LPGC WEB通信  Vol.15  2015.06.10発行 

平成26年度地方懇談会 学識経験者コメント集

 平成26年度は「液化石油ガス地方懇談会」を全国9ヵ所で開催いたしました。
 懇談会には消費者委員、事業者委員と共に学識経験者の方々にも参加していただき、懇談
会に対するコメントと全体の取りまとめをしていただきました。今月号は前月号の「平成2
6年度地方懇談会 消費者委員のご質問・ご意見」に引き続き、学識経験者のコメントを集
めました。
 学識経験者の皆様からは、販売事業を営む上でのヒントやお客様との関係、価格に関して、
エネルギー自由化への心構え……等々、貴重なコメントが多数寄せられました。
 是非ご参考にしていただきたいと思います。なお、写真と本文とは直接的には関係ありま
せんので、ご注意ください。
 この「液化石油ガス地方懇談会」は経済産業省から当センターが委託を受けて実施してい
るものです。

学識経験者からのコメント 全体構成
 学識経験者の皆さんからのコメントを内容によって10のカテゴリーに分類してまとめま
した。
   事業者・団体の評価
  
 消費者と事業者・団体との関係
  
 消費者に対して一言
  
 さらなるサービスを
  
 火育・食育
  
 エネルギー自由化
  
 供給の安定性
  
 価格問題
  
 災害対応と安全対応
 
10 懇談会の評価
    
参考…各懇談会参加者一覧


 事業者・団体の評価
 ①東北は約70%がLPガスであるが、各協会が広い意味での(地場密着型の)社会貢献
  をしている。
 ②今日「協会として1件々の問題について解決するところまで見届ける」との話があっ
  た。以前には聞けなかった話である。進歩していると感じた。
 ③スタンド兼業の販売店がどんな夜更けでも来てくれるとの消費者委員の話…このような
  素晴らしい販売事業者がいるということが分り、非常によかった。
 ④災害対応では、業界のご努力に対して敬意を払いたい。業界としてのPRも非常によく
  やられている。
 ⑤協会が市町村と防災協定を結んで、災害対応を行政と一体的にやっていることを大いに
  評価する。
 ⑥協会の災害協定に関する地元自治体との対応は、昨年に比べ相当に進展していると感じ
  た。




 消費者と事業者・団体との関係
 ①大事なことは、消費者が「(販売店を含めて)選択できる手段を持ちたい」ということ
  に意識変化してきたということだ。
 ②これまでは地縁血縁などで商売してきたわけだが、消費者から「時代も状況も変わった
  ので、付き合いは無理」と言われる時代がすぐそこまで来ている。この変化に注意すべ
  きだ。
 ③「販売店が変更できないのではないか」「価格の交渉権がない」のようなことに対して、
  お客様相談所の活用が消費者に伝わっている。
 ④消費者と販売店の間には「簡単には縁は切れない」というお互いの信頼関係ができてい
  る。大変大きな財産。この財産を失わないようにしたい。
 ⑤事業者の評判をどのような形で消費者に返していくか。このような収集機能のような…
  例えば諸外国では、コンシューマーズ・エコーというような手法が今後重要になる。
 ⑥コミュニケーション不足が消費者と事業者間の大きな問題である。
 ⑦月に3回ぐらいのコミュニケーション機会を作るべきだ。容器交換時、検針時、さらに
  は見守隊など。これらを全国展開で拡充していってもらいたい。
 ⑧消費者が一番知りたいところを、易しく説明したパンフレットを作って教えてあげる。
  ちょっとした工夫が必要だ。
 ⑨誰にでも分かる、もっと基礎的なことを書いたパンフレットを作るべき。今のはかなり
  専門的なことを書いているようだ。







 消費者に対して一言
 ①消費者としては時には心を鬼にして「業者を替えます」ということを言ったり、(逆に)
  革新的な事業者を招いて勉強会などをされるといいと思う。
 ②消費者はドライな姿勢(業者に対して時には厳しく)を見せることも大切である。あく
  までも売買関係、市場取引であり、その点を理解した上で付き合いをする必要がある。
 ③消費者と業者とを問わず、今までとは質も形も違う…今は全く意識できないような事象
  が起こる可能性が大きい。
 ④(最近の業界の活動などを通じて)安定供給、適正料金、保安という三大要素について、
  業界が果している役割を消費者が理解しているものと捉えたい。
 ⑤調理は趣味あるいは楽しみという点が非常に大きい。ガス機器も多様なものが出てきて
  いるので、(消費者も自分の)生活スタイルの中で便利に使っていくべきだ。




