LPGC WEB通信 Vol.42 2017.09.11発行
|
【特別寄稿】 船舶用LPG燃料構想について |
アストモスエネルギー株式会社 |
|
IMO(国際海事機関、International Maritime Organization)は、海上交通の発達に伴い、航行 船舶から排出される硫黄酸化物(SOx)の増加を懸念し、2020年1月から、例外なく全海域に おいて、舶用燃料中の硫黄分を0.5%以下とする規制強化を決定しました。 この決定により、各事業者は、対応の検討を迫られております。対応策として、低硫黄重油の 使用、スクラバーによる硫黄分の除去、LNGへの転換の3つが選択肢として挙げられていまし たが、当社は、4つ目の選択肢として、LPG燃料船の可能性を追求しています。 LPGは環境にやさしい次世代燃料として注目されるLNG同様に、現状舶用燃料として主に使用 されているC重油と比較してSOx排出量を90~97%、窒素酸化物(NOx)を15~20%削減可能 であり、IMOの環境規制強化に十分対応できる燃料です。また、今後規制強化が予想される、 温室効果ガスであるCO2も20%程度の削減が見込まれます。 また、LPGは、LNGに比べて、容易に液化できるため、初期投資コストがおさえられること や、すでに世界中で使用されているため、供給可能拠点が多く、将来的には世界中の港湾を 航行する不定期船への供給も考えられます。 このことから、LPGへの燃料転換がIMO規制への有力な選択肢と捉え、業界一丸となり実現に 向けて取り組んで参ります。当社も、2017年4月に千葉県・幕張メッセで開催されたエネル ギー業界最大級のイベント「ガステック2017」に、LPG元売として初めてブースを出展し、 広くPRを行いました。 また、当社は船舶用LPG燃料の実現に向け、ノルウェー国営エネルギー企業であるStatoil ASA(所在地:スタヴァンゲル市、以下、Statoil社)と、LPG燃料船の実現性及び欧州における 舶用燃料の供給拠点整備につき、共同検討するため、覚書を締結しました。 今後、欧州地域においてはStatoil社と実務検討を重ねつつ、アジア、米国、中東などの地域に おいても、これまで当社が築いてきたネットワークを生かし、LPG舶用燃料の供給体制の構築 を検討して参ります。 |
|
【ガステック2017 当社展示ブースの様子】 |
|