LPGC WEB通信 Vol.43 2017.10.10発行
|
中部地方液化石油ガス懇談会の概要 |
北関東・南関東・北海道に続き、去る9月7日、中部地方懇談会(愛知県・岐阜県・三重 県・富山県・石川県)を開催しましたので、概要を報告します。 例年の名古屋開催と異なり、本年度は金沢市で実施しました。 今後、東北(10月2日 仙台)、近畿(10月13日 大阪)、中国(10月31日 広 島)、四国(11月16日 高知)、九州(11月24日 福岡)の各懇談会終了後、概要に ついて順次報告してまいります。 |
|
1 液化石油ガス懇談会の概要 |
|
(1)目的 LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、 事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、 関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。 (2)方法 平成29年度は全国を9ヵ所に区分し開催する。 (3)参加者 消費者委員…………(消費者団体の幹部等) 事業者委員…………(都道府県LPガス協会の幹部等) 学識経験者委員……(知見を有する大学教授等) 自治体委員…………(都道府県、市町村等) 経済産業省…………(経済産業省、地方経済産業局及び産業保安監督部) オブザーバー等……(業界関係者等) 報道関係 |
|
2 議事次第 |
|
(1)開会挨拶 中部経済産業局 資源エネルギー環境部 燃料課 中島 弘志 課長 (2)資源エネルギー庁からの説明 「LPガスが消費者から選択されるエネルギーとなるために」 ~LPガス料金の透明化に向けた液石法省令等の改正、取引適正化ガイドラインの制定~ 資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課 目黒 浩 課長補佐 (3)産業保安監督部からの説明 「最近のLPガス保安行政について」 中部近畿産業保安監督部 保安課 水越 千里 液化石油ガス保安係長 (4)自治体からの説明 消費者からの相談事例及び対応について 各県消費生活担当部署 料金透明化・取引適正化に関する立入検査・帳簿検査実施状況及び今後の予定について 各県LPガス保安担当部署 |
|
(5)懇談(消費者委員からのプレゼンテーション及び各委員との意見交換) 中部地方各県の消費者団体より消費者代表委員が出席し、各委員より事前に寄せられた約 40件の質問事項や意見に対する回答を含め、各県の事業者委員、行政との間で活発な意 見交換が行われました。 LPガスの料金透明化・取引適正化に向けた国の措置に関しては、消費者委員から、画期 的である等一定の評価があったものの、まだ実感が伴わないとの意見が大半でした。消費 者団体の立場での認識はあるが、一般消費者にとっては、まだ料金体系や請求書の内容が 分かりづらく、若い世代への認知度も低い。新築は殆どがIHで、LPガスの不動産物件 は無い。電力会社はよく来てくれるが、ガス屋さんは来ず、もっと説明が欲しい。また、 ホームページで料金を公開する例が少なく、事業者規模の問題はあるが、「店頭ツアー」 による料金比較は現実的ではなく、各県LPガス協会の支援等によりホームページでの公 表の促進を望む等、より一層の料金や取引に関する情報提供への努力をLPガス業界に求 めました。 資源エネルギー庁目黒課長補佐も、冒頭説明の中で、料金公表の1年間の猶予は料金メ ニューの代表例の絞り込みに要する準備期間であり、来年3月まで放置してよいとの認識 は大きな間違いであると忠告し、早期公表に向けての準備を求めました。 事業者委員からは、料金透明化・取引適正化については行政にも協力願い、各県LPガス 協会が説明会を県内各地で、また総会や県内支部会、保安講習会等においても機会ある毎 に会員に対し説明、啓蒙を実施しており、不参加の場合は個別訪問も行う構えで、今般の 国の措置に関する周知徹底を図っているとの説明がありました。 また、消費者へのPRについては、料金公表については県LPガス協会が主導して透明化 率全国1位の獲得例の紹介(岐阜県)や、LPガスの良さを理解いただきIHからLPガ スに変わる消費者も増えている等、事業者の努力による効果が表れつつあるが、PR不足 に対する猛省の意を込め、エネファーム等更なる需要促進を進めながらPR強化を継続し ていくとの表明がありました。 