LPGC WEB通信 Vol.41 2017.08.10発行
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液化石油ガス懇談会がスタート!(北関東及び南関東) |
経済産業省の委託事業「石油ガス流通合理化調査」として、当センターが実施する「液化 石油ガス懇談会」を、本年度新たに関東地方より開始しましたので、概要を報告いたします。 7月10日の北関東懇談会(新潟県・群馬県・栃木県・埼玉県・茨城県)に続き、7月2 4日に南関東懇談会(長野県・山梨県・東京都・千葉県・静岡県・神奈川県)を開催しまし た。消費者委員/事業者委員/行政間で、今般のLPガス料金透明化・取引適正化に係る国 の措置への取り組みや進捗等を中心に活発な意見交換が行われた後、学識経験者委員より総 括コメントをいただきました。 今後、北海道(8/21)、中部(9/7)、東北(9/下旬)、近畿(10月上旬)、 中国(10月下旬)、四国(11月上旬)、九州(11月下旬)にて順次開催して参ります。 |
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1 液化石油ガス懇談会の概要 |
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(1)目的 LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、 事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、 関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。 (2)方法 平成29年度は全国を9ヵ所に区分し開催する。 (3)参加者 消費者委員…………(消費者団体の幹部等) 事業者委員…………(都道府県LPガス協会の幹部等) 学識経験者委員……(知見を有する大学教授等) 自治体委員…………(都道府県、市町村等) 経済産業省…………(経済産業省、地方経済産業局及び産業保安監督部) オブザーバー等……(業界関係者等) 報道関係 |
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2 議事次第 |
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(1)開会挨拶(北関東・南関東共通) 関東経済産業局 資源エネルギー環境部 佐藤 成徳 地域エネルギー振興企画官 (2)資源エネルギー庁からの説明 「LPガスが消費者から選択されるエネルギーとなるために」 ~LPガス料金の透明化に向けた液石法省令等の改正、取引適正化ガイドラインの制定~ 資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課 目黒 浩 課長補佐(北関東) 同 谷 浩 企画官(南関東) 同 佐々木 裕真 企画係長(共 通) (3)産業保安監督部からの説明 「平成28年のLPガス事故概要について」 関東東北産業保安監督部 保安課 山本 輝 課長補佐(北関東) 同 森山 康一 課長補佐(南関東) (4)自治体からの説明(北関東・南関東共通) 消費者からの相談事例及び対応について 各都県消費生活担当部署 料金透明化・取引適正化に関する立入検査・帳簿検査実施状況及び今後の予定について 各都県LPガス保安担当部署 |
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(5)懇談(消費者委員からのプレゼンテーション及び各委員との意見交換) 北関東懇談会では、消費者委員を代表し、埼玉県生活協同組合連合会の岩岡代表理事会長 より、日本生活協同組合連合会調べの「わが家の電気・ガス料金しらべ」報告書(平成2 9年5月分速報版)に基づき、全国の組合員及びインターネットモニターを対象に実施し た独自調査の内容と結果について説明がありました。 特に都市ガスとの料金価格差においては、LPガスが平均849円割高と昨年同様の差と なり、また家庭より大きなバラツキが見られる等、変化が見えず、更なる低廉化と料金透 明化が求められました。同会では、改善の進捗と方向性を確認していくため、同調査は今 後も継続されます。 他の消費者委員からも、事業者の理解は未だ深まっていないようだが、ガイドラインや改 正省令等に基づいて料金透明化・取引適正化が進むことを期待する、との声が多く出まし た。 これに対し、事業者委員からは、大手事業者はシステム変更に手間取り対応が遅れ、小規 模事業者は手作業で対応するも継続が課題である等、料金区分等の表記対応が追い付いて いない実態が説明され、対応については各県LPガス協会が相談の受け皿になるとの表明 がありました。 また、会員事業者に対し、ニ部制料金の啓蒙と、対消費者説明の促進に努めていることが 強調され、省令等改正後に即対応は難しいが、LPガス料金が消費者の不安感を生んでは ならず、事業者側も最悪の場合は登録取り消しとなるので、確りと対応してほしい旨、自 治体と連携した説明会等を通じ啓蒙しているとの説明がありました。 更に事業者委員より、産業保安監督部からの「保安はタダではない、コストをかけ保安体 制を維持している。」との説明を受けて、保安コストや配送コストはLPガス価格の多く を占めることに理解を求めました。 尚、消費設備の訪問調査において、三回不在で連絡も取れない場合は、調査拒否に該当し 閉栓されるのかとの消費者質問に対し、液石法(平成28年6月運用解釈改正)により通 知の上閉栓も有り得るが、保安上、閉栓せざるを得ない場合を除き、事業者は通知を何度 も行い、極力調査に協力願っているとの説明がありました。 南関東懇談会では、昨年開催された「液化石油ガス流通ワーキンググループ」の委員で、 全国消費生活相談員協会 エネルギー問題研究会の林代表より、消費者委員を代表し、最 近、内閣府 消費者委員会がLPガスの料金透明化の動きに着目している点についてコメン トがありました。 5月23日開催の消費者委員会にて、公共料金等専門調査会より、元々自由料金のLPガ ス業界に存在するブローカー、料金比較情報サイト、賃貸住宅での設備貸与取引慣行等が 、都市ガスも同様の動きとならぬ様、目を光らせているとの報告が為されており、経済産 業省以外の政府機関からも警鐘が鳴らされています。 同氏は、行政に対し、料金や取引関連の情報について消費者にわかり易く知らせてほしい 、事業者に対しては、(顧客を)取られることから身を守るのではなく、消費者の安全を守 り消費者に選ばれるために、料金及びサービスの透明化を求めました。 また、神奈川県消費者の会連絡会の今井代表理事からは、石油情報センター発表の平均価 格は高過ぎるとして、この6・7月に実施した県内事業者100社に対するLPガス料金 の独自の調査結果が報告されました。 高値の情報提供に異論を唱えると共に、ホームページ等で料金表の公表が増えてきており 、消費者が価格やサービスを容易に比較できる情報提供を更に進めてほしいと、事業者及 び行政に呼び掛けました。 更に、多くの小規模事業者に対しては、行政や各県のLPガス協会による具体的な指導が 必要であり、ガイドラインを実効性あるものにするためには工夫を加える必要があるとの 指摘もありました。 これに対し、事業者委員からは、消費者委員による意見や指摘への感謝と共に、価格の公 表については、ブローカーを使う大手への対抗で千差万別となった料金表のどれを提示す べきか困っているのが実状であること、システム対応と請求書への反映が遅れている実態 の表明があり、料金透明化への具体策について行政の関与を求める意見もありました。 料金透明化・取引適正化への対応以外では、365日・24時間体制の保安事業、地域見 守り隊活動、警察とのタイアップによるブローカー対策、火育・食育、悪質訪問勧誘防止 のチラシ配布等の取り組み状況について説明がありました。 |
