LPGC WEB通信  Vol.33  2016.12.12発行 

四国地方液化石油ガス懇談会概要

 前号までに報告した北関東(7/28)、南関東(8/22)、北海道(8/31)、東
北(9/14)、近畿(9/30)、中部(10/20)に続き、四国地方(11/11高
松)液化石油ガス懇談会を開催しましたので、概要を報告します。 (四国地方:香川県・
徳島県・愛媛県・高知県)
 今後開催予定の中国(11/21広島)、九州(12/8熊本)の各地方懇談会について
は、次号以降で概要を報告します。


 液化石油ガス懇談会の概要
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、
       事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、
       関係者相互間の理解を深めると共に、産業の健全な発展に資する。

(2)方法  平成28年度は全国を9ヵ所に区分し開催する。

(3)参加者 消費者委員…………(消費者団体等の幹部等)
       事業者委員…………(都道府県LPガス協会の幹部等)
       学識経験者…………(知見を有する大学教授等)
       自治体………………(都道府県、市町村等)
       経済産業省…………(経済産業省、地方経済産業局等)
       オブザーバー等……(業界関係者等)
       報道関係


 議事次第
(1)開会挨拶
     四国経済産業局 資源エネルギー環境部 部長 原田 富雄 氏

(2)基調説明
   ①「LPガスの料金透明化等に向けた取組」
      資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課 企画官 田久保 憲彦 氏
   ②「液化石油ガスの保安を巡る状況」
      中国四国産業保安監督部 四国支部保安課 課長補佐 杉本 克夫 氏

(3)地方自治体からの意見・相談事例紹介について

(4)懇談
   ①料金透明化に関する意見交換
    消費者委員、事業者委員、エネ庁との間で活発な意見交換がありました。 
    まず消費者委員より、料金メニュー公表は義務化するのか、事業者を選ぼうにも
    (公表されいないので)選びようがない、との率直な意見がありました。これに対
    し、エネ庁からは、(料金公表の)法律に定める義務化は国による料金の検証が必
    要となり、即ち料金への国の関与となるので行えない(電力、都市ガスも)が、策
    定予定のガイドラインで強く要請する。その結果、(料金を)開示していない事業
    者は(消費者に)選ばれなくても良いと解する、との表明がありました。消費者は
    自由な取引の中で選択可能な環境下にある必要があり、事業者は之に応えるべきで
    あることが、認識として委員間で共有されました。
    また、事業者委員が賃貸型集合住宅へのLPガス供給で過剰なリベートを要求され
    ており苦慮している、独禁法に抵触するのではないか、との質問がありました。こ
    れに対しエネ庁より、足元の大変さは理解できるが、リベートそのものは一般的な
    経済行動であり、優越的地位の濫用にも当たらないので、阻止はできない。しか
    し、そのリベートがガス料金に転嫁されるとなると、将来LPガスが選ばれなくな
    る可能性もあるがそれで良いのか、という問題がある。事業者の潔い態度も必要で
    はないか、との回答がありました。更に、学識経験者委員の土佐教授より、公正取
    引委員会への問い合わせも勧めるが、最終的には必要なコストを誰が支払うかであ
    り、料金透明化の中で財務価値以上の対価を消費者に求めることとなる取引は如何
    なものか、との回答がありました。事業者は、顧客獲得の中で厳しい状況下にあり
    ますが、将来を見据えた潔い判断が期待されるとのlコメントがありました。消費者
    委員からは、ごはんはガス釜で炊くのが一番!LPガス事業者が電気を売るのだか
    ら、オール電化ではなく「オールガス」で!とのエールと共に、ガス料金に対しも
    っと認識を深めていく必要があるとの意志表明、また事業者委員からは、料金透明
    化に係る取り組みや活動状況について説明がありました。
    加えて、エネ庁から消費者委員に対し、問題のありそうな事業者に対しては、(全
    国LPガス協会発行の)LPガス販売指針に沿って事業を行っているかをチェック
    してほしい、また学校等公共施設への災害対応型LPガス設備の設置については、
    補助金が出るので、是非自治体に設置要望の声を上げてほしい、との要請もあり、
    LPガスインフラの改善や発展の為には、消費者サイドからの評価や動機付けが必
    要であることが示唆されました。

   ②その他意見交換
    消費者委員からは、「地域を支える頼れるLPガスへの期待」をテーマとして、消
    費者団体による啓蒙活動状況や、LPガスが選択される為に必要なこと、透明化以
    外での料金問題、契約・取引問題等が、事業者委員からは、「LPガスの地域密着
    型産業としての地域貢献への期待」をテーマとして、サービスと保安活動強化によ
    る信頼向上への取組状況、FRP容器(会場に展示)普及に向けた取組状況、LP
    ガス利用形態の多様化推進状況、災害対応への具体化方法等について説明があり、
    夫々意見交換されました。
    また、四国経済産業局 資源エネルギー環境部 原田部長より、徳島県水素グリッド
    フォーラム(9月8日開催)で出展された燃料電池車の紹介があり、LPガスを水素
    源とする燃料電池の低廉化による普及への期待について説明されました。
    尚、夫々のテーマは、経済産業省/当センターの3カ年契約に基づき、継続性をも
    って設定しています。

(5)総括コメント
    甲南大学法科大学院 教授 土佐 和生氏
    (消費者委員へ)
     電力とガスの合流を前提とした、エネルギーシステム改革という岐路の中で、消
     費者は、「選ぶ」ことにもっと努力を払うべきである。「選ぶ」努力を怠ると、
     後で困る。
     料金の透明化時代にあっては、日常品や食料品を選ぶときの様に、自ら意識的に
     様々な情報に接し、入手し、自分で合理的に決めていくことが必要である。
    (事業者委員へ)
     「選ばれる」ことをもっと意識すべき。
     LPガス事業者間で選ばれるのではなく、エネルギー供給主体やブローカーを含
     むそれ以外の他業種を含めて、その中で選ばれるのである。
     営業の最前線はディベロッパーに向くのではなく、使われる消費者方々に顔を向
     けるべき。
    (自治体へ)
     市・町の消費生活行政に対するリソースの向け方が非常に心許ない。
     実際の消費生活の現場に近い都道府県には、国から権限が下りてきており、相
     対的な役割や意義等が増えているので、LPガスの取引を適正なものとして見守る
     役割について、今まで以上に配慮と理解をいただきたい。


 開催風景・四国地方液化石油ガス懇談会


四国経済産業局資源エネルギー環境部 原田部長による開会挨拶
右は中国四国産業保安監督部四国支部保安課 杉本課長補佐
左は甲南大学法科大学院 土佐教授



基調説明する田久保企画官


熱心に質問・意見された消費者委員


真摯に回答された事業者委員


夫々の委員に対し総括・意見された土佐教授


 (広報室/野村晃久)