LPGC WEB通信 Vol.42 2017.09.11発行
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北海道地方液化石油ガス懇談会の概要 |
北関東・南関東に続き、去る8月21日、北海道地方懇談会を札幌市にて開催しましたの で、概要を報告いたします。 懇談会は、今後、中部(9月7日 金沢)、東北(10月2日 仙台)、近畿(10月13日 大阪)、中国(10月31日 広島)、四国(11月16日 高知)、九州(11月24日 福 岡)にて順次開催の予定です。 |
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1 液化石油ガス懇談会の概要 |
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(1)目的 LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、 事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、 関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。 (2)方法 平成29年度は全国を9ヵ所に区分し開催する。 (3)参加者 消費者委員…………(消費者団体の幹部等) 事業者委員…………(都道府県LPガス協会の幹部等) 学識経験者委員……(知見を有する大学教授等) 自治体委員…………(都道府県、市町村等) 経済産業省…………(経済産業省、地方経済産業局及び産業保安監督部) オブザーバー等……(業界関係者等) 報道関係 |
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2 議事次第 |
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(1)開会挨拶 北海道経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課 木下 俊一 課長 (2)資源エネルギー庁からの説明 「LPガスが消費者から選択されるエネルギーとなるために」 ~LPガス料金の透明化に向けた液石法省令等の改正、取引適正化ガイドラインの制定~ 資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課 谷 浩 企画官 (3)産業保安監督部からの説明 「平成28年のLPガス事故概要について」 北海道産業保安監督部 保安課 青山 正幸 課長補佐 (4)自治体からの説明 消費者からの相談事例及び対応について 北海道 環境生活部 くらし安全局 消費者安全課 札幌市 市民文化局 市民生活部 消費生活課 料金透明化・取引適正化に関する立入検査・帳簿検査実施状況及び今後の予定について 北海道 経済部 産業振興局 環境・エネルギー室 |
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(5)懇談(消費者委員からのプレゼンテーション及び各委員との意見交換) 北海道懇談会では、札幌をはじめ函館、登別等道内5消費者団体より消費者代表委員が出 席し、各委員から事前に寄せられた約50件の質問(意見)事項に対する回答を含め、事 業者委員、行政との間で活発な意見交換が行われました。 今般、料金透明化に向けた液石法省令等の改正及びガイドライン制定があり、消費者委員 からは、この措置は大きな一歩であったが、日も浅いためまだ見えてこず、テンポはまだ まだといった感触、とエールを送りながらも厳しい意見が出されました。 また、各消費者団体による調査や会員からの意見・相談事例等に基づき、料金の絶対値が 高いとの意見、設備投資の価格転嫁問題を含む適正価格についての問いかけ等が多数あり ました。 事業者委員からは、国の措置については必ず成果を出していくが、価格の絶対値について は、保安コストをかけ事故も激減させてきており、ご理解の上、安心してお使いいただき たい、との回答がありました。設備投資の価格転嫁については、事業者団体としては、あ くまで今般の措置を含む液石法順守について会員に対し周知徹底するものであり、個々の 商取引に関わる問題について踏み込むのは難しいが、新規契約については、書面交付や伝 票を改正省令等に則り改訂し、講習会等で指導しているとの説明がありました。 資源エネルギー庁谷企画官は、「選択される為の透明化」であり、意識を高め、価格だけ ではなく保安体制やホームページ等での料金公開、事業者との実際のやり取り等から総合 的に判断し、事業者の変更も含み、十分比較の上事業者を選んでほしい、と消費者委員に 要請しました。 また、北海道生協連事務局長の川原委員からは、同生協連、NPO法人消費者支援ネット 北海道、(一社)北海道消費者協会の3団体が主催する「LPガス問題を考える会」におけ るこれまでの調査・議論等の活動、同連合会による北海道事業者のホームページ公開状況 の調査結果、日本生協連による「2017年5月 わが家の電気・ガス料金しらべ」につ いての報告及び説明がありました。 川原委員は、諸調査の結果から、今般の国の措置は大きな前進だが、浸透や定着には至っ てはいない、と表明。また、賃貸型集合住宅のLPガス料金についても言及し、設備投資 の価格転嫁問題は、LPガス事業者/建設・不動産会社/家主・管理会社間の利害関係か ら生ずる取引の構造的問題であり、国交省が関わらないと解決しないと指摘した上で、ガ イドラインで価格転嫁の実情が認知されたことは大きな前進であった、との評価も加えま した。 更に、立入検査項目の見直しについて行政に問いかけ、北海道 環境エネルギー室からは 早急に行うとの回答があり、資源エネルギー庁からも、9月より国の立入検査を開始すべ く準備しており、目処が立ち次第北海道とも検査項目についてすり合わせる所存だが、検 査項目についての開示の仕方については検討中であるとの表明がありました。 最後に資源エネルギー庁谷企画官より、消費者委員から種々指摘を受けたことに対する感 謝の言葉と、今後も厳しい目を持ってサポートを継続願いたい、との切なる要請がありま した。 |