自治体委員からは、県の立入検査について、実施がこれからの県もありましたが、立入検 査の中で、料金や取引に関する国の措置に対する事業者の取り組み状況について確認する べく、今後の予定について案内がありました。行政と事業者が一体となって“透明化”と “適正化”に向け進んでいる状況が窺われました。 自治体によりますが、一般的にLPガス担当職員は少数のため、検査時期の間隔が長く、 県内全事業者の検査終了が通常3~5年かかるところ、三重県LPガス協会によると、同 県では専任職員を配置し、約470の全事業者に対しほぼ年1回の立入検査を行っている とのことです。 自社は透明化せず高く売り、ブローカーを使い切替時のみ安売りする事業者があるが、具 体的に判明しているので、是非当該事業者から率先して立入検査を実施してほしい旨、事 業者委員から行政に対し強い要請がありました。 また、懇談の中で事業者委員より、弊センターが主催し全国各地で展開している「LPガ ス講習会」について、更に消費者委員からも弊センターが35万部発行しているPR用小 冊子「LPガスのある暮らし」について、それぞれ高い評価をいただくと共に、継続実施 のご要請がありました。今後も消費者、事業者の皆様に対し、LPガスへのご理解をより 一層深めていただけるよう、「わかり易い」を念頭に取り組んでまいります。 最後に、資源エネルギー庁目黒課長補佐より、ブローカー等の悪質事業者問題について は、経済産業局及び自治体とも連携し、対策の検討を進めていること、また立入検査マ ニュアルについては概ね出来上っているが、実施に向け経済産業局及び自治体と内容の共 有等、最終調整中であるとの報告がありました。更に、エネルギーのベストミックスの観 点から、その組み合わせを選択するのは消費者であり、電気・都市ガスにはない消費者と の直接の接点を有するLPガスのメリットを活かし、LPガス事業者は消費者のニーズに 合った選択メニューを提供する様取り組んでほしい、とのメッセージがありました。 |
|
(6)総括コメント | |
青山学院大学 総合文化政策学部 内山 隆 教授 | |
公共料金規制緩和の議論は1980年代にはじまり、80年代後半になってNTTやJR等に おいて規制緩和が進み、段階的に自由料金に向かっていった。エネルギーの分野では、よ うやく2017年に全領域で自由化となった。 自由競争の中では、既に携帯電話の分野ではキャリアのスイッチが活発に行われ競争が促 進されてきており、LPガスの事業者スイッチについても、将来的には当業界も同様の状 態が予想される。 更なる競争促進ということになれば、携帯電話におけるナンバーポータビリティの様に、 「共通ID」が考えられ、利用者は利便性を損なわずに自由に事業者を選べる、そのよう な発想が将来的には必要になると思われる。 自由競争になればなるほど、コストと設定料金の関係が問題となってくるが、消費者は目 先の安さに左右されない様な“免疫”を付けなければならないし、事業者はそのような世界 となっても持続可能であるべく、一層の競争力を高めていく必要がある。 その際、価格競争に陥らない様に持って行くのがマーケティングの黄金則なので、価格以 外のところで、LPガスの良さ・強さをアピールできる方向性の模索が必要である。 事業者とは長年顔パス状態で取引が継続し、14条書面の在り処や実際の料金が料金表の どれに当たるか等、詳細が不案内であるのが消費者の実態ではある中、現代社会は何事も 法や手続きに則り公明正大に行こうとの方向性にあるので、業界として改善していってほ しい。 |
|
3 開催風景・中部地方液化石油ガス懇談会 |
|
中部経済産業局資源エネルギー環境部燃料課中島課長による開会挨拶。左へ順に青山学院大学内山教授、 資源エネルギー庁目黒課長補佐、弊センター嘉村専務。右は中部近畿産業保安監督部保安課水越係長。 |
|
挨拶及び基調説明する資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課 目黒課長補佐 |
|
消費者相談事例や立入検査等の状況を報告する自治体委員 |
|
地域の実情を反映しながら質問、意見する消費者委員 |
|
消費者委員からの質問・意見に対し取り組み状況を踏まえ真摯に回答する事業者委員 |
|
消費者/事業者/行政 各委員に提案を交え総括コメントする内山教授 |
|
(広報室/野村 晃久) |