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(6)総括コメント | |
北関東懇談会 青山学院大学 総合文化政策学部 内山 隆 教授 | |
自由料金の世界では、同一業者が顧客毎につける料金格差は、長期レベルで縮小していく 必要がある。また、依然として原価主義が残っている感があるが、原価論も通用しなくな ってくる。 当業界は、社会選択として自由競争を選択しており、悪質業者以外の事業者間での競争の 中で、全体的な価格を下げていくことを考える必要がある。 その意味では、今を移行期間と考え、相場価格を知るための標準価格を提示してくことは 必要である。 業者スイッチについては、積極的にスイッチを促す要素として価格があるが、LPガスの 場合は(業者移行に)歯止めをかける要素のスイッチが弱い。携帯電話会社の様に、解約 時の違約金制度や、長期契約者へのメリット供与制度等を検討してはと思う。 また、電気や都市ガスに対する競合策として、ケーブルテレビ業界の様に、全国共通顧客 ID付番制度を設け、エネルギー間競争の中で協調して顧客を守っていくという発想もあ り得ると思う。 保安(消費設備点検)の3回ルールについては、最悪の場合その家庭だけの問題では済ま なくなるので、ユーザーサイドの意識改革にも課題があると感じた。 |
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南関東懇談会 東京理科大学大学院 イノベーション研究科 橘川 武郎 教授 | |
南関東は、LPガス問題において北海道と並び問題の多い地方。どちらも消費者団体によ る調査が進んでおり、益々頑張ってもらいたい。また、北関東地方の埼玉県も同様に取引 の問題が発生しているので、本懇談会(南関東)の括りとする等、懇談会を論点別の区分 けとすることを提案する。 消費者委員から意見のあった、石油情報センター発表の料金が高いとの件については、同 センター発表の料金とは別に、ホームページや店頭での発表料金が出てくると、適正化も 進み好ましい。 都市ガスの自由化については、小売りでは競争が起きていないが、中小都市ガス会社の卸 売り分野が競争の矢面となっている。都市ガスを売りに来るLPガス事業者が、ブローカ ーを使うことが今問題となっており、特商法でブローカーを使った取引を取り締まる方法 もあるが、反面、自由化を進める中で選択肢を増やすという点ではプラスの面もあり、複 雑である。 また、ガイドラインの遵守チェックについては、自治体が保安中心の立入検査にプラスし て行う程度では進まないのではないか?消費者調査等で判明した問題のある事業者には、 国も検査に関わって実効性を担保する必要があると思う。 県協等による適正化等の説明会には、クレームの内容や問題点を共有するため、消費者団 体も呼ぶべきである。クレームは出発点であり、事業者にとり大きな財産である。 FRP容器は、オール電化かつ消費者責任の国、ノルウェーから始まった。LPガス事業 者が(容器管理の)責任を嫌がれば、そのうち生協が始めるかも知れない。30分駆けつけ 規制があり、質量販売はなかなか難しいが、これからのエネルギー間競争の中では、どこ の電力会社か都市ガス会社かLPガス会社が最初に駆けつけるかが勝負であり、FRP容 器で販売できるような会社でなければ、勝ち残れないような気がする。保安実証事業につ いても、情報をオープンにして確り実施してほしい。 |
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3 開催風景・北関東地方液化石油ガス懇談会 |
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東京都千代田区で開催した北関東懇談会での会議風景(7月10日) |
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関東経済産業局 資源エネルギー環境部 佐藤地域エネルギー振興企画官の開会挨拶 右は関東東北産業保安監督部 山本課長補佐、左へ内山教授、エネ庁目黒課長補佐・佐々木企画係長 |
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熱心に質問・意見する消費者委員 |
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真摯に回答する事業者委員 |
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立入検査等の状況を報告する自治体委員 |
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多方面からの切り口から総括コメントする内山教授 |
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4 開催風景・南関東地方液化石油ガス懇談会 | |
北関東懇談会と同場所で開催された南関東懇談会での会議風景(7月24日) |
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挨拶及び基調説明する資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課 谷企画官 順に右へ橘川教授、関東経済産業局佐藤企画官、関東東北産業保安監督部森山課長補佐 |
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調査結果報告を交えて質問、意見された消費者委員 |
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消費者委員からの質問に丁寧に答える事業者委員の皆様 |
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消費者/事業者/行政 各委員への提言と共に総括コメントする橘川教授 | |
(広報室/野村 晃久) |