LPGC WEB通信  Vol.46  2018.01.04発行 

九州・沖縄地方液化石油ガス懇談会の概要

 11月24日に九州・沖縄地方懇談会(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎
県・鹿児島県・沖縄県)を開催しましたので、概要を報告します。
 昨年度は熊本市で開催しましたが、本年度は例年通り福岡市での開催となりました。
 本懇談会をもって、本年度9地方懇談会全てが終了しました。

液化石油ガス懇談会の概要
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、
       事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、
       関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  平成29年度は全国を9ヵ所に区分し開催する。
(3)参加者 消費者委員…………(消費者団体の幹部等)
       事業者委員…………(都道府県LPガス協会の幹部等)
       学識経験者委員……(知見を有する大学教授等)
       自治体委員…………(都道府県、市町村等)
       経済産業省…………(経済産業省、地方経済産業局及び産業保安監督部)
       オブザーバー等……(業界関係者等)
       報道関係


議事次第
(1)開会挨拶
                 九州経済産業局 資源エネルギー環境部 新井 憲一 部長

(2)資源エネルギー庁からの説明
 「LPガスが消費者から選択されるエネルギーとなるために」
 ~LPガス料金の透明化に向けた液石法省令等の改正、取引適正化ガイドラインの制定~
               資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課 目黒 浩 課長補佐

(3)産業保安監督部からの説明
 「液化石油ガスの保安の状況」
                      九州産業保安監督部 保安課 原口 大輔 係長

(4)自治体からの説明
  消費者からの相談事例及び対応について
                                 各府県消費生活担当部署
  料金透明化・取引適正化に関する立入検査・帳簿検査実施状況及び今後の予定について
                                  各県LPガス保安担当部署

(5)懇談(消費者委員からのプレゼンテーション及び各委員との意見交換)
  懇談会に際しては、事前に消費者委員に対し、LPガスに関する国や業界の動きについて
  説明資料を配布し、現状を理解していただいた上で質問・意見を募りました。その結果、
  約80件の質問・意見が寄せられ、これ等に沿い各県の事業者委員、行政の三者間で活発
  な意見交換が行われました。

  まず消費者委員より、エネルギー自由化時代にLPガスを選択してもらうために必要な事
  項として、事業者との接点が不足していることから、より一層のコミュニケーションと情
  報提供の活性化、国民の生活を支え安全で災害に強いエネルギーである点のPR強化、
  LPガス機器の進化により更に安全面が強化されている点のPR等が挙げられましたが、
  やはり全消費者委員が事業者に強く求めたものは、料金の透明性と取引の適正性でした。
  具体的には、料金内訳の明示、料金の公表、賃貸型集合住宅入居者の事業者選択の自由化
  等の推進及び改善です。
  ただ、一方では料金透明化及び取引適正化について国の措置が為されたことで、これまで
  とは違い、事業者の対応改善が進んでいるとの意見、また米国産のLPガス輸入増加で調
  達ソースが多様化し安定供給が整ったことや、昨年の熊本震災においても災害時のLPガ
  ス復旧活動が再評価される等良いニュースもあり、これらの点をもっとPRすれば多くの
  消費者から期待される存在になるとの前向きな意見もありました。

  これに対し事業者委員より、料金透明化及び取引適正化に係る取り組み状況、消費者から
  選ばれるためには料金の公開が必要であること、消費者と事業者の信頼関係を料金面でも
  深め理解を得るべく、特に料金に係る説明については「伝えた」ではなく「伝わったか」
  を確認し、PRを強化していきたいとの表明がありました。

  自治体委員からは、国の措置に関する対応状況について、各県LPガス協会の保安講習会
  等にて説明を行う等の啓蒙活動実施状況や、立入検査の実施状況及び今後の予定について
  報告がありました。料金請求時の算定根拠の通知については、殆どの事業者が未対応で
  あったため、是正を指導したとの表明もありました。(鹿児島県)
  また、現状が手書請求書(検針伝票) で使用量と合計金額のみの表示等改善が必要な場合
  は、何冊もの未記入在庫を破棄し刷新することを要請できないので、既存請求書に「基本
  料金」「従量料金」「合計金額」のゴム印での対応を指導した例も紹介されました。
  (長崎県)
  料金透明化に係る課題は多く、請求書のシステム改修等の諸対応が遅れているものの、事
  業者のより一層の取り組みと行政の指導により今後の改善が期待されます。

  資源エネルギー庁からは、「元祖」自由料金エネルギーとして、今年は料金透明化及び取
  引適正化に関わる措置を講じたことでめったにない大変動の年、この徹底への取り組みを
  進め、輸入ソース多様化や国家及び民間で90日分の備蓄を含めた安定供給体制が整備さ
  れていること、災害に強いことから、安心して使えるエネルギーであることが強調されま
  した。更に、各都道府県のお客様相談所連絡先を掲載した料金透明化に係る消費者向け
  リーフレットを、年明け1~2月に各県LPガス協会経由で配布予定であり、啓蒙に努め
  るとの表明もありました。

(6)総括コメント(学識経験者委員)
福岡大学 商学部 笹川 洋平 主任教授
  ガイドライン行政は、消費者の権利意識や経済実態の複雑化により、規制が実態に追いつ
  かなくなってきたことから、1990年代後半より国の規制の在り方の転換の中で行われ
  ている。ガイドライン行政を仕上げるには、実効性が求められ、実効性を担保するために
  はペナルティーが課せられることとなろう。
  また、LPガス料金の問題は、(輸入価格等の海外要素ではなく)配送費及び人件費が大
  きく占める国内経費の問題であり、公表が進むと料金は下振れするので、事業者は合理化
  を余儀なくされる。人件費は、人手不足の折下げられないので、配送(物流)における合理
  化が必要となるのではと考える。
  小売店が近くになく買い物に行けない、所謂「買い物難民」だが、「LPガス難民」を出
  さないためにも、中小事業者の経営改善や廃業の際の商権継承を確り行うことと、今後は
  一般小売店やコンビニエンスストアでFRP容器による販売が有効と思われるので、今の
  うちから検討を開始することを望む。
  更に、消費者は誤認するものだとの認識のもとに、比較し易い料金メニューの公表や、書
  面の交付もケースに入れて渡す等の工夫を行い、正しく事実認識し誤認を招かぬ様、事業
  者は一歩踏み込んで考えるべきと考える。
  今後の展開に期待する。

開催風景・九州・沖縄地方液化石油ガス懇談会

九州経済産業局資源エネルギー環境部新井部長による開会挨拶
右は福岡大学笹川教授、左は沖縄総合事務局経済産業部石油ガス課 砂川検査官


挨拶及び基調説明する資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課 目黒課長補佐
右はエルピーガス振興センター 嘉村専務理事

消費者相談事例や立入検査等の状況を報告する自治体委員

地域の実情を踏まえ事業者や行政に対し意見・質問する消費者委員

消費者委員からの質問・意見に対し取り組み状況を踏まえ真摯に回答する事業者委員

 
業界に対し提案を含め総括する学識経験者委員の福岡大学商学部笹川教授

(広報室/野村 晃久)