LPGC WEB通信  Vol.48  2018.03.12発行 

平成29年度液化石油ガス地方懇談会を振り返って

地方懇談会は、LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、
事業者団体、行政、学識経験者が一堂に会して意見交換・議論・提言等を行うことで、関係
者相互の理解を深め、LPガス産業の健全な発展に資することを目的としています。
効果的な懇談会とするため、昨年度より消費者委員の意見表明を中心に双方向の議論展開と
なるよう、進め方等の懇談会運営方法を大幅に見直しましたが、その効果と併せ、本年度は
経済産業省より、料金透明化に向けた液石法省令等の改正及び取引適正化ガイドラインが制
定されたことで、このテーマへの取り組み状況や制度進捗を中心に、より一層活発な意見交
換が行われました。

1.なポイント
(1)テーマ設定と進め方
本年度の経産省からの基調講演は、全ての懇談会を通して「LPガスが消費者から選択され
るエネルギーとなるために」と題し、前述の料金透明化・取引適正化に向けた法省令改正及
びガイドラインの制定についてであったことから、懇談会開催に先駆け、この主題に関する
消費者委員、事業者委員からの意見表明準備を、更には自治体からの進捗報告準備を、事務
局から関連する情報を提供しつつ求めました。
消費者委員からは、事前質問(意見)票にて、
・LPガスが選択されるために必要な事
・国の措置で実感した変化
・LPガス料金・契約・取引に対する疑問や不満、LPガス販売事業者への期待
・消費者団体にて行っている啓蒙活動
…について予め質問・意見をいただき、之を基に事業者委員及び行政が回答、意見交換が進
みました。

また、事業者委員からは、料金透明化・取引適正化への新たな取組状況(含:料金の公表率
向上への取組状況)は勿論のこと、
・災害に強いLPガスのPR、見守りサービス等のLPガス全般に対する取り組み
・LPガス需要開発等普及促進に向けた消費者へのPR不足への対応
…について予め用意の上、LPガス本来の有用性についても共有し再認識すべく、意見交換
の際に活用願いました。

(2)委員の変更
消費者委員からは、LPガスについて過去からの状況推移の観点からご意見いただくことも
重要ですが、新たな視点での指摘も必要であることから、委員の変更を検討した結果、全国
で定員54名のところ半数の27名が新任委員となりました。
また、地方公共団体関係者には例年極力出席の上、地域の消費者からの相談事例や販売事業
者の保安状況について説明をお願いしていますが、「料金透明化元年」で本年度の立入検査
は取引関連も重点的に行われたこともあり、更に出席を促したところ、全国で昨年より11
名多い62名(定員95名)の出席となり、国の措置の進捗状況が伝えられました。
更に、学識経験者委員の変更も一部行い、LPガスやエネルギー以外の幅広い視点からも時
流に則し意見・総括願い、新たな指摘をいただきました。

(3)その他
① 産業保安監督部からの要望
全地域の産業保安監督部より、例年全国及び地域の事故状況について説明がありますが、本
年度は事故状況以外に、
・LPガス販売事業者はコストをかけ保安体制を維持していること
・ガスメーター出口での保安責任区分(事業者/消費者)の認識が薄いこと
・LPガス販売事業者による消費設備の訪問調査において3回不在で連絡不可の場合は、調
 査拒否に該当し通知の上閉栓となるが(液石法運用解釈)、実際は通知を何度も行い、調
 査協力願っているのが実態であること
…等コメントの上、保安及びその業務への理解を消費者委員に求めた懇談会もありました。

② FRP容器
経産省の基調説明の最後に、FRP容器の説明がありましたが、消費者委員からは毎回普及
への期待が寄せられており、昨年度同様、実際のFRP容器を会場の一角に展示し、休憩時間
や会議終了後に実際に触れていただきました。

2.全懇談会を通して
今般の液石法省令等の改正及び取引適正化ガイドラインの制定の下、各懇談会とも「選ばれ
る」そして「選ぶ」との視点で意見交換が展開されました。
全てのエネルギーが小売全面自由化され、LPガス販売事業者は選ばれるために消費者利益
に資するLPガスの特徴とその関連情報を十分に提供、そして消費者はそこに向けて努力す
る事業者を自らが選び応援する、そして行政はこの関係の有効性を担保すべく事業者の対応
の確認を行い、場合により厳しい措置を講ずる、このことが終始問われる議論となりました。
消費者委員からは、昨年度に増してLPガス料金や契約に対し認識が深まったこと、LPガ
ス販売事業者の取り組みが進んできており、行政の点検実態も良くわかった等の評価もあり
ましたが、一方でLPガスの将来性については依然として不安があるとの意見もありました。
LPガス販売事業者は、料金透明化・取引適正化を進めていくと共に、総力を挙げてLPガ
スの有用性をPRしながら発展への努力がより一層必要となってきたことが示されたと言え
ます。
このことは、学識経験者委員からも、料金や契約の詳細が不案内で、長年地域の知り合いと
いう意味で「顔パス状態」であった消費者/事業者の関係が通用しなくなってきており、法
や手続きに則り公明正大に取引を行うと同時に、必要な情報を消費者に提供することで、そ
の関係を深めていくべきであるとの指摘がありました。
消費者をよく見極め、その生活状況に合った提案ができ、ポジティブに変化していける事業
者が選ばれ、選ぶ側の消費者も料金及び契約に対する認識を高めていく、この関係性が発展
していくことにより将来のLPガス産業の発展と国民生活の向上の実現が期待できるものと
思われます。

3.今後の課題
本年度の懇談会では、多くの成果が得られましたが、その役割への期待は年々更に高まって
きており、次年度も当事業を受託すべく準備する中で、LPガス政策に沿った全国統一
テーマと併せ、次の課題についても検討すべきと考えています。

 ①全国統一テーマ以外に開催地方の抱える問題・課題について、その地方ごとにクローズ
  アップしたテーマ設定
 ②このための適切な情報提供者、プレゼンターの選定(場合により委員以外)
 ③より建設的で極力アウトプットのある議論とするため、このテーマに適した消費者委員
  の選定
 ④地方公共団体関係者の更なる懇談会への参加率向上

…等々、引き続き消費者・事業者・行政が一体となり、より一層充実した意見交換により、
懇談会がLPガス政策の早期浸透への足掛かりとなり、健全なLPガス産業の発展に寄与す
るよう企画して参ります。


【ご参考】本年度各地方懇談会の概要(LPGC WEB通信掲載順)
1.北関東・南関東地方
http://www.lpgc.or.jp/corporate/webreport/201708contents4.html

2.北海道地方
http://www.lpgc.or.jp/corporate/webreport/201709contents3.html

3.中部地方
http://www.lpgc.or.jp/corporate/webreport/201710contents3.html

4.東北・近畿地方
http://www.lpgc.or.jp/corporate/webreport/201711contents3.html

5.中国・四国地方
http://www.lpgc.or.jp/corporate/webreport/201712contents2.html

6.九州地方
http://www.lpgc.or.jp/corporate/webreport/201801contents3.html

(広報室/野村 晃久)