LPGC WEB通信 Vol.38 2017.05.10発行
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LPガス国際セミナー2017 講演内容(後編) |
LPガス国際セミナー2017を、3月7日(火)~8日(水)にわたり日経ホールを会場に開催 しました。前月号に続き、それぞれの講演者のプロフィール、講演内容と総括質疑応答の内容 をご紹介します。 |
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Ⅰ.講演内容 |
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9.ミャンマー石油化学公社(ミャンマー)デピュティダイレクター モウン・モウン・タウ氏 「ミャンマーのLPガス産業の見通し」 |
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【略歴】 ミャンマー石油化学公社(MPE)のメカニカルエンジニアで、現在は生産部のデピュティダイレクターとして、 製油所、肥料製造プラント、LPG抽出プラントの管理責任者である。 |
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【講演内容】 ・ミャンマー石油化学公社(MPE)は、電力エネルギー省(MOEE)の下のエネルギー省傘下の公 社である。 ・MPEのLPG抽出プラントは、Kyunchaung/Minbu/Nyaung Donの3カ所である。各々の生 産実績は日量10トン/17トン/0トンである。その他にThanbayarkan(コーカー/石化コンプ レックス)から日量11トン。月間ベースで800トン。 ・MPEは国内需要に対し年間1万トン供給している。 ・民間企業によるLPG輸入は、海上輸入が2013~14が8,500トンだったが、2014年8月に MPEの海上受入施設と貯蔵タンクの民間使用を禁止したので、2014~2015は2,700トンに 減少し、今は陸上輸入に限られている。 ・現在の国内供給/需給市場の規模は5~6万トンである。政府による国内生産が5,500トン、 海上輸入が1,800トン、民間供給が陸上輸入(中国/タイ)4万5千トンのみである。 ・需要の不足分は、許可を受けた民間企業によって充足されている。 ・LPG供給は1986年に政府により開始され、2010年に民間企業に供給する許可がおりた。 2012年に民営化を促進する許可が始まった。 ・全てのLPG事業には許認可が必要。全ての許認可には一定基準があり、基準はAPIとNFPAス タンダードを基にしている。 ・小売業者と消費者に安全喚起している。また、MPE従業員のみならず、民間企業の社員にも 取扱い訓練を実施している。 ・MPEからの供給は、各省庁職員、僧院、大学、ホテル、病院、政府公式行事としている。目 的は合法かつ安全なLPG使用により、健康、家庭、環境の安全を促進することである。 ・価格傾向は、1987年から2011年までは補助金付販売価格であった。2011年以降は、生産 コストよりも販売価格の上昇が続いている。 ・2016年に発令された投資委員会通告の内容は次の通り。 -原油/ガス/石油製品にかかる輸入、輸出、運送、貯蔵、配送、貯蔵タンク、桟橋、パイプラ イン、付属設備、建物の許可は、全て電力エネルギー省とのJVに限られる。 -電力エネルギー省は以下の権利を保有する。黄金株、拒否権を持つ取締役1名派遣、政治/ 社会/環境/エネルギー政策/安全/保安/共同体事項にかかる主要事項は全てMOEEが黄 金株と拒否権を持つ。 ・JVの状況は、ASIA AVA GAS(MPE JV)が輸入、貯蔵、配送であり、検討中の案件として LPGターミナルプロジェクト、3充填所をもつLPGプラント、LPG製造配送がある。 ・LPG規制を制定の準備中。生産、貯蔵、輸入、配送のような全てのLPG事業を網羅する規制 であり、操業者が要求されるフレームワーク、安全操業手順、LPG施設、LPG事業のテスト 検査の基準を規制する。 ・LPGは国のエネルギー政策と目標に関連して、先頭を走る代替燃料である。 ・政府は民間企業による事業の推進を奨励している。 ・LPG事業に関連する全ての法規制は、安全と保安にかかわる。 ・LPG事業は全てのレベルにおいて急速に出現する。 |
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10.BW LPG社(シンガポール) シニアバイスプレジデント ニールス・リゴールト氏 「維持可能な世界にエネルギーを配送する」 |
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【略歴】 BW LPGのコマーシャル部門のシニアバイスプレジデントで、15年以上に亘り、競合的シップブローキング と全てのLPG海事分野に経験を有する。同社に入社する前は、インゲ・スティーンスランド社のシニアパー トナーとして、長期タイムチャーター、新造船・中古船取引の責任者であった。 |
