LPGC WEB通信 Vol.31 2016.10.11発行
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北海道・東北地方液化石油ガス懇談会概要 |
前号の北関東、南関東に続き、北海道(於:札幌市)及び東北地方(於:仙台市)液化石 油ガス懇談会を開催しましたので、概要を報告します。(東北地方:青森県・岩手県・宮 城県・秋田県・山形県・福島県) 今後、近畿(9/30大阪)、中部(10/20名古屋)、四国(11/11高松)、中 国(11/21広島)、九州(12/8熊本)にて開催の予定です。 1 液化石油ガス懇談会の概要 (1)目的 LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、 事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、 関係者相互間の理解を深めると共に、産業の健全な発展に資する。 (2)方法 平成28年度は全国を9ヵ所に区分し開催する。 (3)参加者 消費者委員…………(消費者団体等の幹部等) 事業者委員…………(都道府県LPガス協会の幹部等) 学識経験者…………(知見を有する大学教授等) 自治体………………(都道府県、市町村等) 経済産業省…………(経済産業省、地方経済産業局等) オブザーバー等……(業界関係者等) 報道関係 2 議事次第 (1)開会挨拶 北海道経済産業局資源エネルギー環境部資源・燃料課 課長 木下 俊一 氏 (北海道) 東北経済産業局資源エネルギー環境部 部長 中村 仁 氏(東北) (2)基調説明 ①「LPガスの料金透明化等に向けた取組」(北海道・東北共通) 資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課 課長補佐 高野 史広 氏 ②「液化石油ガスの保安を巡る状況」 北海道経済部産業振興局環境・エネルギー室 産炭地・保安グループ 主査 合田 和義 氏(北海道) 関東東北産業保安監督部東北支部保安課 課長補佐 菅原 達也 氏(東北) (3)懇談 ①料金透明化に関する意見交換 北海道懇談会では、道内7消費者団体の代表委員からの、液化石油ガス流通ワーキ ンググループ(以下WG)の報告書にあるLPガス料金透明化に対する業界の今後の 対応や、北海道外及び都市ガスとの価格格差問題、集合住宅の価格問題に対する問 いかけに対し、事業者委員、行政及び学識経験者委員の橘川教授より、前向きかつ 真摯な説明やコメントがあり、活発な意見交換が行われました。特に北海道生活協 同組合連合会からは、LPガス料金の独自調査結果により、諸比較における料金格差 が北海道は顕著であるとの紹介があり、本件に関する事業者の取り組みや行政各機 関の関与スタンスについて質問がありました。之に対し、事業者委員より料金内容 を丁寧に説明すると共に、ホームページへの料金表公開や設備費用の書面記載等、 諸透明化を順次進めたいとの積極表明があり、またエネ庁は料金透明化ルールを年 内にガイドラインとして策定するとの方向性を示しました。 東北懇談会でも同様に、消費者委員より、宮城県生活協同組合連合会の独自調査で 各家庭毎のLPガス料金にバラツキがあり設備・ガス機器費用分も不明確である等の 結果から、不透明なLPガス料金システムに対する不満や、自由料金であることの消 費者の利益の所在について疑問が上がり、改善への取り組みが求められました。 事業者委員からは、一番の課題は料金を安くすることではなく適切に内容を開示す ることであり、7・8月の保安講習会にて協会々員に対し保安だけではなく料金透 明化に触れる等、啓蒙活動について説明がありました。 またエネ庁からは、ホームページへの料金公表が各社の努力と各県LPガス協会のPR の成果で現在90社(本年2月時点は約30社)と増えており、今後更に消費者より事業 者に対し公表要請してほしい旨の表明がありました。 ②その他意見交換(北海道及び東北) 消費者委員からは、「地域を支える頼れるLPガスへの期待」をテーマとして、消 費者団体による啓蒙活動状況や、LPガスが選択される為に必要なこと、透明化以 外での料金問題、契約・取引問題等が、事業者委員からは、「LPガスの地域密着 型産業としての地域貢献への期待」をテーマとして、サービス強化による信頼向上 への取組状況、FRP容器(会場に展示)普及に向けた取組状況、LPガス利用形 態の多様化推進状況、災害対応への具体化方法等について説明があり、夫々意見交 換されました。各テーマは、経済産業省/当センターの3カ年契約に基づき、継続 性をもって設定しています。 ③地方自治体より意見・相談事例紹介等 (4)総括コメント 北海道懇談会:東京理科大学大学院 イノベーション研究科教授 橘川 武郎 氏 料金透明化については、電力や都市ガスの自由化で実行せざるを得なくなってお り、単に数字を出すのではなくなぜ高いのかを丁寧に説明することが必要であ る。 