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(6)総括コメント | |
東京理科大学大学院 イノベーション研究科 橘川 武郎 教授 | |
全国の懇談会の中でも、南関東及び北海道が焦点となっているが、両者は消費者との間で 問題となっている状況が異なっている。南関東は、今般省令等改正のあった液石法はクリ アするが特商法に関わる問題があるのに対し、北海道は、液石法そのものに関わる問題が 中心となっている。 北海道懇談会は、5消費者団体、自治体は道及び市、事業者も会長及び副会長それぞれが 出席する充実した体制で行われ、ここで消費者による事実に基づく調査の中で問題点を明 らかにし議論してきたことが、この6月1日体制(新液石法省令等)を創り上げたとも言 える。 日本のLPガス、都市ガス業界は、灯油に負け寒冷地で弱いのが最大の問題であり、消費 量が少なく割高となるし、拡販や追加投資にも消極的となる。生協が灯油を売っているの で、LPガス消費者調査を中心的に行っている生協をよく思わないのはやむを得ない。し かし、この状況はむしろ、実際にLPガスを届け各家庭を良く知るLPガス事業者にとっ てビジネスチャンスであり、ポジティブに捉えるべきである。 この懇談会で出てきた問題をクリアできれば、ビジネスを拡げることが可能である。これ からは、家庭の構成や変化を良く見極め状況に合った提案ができる事業者が選ばれる。そ の一番近いところにいるのがLPガス事業者。ポジティブに変化しようとする事業者を、 消費者も行政も評価してほしい。 事業者は今は行政の措置に対し様子見の状況。1年経ったところで動くというのが事業者 の本音なのでは。だからこそ、真の姿勢が試される。この1年間の早い時期に透明化に取 り組んでいる、例えばホームページに料金を公開したが、消費者の指摘を受けたら改善し ていく様な事業者を見分けることができる大事な1年である。 また、今般二部料金制までは義務化されたが、三部料金制(二部料金+設備利用料金)に 踏み込めるかも透明化の大きなポイントである。ただ、進めるには、不動産業界からの抵 抗も考えられ、LPガス事業者が弱い立場にあるため、この局面の早期打開を期し消費者 や行政によるバックアップが必要である。 資源エネルギー庁資料による「LPガスの輸入・卸・小売価格推移」の相関関係に関す る、消費者委員からの疑問については、石油情報センターによる小売価格調査は、実態よ り高くなる可能性もあるので、消費者団体による情報開示請求により調査内容を追及する ことも必要である。また、(より実態に近いと思われる)ホームページでの料金公表につい て、時系列の変化を追って調査することを、行政及び消費者団体に望む。 更に、自治体による立入検査の取引項目における検査は、保安検査にプラスして行う程度 では、進まない。立入検査が、国の責任で行われているかを消費者団体が監視してほし い。消費者より苦情があった事業者に対し、国が立入検査を行うかどうかが、今後この制 度が動くか否かのポイントである。 |
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3 開催風景・北海道地方液化石油ガス懇談会 |
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司会進行の弊センター嘉村専務理事による開会挨拶 |
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北海道経済産業局資源エネルギー環境部資源・燃料課木下課長によるご挨拶 右は橘川教授、左は北海道産業保安監督部保安課青山課長補佐 |
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挨拶及び基調説明する資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課 谷企画官 |
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消費者相談事例や立入検査等の状況を報告する自治体委員 |
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独自の調査結果報告を交えて質問、意見する消費者委員 |
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消費者委員からの質問に対し取り組み状況を踏まえ丁寧に回答する事業者委員 |
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消費者/事業者/行政 各委員への提言と共に総括コメントする橘川教授 |
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(広報室/野村 晃久) |