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【講演内容】 ・BW LPG社は世界最大のVLGCフリートを保有し、運航船舶数が55隻、2016年輸送量は 1,300万トン。 ・2016年は船舶余剰により運賃が75%下落し、船舶中古価格も23%下落した。2015年は世 界全体でVLGCが43隻増あるいは22%増えたため、仲介取引では240$/トンから91$/トン となった。 ・一方、2016年は中国と韓国の輸入の伸びがけん引し、輸送量は700万トンまたは12%増え たものの、2016年のVLGCの収益は15年ぶりの低さになった。 ・過去16年間、VLGCの投資利益はひどいものであった。3年連続して15%以上の需要の伸び があったが、不運なことに船舶数も増加した。 ・発展途上国の人口増により、LPGの家庭業務用小売りの潜在性が伸びている。 ・船主は需要と供給の両サイドでリスクに晒されているので、フレイトに与える影響力は限ら れている。 |
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11.アストモスエネルギー社(日本) 常務取締役 一間 要氏 「LPガスの舶用燃料化に向けたアストモスエネルギーの挑戦」 |
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【略歴】 東京大学工学部卒。三菱商事入社、石油企画開発、原油、LPG等を担当した後、ベネズエラ三菱商事会社 社長に就任。2011年アストモスエネルギーに出向、2012年同社取締役供給本部長、2013年に常務取締役 に昇役、2014年より常務取締役国際事業本部長。 |
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【講演内容】 ・ECA地域では既にバンカー燃料の硫黄分は0.1%以下に規制されているが、その他地域は 2020年以降現行3.5%以下から0.5%以下に規制強化される。 ・対応策としてLPGがある。LNG同様に環境に優しくエンジンメンテナンス費用の削減可能で あり、LNGと違うのは既存サプライチェーンを利用可能で、かつ導入コストが安いメリット がある。 ・LPGと他燃料の価格を比較すると、2014年頃まではLPGは原油比で割高だったが、シェール 革命による供給過剰により、同等または割安になっている。 ・世界のバンカー消費量は約2.7億トンありLNGは650万トンがバンカー燃料として使われて いるが、LPGはバンカー燃料として認識されていない。 ・MAN DIESEL & TURBO社においてLPG DUAL FUEL ENGINEを開発中であり、2019年後 半までに設計完了の見通し。国内造船メーカー数社は既にLPG燃料タンクを搭載した船舶の 設計を検討中である。 ・アストモスでは自社船団へのLPG燃料船の導入に向け本格的な検討を開始した。 ・LPGバンカリングの主なターゲットは、2万馬力エンジン搭載船を第一ステップとし、定期 戦と不定期船もターゲットにしている。 |
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12.イスラLPG社(フィリピン) CEO ルーベン・マリオ・A・ドミンゴ氏 「フィリピンの成長するLPガスマーケット」 |
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【略歴】 25年間シェルグループに在籍し、潤滑油、燃料油、LPGの各分野を経験。シェルがシェルガス社における 持ち分を処分することを決定した2012年にイスラLPGに入社。 |
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【講演内容】 ・2016年の需要は140万トンで、70%が家庭/業務用。2021年には170万トンの予想。 ・ 供給能力は国内製油所2カ所(年間40万トン/1カ所)と28入基地(タンク能力7万3,000ト ン)あり、需要の伸びに対し十分な供給力を持つ。 ・今後は、中流階級層の拡大、環境問題への注目度向上、高い電力料金によりLPGへの期待が 高まる。新しい用途として、ボイラー燃料、島用の小型発電機器、GHPが挙げられる。 ・LPGが浸透するには、政府とのパートナーシップ、もっと手頃なLPG(分割払い等)、島内 配送の改善、調理用と家庭温水用の増加、が必要である。 ・技術的能力の開発、OEMとのパートナーシップ、産業用ユーザーの教育、供給と配送力の確 保も必要である。 ・これらが効果を奏すると、LPG需要は2016年の142万7,000トンから2021年に173万 6,000トンに増える。 |
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13.広東油気商会(中国) ダイレクター ベンジャミン・ヤオ氏 「中国LPガスマーケットのレビュー」 |
