いており、現在はマーケティング・コーディネーターの肩書である。 |
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【講演内容】 ●最近の輸出動向は、2016年は9.4百万トンと極めて高いレベルとなった。これは原油の増産 とShaybah NGLプラントの稼働が要因であった。しかしOPECの原油減産により、2017年 は8.6百万トンにとどまった。2016年より2017年の輸出量が減ったにもかかわらず、 タームコミットメント数量は実際2017年のほうが多くなった。アラムコは全ての契約者と タームコミットメントを達成できたことを誇りに思う。アラムコが2017年のタームコ ミットメントを果たすためにとった施策の一つが、スポット出荷量を絞ったことで、2016 年の1.3百万トンから2017年は36万トンに落とした。他にとった施策はLPG減産量をミニ マイズするために、減産する原油の油種で調整した。すなわち主に重質原油を減産し軽質原 油の生産に影響が少なくなるように調整した。 ●輸出のP/B比率は、最近はブタンリッチにしており55%がブタンである。インド、中国、 インドネシアのような主な新興需要国においてはブタン需要が大きいためであり、これらの 国や潜在顧客といったキーマーケットにアラムコは輸出を推し進めている。 ●2018年を通してOPECは同様の生産割当を行う計画なので、アラムコの輸出は昨年と同等の 8.5~9百万トンになると予想している。 ●日本到着価格のトレンドを見ると、米国品のターム契約ベースではここ2年間、CPは競争力 をもっていた。事実、2つの日本到着価格を比べるとCPは27ドル米国品より安かった。 ●多様化するマーケットの中で、インド、インドネシア、中国はここ数年10%を超え、また 今後2年間は確実に需要が伸びるであろう。サウジアラビアがこの3つの国に持つ地理的優位 性はもっと魅力的である。Juaymah港から中国南部までは14日間、インドネシアまで12日 間、インドまで5日間で到着する。この短い航海日数は単にフレートコストをミニマイズす るだけでなく、緊急にカーゴを手当てするときに競争力を発揮する。西からの裁定取引 カーゴの航海日数を比較してもサウジの戦略的位置の優位性はかわらない。 ●戦略的位置に加えサウジには2つの強みをもつ。最初で最大の誇りは供給者としての信頼性 である。約束した数量、受渡し時期、品質を守るし、オペレーションに柔軟性もある。顧客 からのフィードバックの重要性も高い。顧客の声を聴くことにより最高質の顧客ケアを届け ることができる。 |
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(会場の参加者の皆様) | |
(調査研究部/亀川 泰雄) |