透明化が最も進んでいる神奈川で、ある会社は透明化当初はより安価な先に次々 に持って行かれたが、公表したことをパンフレットにして全消費者宅に回った結 果、切り替えが止まった。説明に来てくれるという関係性自体が力となり強いも のとなった。お金だけの問題ではなく、事業者においてはサービスの透明化が必 要である。 過剰設備問題についても、本質原因や背景をうまくあぶり出す様な仕組みを行政 ・消費者・事業者それぞれが考え、法改正、条例やガイドライン化等この懇談会 を活かしながら解決策への議論を進めてほしい。 北海道は、自治体として沖縄と同様、権限と情報が集中しており、消費者に力点 がある。 現在、道経済部で行われている消費者調査は非常に重要な意味を持ち、法改正の 原動力ともなるので頑張ってほしい。 また北海道価格については、消費者委員からの発言で驚いたが、電力自由化で離 脱が進んだほど高い北電価格にもかかわらず、(LPガスに比べ)安く見えてしまう のは、かなり問題である。煮炊きだけではどうしても高くなるが、構造的な問題 もあり、努力により下げられる部分とやむを得ない部分を切り分ける必要がある と思う。全国の先進の消費者によるチェックもここまで進んでおり、我々も微力 だが制度を変えていくにあたり、その情報で解決することになる。それぞれの皆 さん、頑張ってください。 東北懇談会:青森大学 名誉教授 前学長 末永 洋一 氏 生協連調査の通り、エネルギーシステム改革の中で消費者サイドも地域毎に異な る実情を踏まえてきちんと調査研究した重要な結果を、この様な場で共有すると 共に、一方で中央であるエネ庁はガイドライン策定後も地方の声を尊重しなが ら、関与を継続してほしい。 東北地方は6割がLPガス世帯とはいえ、都市ガスがメインである主要都市も多 く存在している。LPガスは郡部への供給となっているのが実情である為、サプ ライチェーンを維持していくことが課題である。地域事業者の維持と育成、支援 について、消費者側としても事業者との接し方を考えていく必要がある。 料金体系の透明化は、事業者委員から説明のあった通り安さの追求ではなく、合 理的な説明が必要だということ。エネ庁の資料の通り、LPガスのコストには弾 力性が無いこと、輸入価格と末端価格にはタイムラグがあること等を消費者も十 分認識し、合理的な説明があればそれを確り受け止めた上で、料金の透明化を要 求していくことが必要である。 災害バルクの設置は国土強靭化の観点では減災対策として重要だが、併せて常設 常用を進めていくべきである。更にFRP容器の普及は、LPガスの常用におけ る多様性が期待できる。 3 開催風景・北海道地方液化石油ガス懇談会 |
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北海道経済産業局資源・燃料課 木下課長の開会挨拶 及び北海道懇談会全景 |
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熱心に質問・意見された消費者委員 |
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真摯に回答された事業者委員 |
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北海道・札幌市・石狩市の自治体の皆様 |
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総括コメントと共に各委員へエールを送る橘川教授 右はエネ庁石油流通課高野課長補佐 |
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4 開催風景・東北地方液化石油ガス懇談会 |
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東北経済産業局資源エネルギー環境部 中村部長の開会挨拶 及び東北懇談会全景 |
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貴重な調査結果を発表する消費者委員 |
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消費者委員からの質問に丁寧に回答する事業者委員 |
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熱く総括コメントする末永教授 |
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(広報室/野村晃久) |