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【略歴】 インフォメーション担当ダイレクター。LPG、LNG、ガソリン、軽油、燃料油、ガス、産業用ガスのOGA 調査に参画、国際会議での講演も担当している。 |
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【講演内容】 ・LPG需要は世界のほとんどの地域で拡大を続けている。石化と家庭業務用が2つのけん引す る鍵である。 ・アジアは最も大きな市場で、世界需要の37%をしめ、最近の5年の成長率は5%である。 ・アジアの中でも中国は最も強く早く成長しており、ここ5年間で11%の成長率であり世界需 要の14%をしめている。中国の旺盛な需要は、有り余る国内製油所からの供給と世界の供給 余剰分で支えられてきた。2016年の消費量は4,980万トン、国産が3,500万トン、輸入が 1,600万トンで過去最高となったが伸び率は著しく下がるだろう。 ・2016年の輸入元は、中東が65%、米国が20%。輸入地は南中国と東中国が90%をしめ る。東中国はPDHの稼働により中国の輸入の48%となる。米国の供給は世界のLPG貿易を変 えており、中国の米国からの2016年の輸入は330万トンで、2015年比増加率18%、輸入の 21%をしめる。米国からの輸入はまだ増えるが伸び率はスローダウンするであろう。中東は 中国の最大の供給者であり続ける。 ・国内のPDHプロジェクトは8つが全て2016年の下期までに稼働を開始し、プロパンの消費量 で5,500万トンの能力をもつ。 ・家庭業務用という伝統的なマーケットは価格に非常に敏感で、2011~2013年の原油価格の 高騰によるLPG価格の高値はマーケットの成長を止めたし、ここ最近の2年の原油価格の下 落はLPG輸入を強く推し進めた。家庭業務用は価格の低廉化に反応し拡大してきた。 ・LPGの消費は拡大が続くものの、成長率は落ちる。 ・石化用と家庭業務用の需要の伸びが、輸入の拡大に寄与する。 ・国内LNG価格は2018年まではLPGと競合しない。 ・LPGは中国の大気汚染の改善に貢献する。 ・国内で起きる次の都市化の波は、家庭業務用の機会を創出する。中国は次のステップでどこ に進むか、中国の中西部で次の都市化が進むと、家庭業務用が最大のセグメントであり続け る。 |
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14.インド石油公社(インド) デピュティジェネラルマネージャー シュリ・マニッシュ・グルーバー氏 「インドのLPガスマーケット:成長する需要とその挑戦」 |
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【略歴】 デリー大学科学士、IMTでMBAを取得。1988年にインド石油公社のLPGグループに入社し、過去29年LPGの オペレーション、販売、戦略、新規企画の分野でインドの各地で勤務した。現在は新規計画の導入を担当し ている。 |
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【講演内容】 ・インドのLPG産業は国営企業が3社、民間企業が7社。 ・2016年の需要は1,900万トンで、家庭用が需要の89%。家庭用消費者は政府補助金によ り、価格変動から守られている。現在では、補助金は国営企業の顧客に限られている。 ・業務用と産業用の価格は国際マーケットを反映した輸入価格が適用される。自動車用は小 売りマーケットのガソリン価格と連動し、ガソリン価格の70%となっている。 ・補助金スキームの説明は以下の通り。 -仕組みを変え、補助金の政府負担を減らし、顧客サービスを向上し、社会を変える。 -補助金を顧客の銀行口座に直接支払う制度。 -3年前から銀行振込で国営石油会社のみが補助金付のLPGを販売できる。 -業務用とオートガス用の不正転用防止で10億米ドルを節約できた。 -登録顧客は2億2,900万人で、流通業者は1万8,545、61.9%の普及率が現在は71.2%に向 上、最終的には85%までもっていきたい。 - Give It Upプロジェクトとして、モディ首相が筆頭に立ってLPGの補助金を自主的に返上 するという運動を始めた。1,040万人が協力した。これによって浮いた補助金を貧困レベル 以下の女性に回す。貧困家庭では室内で薪炭、糞を燃やして調理を行い空気が汚染されてい る。こういう家庭に補助金を出してLPGを提供する運動である。 -年収170万円以上には補助金なし。 ・需要は2016年の1,900万トンから2032年は3,800万トンに増える。 ・生産は2017年が1,100万トンで、2032年が1,800万トン。 ・輸入は2017年の1,100トンが2032年は2,000トンになる。 |
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Ⅱ.総括質疑応答 1.講演内容の整理 |
