LPGC WEB通信 Vol.46 2018.01.04発行
|
東京都港区で橘川教授による「LPガス講習会」を開催 |
平成29年11月20日(月)東京都港区の日本LPガス協会 会議室に於いて開催した、公 益社団法人 全国消費生活相談員協会(全相協)エネルギー問題研究会(林弘美代表)の要請 によるLPガス講習会についてご案内します。 「エネルギーの自由化と私たちの暮らし~世界のエネルギー事情を踏まえて~」とのテーマ で、講師は、橘川武郎 東京理科大学大学院イノベーション研究科教授/東京大学・一橋大学 名誉教授にお願いしました。 同協会からの要請かつ橘川教授によるこの講習会は、平成26年より毎年継続して開催され 今回で4回目となりますが、毎回エネルギーの自由化を踏まえてこれからのLPガスのあり 方を中心的テーマとしており、受講者の同研究会メンバー(消費生活相談員)の他、事業者 団体や業界紙各社にもお声掛けし、傍聴いただいています。 消費生活相談員業務のご都合により、毎回18:30~20:00と遅い時間帯の開催では ありますが、今回は30名が参加されました。 |
|
開催案内 | 林代表によるご挨拶 |
Ⅰ.講習の概要 | |
予め全相協より提出された質問に沿い、次の内容について詳しい解説がありました。 1.国のエネルギー政策(エネルギー基本計画の見直し) ・日本政府策定のエネルギーミックスについて(電源構成と一次エネルギー供給構成) ・電源構成の「原発依存度」「再エネ導入度」における政府の矛盾について ・2030年電源構成の橘川教授案は、LNGと再エネで政府案を上回る。 (政府案/橘川案)LNG(27%/33%)、再エネ(22-24%/30%)、 石炭(26%/19%)、原子力(22-20%/15%) (石油はどちらも3%。結果、火力は56%/55%。) 2.日本のLPガス事業者の東南アジア展開 ・インド、ベトナム、ミャンマー、バングラデッシュ、フィリピン、カンボジアで急 速に普及するLPガスの状況 ・アジアでのLPガス事業発展における日本の貢献(安全機器、保安制度、分散型エ ネルギーとしてのインフラ構築、災害対策面での活用、備蓄制度等) 3.都市ガス小売全面自由化後の事業者の戦略 ・4グループの都市ガス事業者(LNG基地の有無、導管網の規模、供給形態等によ り区分)の内、導管で卸供給を受け小売りする関東の中小都市ガス会社は競争激化 で大変。 ・自由化とエネルギー供給について(エネルギー間での競争に変化している) ・消費者の選択の仕方 ⇒ 本当に保安点検ができるか? リスイッチができるか? 料金表は見易く定期的に更新しているか? ⇒⇒⇒ 光熱費全体の最適化を! 4.水素ガス等の新エネルギー(エネルギー選択の判断基準) ・省エネ、再生可能エネルギー、化石燃料、各々の要素における水素の役割 ・水素は無条件に地球にやさしい?無尽蔵?日本は水素先進国?水素社会は近い? ⇒水素に対する4つの誤解。しかし、水素活用社会は近くあるべし。 ・水素社会実現への課題と、自治体の取り組み状況 |
|
熱弁を揮われる橘川教授 | |
受講者及び傍聴者30名の皆様にお集まりいただきました。 | |
Ⅱ.質疑応答 |
|
講習終了後には熱心な質疑応答がありました。 Q.水素ステーションを見学したが、車が入って来ない。コスト低減の可能性はあるのか。 A.「花とミツバチ」問題。コスト面で日本はまだ海外の2.5倍であり、インフラ面の 向上によりコスト低減の余地はある。 Q.東南アジアのLPガス普及は、日本と異なるのか。 A.質量販売が原則であり、メーター販売が中心の日本とは(供給側の規制も需要側の認識 も)事情が異なるが、東南アジアでのLPガス普及例はエネルギーの原点を見ることが できる。LPガスはまさしくアジアの人々を幸せにしている。更に東南アジアで普及 が進めば、「消費生活相談員」の展開も考えられる。 Q.FRP容器の普及に期待するが、事業者が消極的。経済産業省も部署により考え方が 違う。灯油のポリタンクの感覚で使えれば、オール電化住宅での需要が期待でき、日 本の技術でアジアでの普及を主導できる。生みの苦しみとは思うが、もう一工夫して ほしい。 A.安全性が高くてもFRP容器の普及が日本で進まないのは、機器の安全性が低い昔の 法規制が現在でも適用されていることにもよるが、一定の保安責任が消費者に課され ることも必要である。 |
|
Ⅲ.アンケート結果について | |
①満足度について ・十分満足 79% ・どちらかと言えば満足 16% ・どちらかと言えば満足できなかった 5% ・満足できなかった 0% 計 100% 「十分orどちらかと言えば満足」の割合:95% ②その他にも次の様なご意見をいただきました。 〇グローバルな視点、特にアジアでの展開が聞けて良かった。 〇エネルギー政策について包括的な話が聞けた。 〇水素エネルギーの現状が良くわかった。 〇様々なテーマに沿い講演された。 △テーマが広すぎ、消費者の選択においてどのように役立てるべきかわからない。 □FRP容器の販売はメーター販売規制の対象としてもらえれば国内でも取り組む事業 者が増えるのではないでしょうか。東南アジアでの需要増を国内でも活かせる道があ るのなら、LPガスの需要拡大に期待できると思います。 (講習会テーマについてのご提案) □事前に事業者・消費者・規制等の問題点を明らかにしてその背景等について □LPガス事業者の現状について |
|
今後とも、消費者団体をはじめ、より多くのステークホルダーの皆様のご意見を参考に、 本講習会事業を情報発信及び収集の場として発展させていく所存です。 講習会のお申込み及びご意見を心よりお待ちしております。 |
|
(広報室/野村 晃久) |