LPGC WEB通信 Vol.32 2016.11.10発行
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近畿・中部地方液化石油ガス懇談会概要 |
前号までに報告した北関東(7/28)、南関東(8/22)、北海道(8/31)、東 北(9/14)に続き、近畿地方(9/30大阪)及び中部地方(10/20名古屋)液化 石油ガス懇談会を開催しましたので、概要を報告します。(近畿地方:福井県・滋賀県・京 都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県、中部地方:愛知県・岐阜県・三重県・富山県・ 石川県) 今後開催予定の四国(11/11高松)、中国(11/21広島)、九州(12/8熊 本)の各地方懇談会については、次号以降で概要を報告します。 1 液化石油ガス懇談会の概要 (1)目的 LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、 事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、 関係者相互間の理解を深めると共に、産業の健全な発展に資する。 (2)方法 平成28年度は全国を9ヵ所に区分し開催する。 (3)参加者 消費者委員…………(消費者団体等の幹部等) 事業者委員…………(都道府県LPガス協会の幹部等) 学識経験者…………(知見を有する大学教授等) 自治体………………(都道府県、市町村等) 経済産業省…………(経済産業省、地方経済産業局等) オブザーバー等……(業界関係者等) 報道関係 2 議事次第 (1)開会挨拶 近畿経済産業局資源エネルギー環境部 電力開発調整官 山本 陽一 氏(近畿) 中部経済産業局資源エネルギー環境部 調整官 加藤 一信 氏(中部) (2)基調説明 ①「LPガスの料金透明化等に向けた取組」(近畿・中部共通) 資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課 企画官 田久保 憲彦 氏(近畿) 同 課長補佐 高野 史広 氏(中部) ②「液化石油ガスの保安を巡る状況」 中部近畿保安監督部近畿支部保安課 液化石油ガス監督官 伊藤 信一 氏(近畿) 中部近畿保安監督部保安課 液化石油ガス監督官 内藤 隆 氏(中部) (3)地方自治体からの意見・相談事例紹介について (4)懇談 ①料金透明化に関する意見交換 近畿懇談会では、大阪府生活協同組合連合会より同会でまとめた調査報告書につい て説明があり、インターネット調査で平均料金比較で、LPガスは都市ガスより全 般的に割高かつLPガス世帯の中でも価格のバラツキが大きいとの数値結果が紹介 され、地域や事業者間での格差の中身についても不透明である等LPガス価格問題 は根深く、販売事業者の営業努力に期待したいとの意見がありました。 また他の消費者委員からも、事業者の努力で料金に関する苦情相談件数が減少して きてはるが、消費者/事業者間のもめ事は依然あり、行政からもメスを入れてほし いし、事業者にも消費者が選べる形での競争を望むとの期待が寄せられました。 これに対し事業者委員からは、ホームページでの料金公開事業者数は大阪で約60 0社中10%程度とまだ少ないが、販売指針に基づく取引適正化を踏まえ、料金透 明化は大きな課題であるとの認識の下、取り組み状況について説明がありました。 エネ庁からは、LPガスは成熟した自由化となっていないが、自由化の先輩として 電気・都市ガスに負けない様、今はまずきちんと料金公表していく段階であり、そ の先で進捗によっては法律の規制もあるかと思う、とのコメントがありました。 中部懇談会では、液化石油ガス流通ワーキンググループ委員であり、今般料金透明 化を進められた岐阜県LPガス協会の澤田栄一会長に、事業者委員を代表して「取 引の適正化~料金の透明化に向けて~」をテーマにプレゼンしていただきました。 同氏は、LPガスが消費者から選ばれ信頼を継続される為には、まずホームページ への掲載をはじめ標準料金メニューの公表、そして契約時・契約後・契約終了時の 料金透明化が必要であること、業界及び事業者各社の永続の為にはLPガス販売指 針に基づいた取引適正化の徹底が不可欠であることを、自社㈱マルエイでの取り組 みを交えて説明されました。 消費者委員からは、ホームページでの料金公表の増加を称える一方、インターネッ ト環境下にない高齢者への周知方法への疑問や、より一層の消費者接点とPRの増 加への要望が寄せられ、事業者委員からは消費者とのコミュニケーション改善への 意欲と現段階での取組み状況の説明がありました。 一方で、地域によっては事業者とは長年の付き合いの中で家族の安否を含め十分に コミュニケーションが図れているケースや、事業者や弊センターが行う講習会がL Pガスへの理解を深める場として非常に有効であるとの声、またインターネット環 境はスマートフォンを含め更なる普及は時間の問題であるとのご意見もあり、業界 側が力付けられる場面もありました。 ②その他意見交換(近畿及び中部) 消費者委員からは、「地域を支える頼れるLPガスへの期待」をテーマとして、消 費者団体による啓蒙活動状況や、LPガスが選択される為に必要なこと、透明化以 外での料金問題、契約・取引問題等が、事業者委員からは、「LPガスの地域密着 型産業としての地域貢献への期待」をテーマとして、サービスと保安活動強化によ る信頼向上への取組状況、FRP容器(会場に展示)普及に向けた取組状況、LP ガス利用形態の多様化推進状況、災害対応への具体化方法等について説明があり、 夫々意見交換されました。 各テーマは、経済産業省/当センターの3カ年契約に基づき、継続性をもって設定 しています。 (5)総括コメント 近畿懇談会:甲南大学法科大学院 教授 土佐 和生 氏 取引適正化については、この1年で大きな変化があった。特に「料金の見える 化」が大きな流れの基本となってきた。 是非、行政、事業者、消費者同士が夫々の立場での考えや主張を交わし、状況を 良くしていく方向に向け相互理解を深めてほしい。 その為には、第一に、既に精密に配慮されたルールにより取引適正化が図られて いる電力や都市ガスは、自由化されても秩序が保たれるが、(取引の適正性は)エ ネルギー間競争において選択される要素の一つのミソであることをLPガス業界 も認識する必要があること、第二に、契約の各段階においては14条書面をはじめ 夫々がそのプロセスで契約内容に留意して進め、不利益なことを隠さず重要な事 項は全て開示し理解することが重要である。 消費者からの疑問で複数の省庁に跨る案件については、ワンストップである自治 体への相か、各県協の相談窓口への問い合わせを勧めるが、後々のトラブル防止 の為重要なのは、やはり最初の契約の中身である。 消費者団体も事業者団体も、契約の重要性については、会員各位の認識を深める べく共有に努め、行政も様々な情報共有、トラブルの未然防止や迅速処理にあた ってほしい。 中部懇談会:青山学院大学 総合文化政策学部 教授 内山 隆 氏 LPガスは、どの事業者と長くお付き合いするのが結局安いのかで判断され、長 期契約にづく言わば耐久消費財を買う感覚である。 (LPガス料金の)透明性の確保については、信頼性が高い場合は最小限の情報量 で済むが、たくさん情報を出していかないと信頼性を勝ち得ない実態があり、長 い付き合いで得た信頼や良い関係性をどう維持していくかが課題である。 LPガス業界は、医療分野の「かかりつけ医」のごとく、顔のわかるコミュニケ ーションの中でサービスを提供していく流れを強めていくことが必要である。 差別料金制は、自由料金の世界なので当然であるが、経済学では段階的な価格差 別の概念があり、LPガス料金は第2種価格差別の範疇、即ち公平な基準に基づ いて異なる料金体系の適用である。 エネルギー分野全体が自由料金という世界に踏み込んでいく中、その料金やサー ビスのあり方が大幅に変わってくる。LPガス業界は、これまで培われた長期的 取引に基づく信頼性の中で、更に相互理解を深めることができれば、着実に変化 させていくことが可能である。 3 開催風景・近畿地方液化石油ガス懇談会 |
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近畿経済産業局資源エネルギー環境部 山本調整官による開会挨拶 右へ順に同部資源・燃料課 荒木課長、中部近畿産業保安監督部近畿支部保安課 伊藤監督官 左へ順に甲南大学法科大学院 土佐教授、エネ庁 田久保企画官 |
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調査結果を説明する大阪府生協連の中村専務理事 及び熱心に質問・意見された消費者委員 |
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真摯に回答された事業者委員 |
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熱く総括コメントする土佐教授 |
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4 開催風景・中部地方液化石油ガス懇談会 |
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中部経済産業局資源エネルギー環境部 加藤調整官による開会挨拶 左は中部近畿産業保安監督部保安課 内藤監督官、右へ順に青山学院大学内山教授、エネ庁高野課長補佐 |
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料金透明化についてプレゼンする澤田事業者委員と中部地方事業者委員 |
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熱心に意見すると共に事業者への感謝も忘れない消費者委員 |
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消費者、事業者、行政各委員に期待を込め総括コメントする内山教授 |
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(広報室/野村晃久) |