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今年のテーマである「成長を続けるLPガス市場~新たな可能性と未来への挑戦」に沿って各 講演者より素晴らしいプレゼンテーションをいただきました。 総括質疑応答を始めるにあたりまして、簡単に2日間の講演を振り返りたいと思います。 基調講演でIHSマーキット社のハートさんから、米国輸出の増加が世界のLPG海上貿易の流れ を劇的に変えたとの報告がありました。米国のガス生産は一旦減少したものの2017年半ばに 復活し、LPG生産は引き続き高い伸び率で増加すると予想されています。また、エンタープラ イズ社のファスロさんの説明の通り、米国内は需要よりも供給が上回り、在庫が積みあがって います。 北東アジアの輸入の大半は今後10年間で米国とカナダになる見込みです、一方、中東では、サ ウジアラムコ社のアラムさんの報告の通りサウジの輸出量が低減傾向にありましたが、2015 年から増加にかわり2016年は前年比250万トン増になります。IHSのハートさんは、中東は今 後も東南アジアとインドの輸入の独占を続けるとみています。 需要面では、中国とインドを中心にアジアが世界の需要をけん引していきます。広東油気商会 のヤオさんの報告では、2016年の中国の需要は約5,000万トンで輸入が1,600万トンでした。 家庭業務用の伸長により今後もさらに需要が拡大しますが、伸び率は落ちると予測されていま す。IOCのグルーバーさんの説明では、インドは2016年の需要1,900万トンが助成金スキーム を活用した家庭用の伸びにより、2032年には3,800万トンになり、輸入量は1,100万トンから 2,000万トンに増加する見通しです。フィリピンはイスラ社のドミンゴさんの報告では、家庭 業務用の伸びに加え小型発電やGHPによる需要拡大が期待され、ミャンマー石油化学公社のタ オさんの報告の通り、ミャンマーでは政府から、政府と民間とのJVによるLPG産業拡大の方針 が打ち出されています。 このように新興国におきましても、国内需要が拡大していく予想です。 世界LPG協会のアリソンさんからは、オートガスの消費拡大、都市化進展に対する環境への配 慮、発電用途等に、今後のLPG産業の発展が期待できると説明がありました。 日本は消費の低迷が続き、国内需要は1,400万トン強に落ち込みましたが、産業用を中心に需 要開拓することにより、2030年には1,970万トンまでの拡大を見込んでいます。 世界の石油化学原料用のLPG需要は、三菱化学テクノリサーチの中山さんから、2016年の 5,900万トンから2025年には8,100万トンに増加する予想をお聞きしました。 BW LPGのリゴールトさんからは、LPG供給量に対応しVLGC船数が拡大しているとの説明も お聞きできました。 また、LPGの新しい需要開拓として、アストモスエネルギーの一間さんから、LPGをバンカー 燃料に活用する構想が報告されました。 以上の通り、ここ数年、北米のシェール由来のLPGの増産等による世界的な供給の急激な伸び を、アジアや石化産業等の需要の伸びによって吸収することが期待できることを確認できたセ ミナーであったと思います。 最後に、日本政府は供給の8割を占める輸入における調達国の多様化の重要性を認識しつつ、 小売価格の低廉化等を通じた需要創出、LPガス産業の基盤強化に取り組んでいます。 LPガスは我が国にとってエネルギー「最後の砦」です。会場の皆様と講演者との熱い質疑応 答を期待して、議長にバトンを渡します。 |
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2.総括質疑応答内容 Q1 船舶燃料以外のLPGの用途はないか? A1 (IHS Walt Hart) LPGは発電用として採用されている。民生・工業用としても活躍している。しかし民生用 としては天然ガスに負けている。一度LNGがパイプ輸送されるとそこにLPGは入れない。 石化市場に行くと価格が下がる。しかしLPGは運搬性に優れ、これを生かして用途が多様 化する。 Q2 米国西海岸での輸出ターミナルを考えているか? A2 (Enterprise Joh Fusllo) エンタープライズには計画はない。アセットベースにマッチしない。あくまでメキシコ湾 岸である。 Q3 オートガス推進のためにはサービスステーションが必要である。ガソリンとオートガス を併給できるスタンドをつくれるように法改正は可能と思われるが? A3 (田久保) ヨーロッパのオートガス状況調査でもガソリンとの併設が必要なことは明らかである。消 防を始め関係各庁と協議をし、可能性を含めて考えていく。 Q4 原油の価格が90ドルから80ドルに下げた経緯を知りたい。 A4 (IHS Walt Hart) 自分の考えではなくチームが考えている。新油田は見つかっても1、2だろう。掘削し難い 所から原油がでることもある。シェールは技術の進展が早い。生産コストが下がるので価 格も下がると思う。 Q5 船主として参加しているが運航、ターミナル等に関し船主の手助けをWLPGAはできない か? A5 (WLPGA Alison Abbott) 最近船主がメンバーになった。かなりのメンバーがいれば手伝うこともできるだろう。 WLPGAはHSNのオブザーバーステータスをもっており事故が起きて船主に非がない時の 保護の策がある。 A5 (BW LPG ニールス) まだかかわっていないので回答できない。 Q6 中国はシェールガスをどう考えているか。米国はシェールガスでガスの純輸出国になっ たが。 A6 (広東油気商会 Benjamin Yao) 中国は米国と異なる。生産についてSINOPECなども中国のシェールガスには多くの問題 があると指摘している。10年後には技術的に解決されるかも分からないが、今は難しい。 Q7 船主であるが、BW LPGに聞きたい。VLGCのサイズは大きくなるのか? A7 (BW LPG Niels Regault) そうではないと思う。ターミナルに入らないという問題がある。74型とか84型とかある が今のところはそれが最大であろう。 Q8 インドネシア、タイはGDPを超えるLPGの伸びがあったがフィリピンは同様なことがあ るのか? A8 (Isla LPG Ruben Domingo) GDPだけがLPGの伸びを決めるのではない。人口増加、手頃感、CP、競争力等の他の要 素も影響しGDPだけではない。 Q9 インドは輸入が増えると考えられるが今のターミナルで十分か?もっとVLGCが入港で きるターミナルをつくらなければならないのでは。内陸で水路を使ってLPGを運ぶことは どう考えているのか? A9 (IOC Shri Manish Grover) 今インドは1,100万トン輸入しているが、相当無理をしている。新ターミナルが必要であ る。インドの東西にターミナルをつくる計画がある。内陸水路についても政府が検討して いる。 Q10 米国のLPG需要は5,200万トンで、石化原料、家庭用等あるが、劇的な変化はあるの か? A10 (Enterprise Joh Fusllo) PB合わせて需要は横這いである。PDHやBDHで少量の需要の伸びがあるにしても調理用 のLNG転換により需要が相殺される。 Q11 8基のPDHの稼働率が低い。自動車産業等を見るともっとプロピレンが必要だと思う が、プロピレンの需要をどうまかなっているのか? A11 (広東油気商会 Benjamin Yao) 中国の輸入は1,600万トンでPDH用のプロパンは550万トンである。プロピレンの輸入は 増えてプロパンの輸入は減っている。 Q12 VLGCのスロースチーミングで難局を乗り切ろうとしているようだが、需給タイトが解 消されるのはいつごろと考えられるか? A12 (BW LPG Niels Regault) 現在は20隻がオーバーハング状態である。2019年位か、はっきりとは言えない。 |
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3.議長総括 それでは、時間が参りましたので、ここで総括質疑応答は終了させていただきます。この2日 間、長時間にわたるご聴講、また、質疑応答など誠にありがとうございました。 今回も、中東、米国等の産ガス国と、多くのアジア消費国等の最新情勢、海運や石油化学産業 の現状と見通しなど世界のLPガス需給にかかわる重要な情報に関するご講演を多数いただきま した。本当にありがとうございました。 「成長を続けるLPガス市場~新たな可能性と未来への挑戦~」をテーマといたしました今年の セミナーは、アメリカの新大統領によるエネルギー政策が転換する米国をはじめとして今後の 世界の供給はどう推移するのか、多様化している供給先はどう変わっていくのか、一方で、大 きな消費地域であるアジア諸国の需要はどこまで拡大していくのか、LPガスを消費する石油化 学原料の需給はどうなるのかという課題の下で開催しました。 テーマにありますとおり、まさにこれからもLPガス市場は成長を続けるとの認識を新たにしつ つ、例年の通り、産ガス国と消費国との間、また、今回ご出席の関係者の皆様にとっても大変 有意義な情報交換の場になったのではないかと考えております。 産ガス国には、世界と日本のLPガス産業の発展に向け、引き続き安定的な供給をお願いすると ともに、今後の需要拡大に向けて他エネルギーと比べて競争力のある安定した価格設定をお願 いいたしたいと思います。 このLPガス国際セミナーが、需要が拡大するアジア諸国における調達先の多様化に資するとと もに、消費国における需要創出の取組事例を参考にしていただき、更なる世界のLPガス産業の 発展につながることを期待しております。 最後になりますが、講演者ならびに海外、国内から参加していただきました皆様に、重ねて感 謝を申し上げ、閉会の言葉とさせていただきます。 本当にありがとうございました。 |
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(調査研究部/亀川泰雄) |