 さらなるサービスを
 ①若い世代へのPRを考えるとSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の活用を
  考えざるを得ないのかと思う。
 ②お祭りやフェスタ、グランプリ、大学祭は(若い人や家族連れも来るので)LPガスを
  アピールする絶好の機会である。そのようなシーンで存在感をアピールすることをもっ
  と考えるべき。
 ③これからは、エネファームや熱電併給型のコジェネが普及していくと予想される。今は
  コストの問題があるが、普及につれて安くなっていくと思われる(新しいサービスのチ
  ャンスだ)。
 ④高齢者に対する見回り等と併せて、LPガスの普及も含めた接触を図っていただけたら
  と感じる。
 ⑤需要減という厳しい中で事業者の継続は極めて重要な課題である。地域に供給の穴を作
  らないためにもLPガスの特性を生かして利用拡大を図っていくこと大切。
 ⑥販売事業者はコスト的に厳しい状況である。他分野(ガス外商品)での収益確保という
  ことを、ただちに検討する必要がある。





 火育・食育
 ①火育は大変重要である。すべて人工化された生活をさせてしまうと、火の怖さを知らな
  くなる。火を見せるという点を含めて火育を進めるべきと感じる。
 ②火育・食育で幼い子たちに一種の新しい教育をやっていくことは、将来のことを考えれ
  ば、非常に良い動きだ。
 ③20~30年後を考えると、(食育・火育が十分に実践されれば)火と上手に付き合え
  る食文化や生活文化が築かれていくのではないかと思う。




 エネルギー自由化
 ①基本計画に示されたことを5年、10年変えずにやっていかなければ元の木阿弥になっ
  てしまう。長期的な観点を持った対応を期待したい。
 ②エネルギー関係者は原点に立ち返って、消費者をフォローして、また、事業者もフォロ
  ーして、日本の中における産業としてのLPガスの位置づけについて議論することが必
  要である。
 ③大所高所また各層から日本のエネルギーについて問題提起をしてもらい、その中で私た
  ちの暮らしとエネルギーとのかかわりを議論すべきだ。
 ④自由化には裏と表(綺麗なところと汚いところ)がある。この理解はまだ社会レベルと
  しては浸透していない。
 ⑤自由化議論で理解されていない隙間から(LPガスで言われているところの)ブローカ
  ー問題が発生する。自由化の表の良い面だけが伝えられて裏の悪い面は伝えられないこ
  とに注意すべきだ。
 ⑥自由化という言葉は耳触りが良いので、誰もそのことに対して否定はしないが、その裏
  側に一種の責任のようなものがある。その部分を認識して行動しなければならない。
 ⑦自由化が良いと言っても、LPガス、電気、都市ガスともそれぞれ問題点を抱えている。
  自由化は良い面ばかりではない。
 ⑧電気と都市ガスとLPガスが本当の意味で対等な条件で競争できるような状況になって
  いるのか。この点に疑問がある(LPガスが不利になっていないか)。
 ⑨LPガスを先導にして新しい時代の自由競争の在り方という商習慣あるいは、法制度な
  どの規範を考えていただくことが、行政の役割ではないのか。
 ⑩消費者利益につながるのならば、LPガス、電気・都市ガスを含めた公正競争規約の制
  定に向けて業界として動くことは可能かと思う。
 ⑪配管所有権、撤去費用問題等をはっきりさせなければ、LPガス業界はこれで足を引っ
  張られ、(自由化の中で)電気・都市ガスにやられてしまうのではないかと心配してい
  る。
 ⑫自由化で値上げしたいという小規模都市ガスがある。垣根がなるのでLPガスにフォロ
  ーの風が吹いているとも言える。
 ⑬エネルギーの大競争時代にいかに選ばれるLPガスであるかということを真剣に考えな
  いと、これはもう先行きがないということである。
 ⑭世の中(の人々)はLPガスのことをあまりよく知らない。同時スタートの自由化でL
  Pガス業界は大丈夫なのだろうかと心配している。
 ⑮規模、価格、サービスあらゆるものを含めたビジネスモデルをLPガス業界として提案
  していけるかが、自由化の勝負の分かれ目となる。




 供給の安定性
 ①アメリカからのシェールガス(由来のLPガス)輸入は大変良いこと。価格の安定にも
  大きくつながっていくものと思う。
 ②LPガスは国備・民備も増えていっているので、安定供給、適正価格という面では安心
  できる状況になっている。
 ③事業継続は過疎地では厳しい状況だ。大変ではあろうが、業界として身近な(エネルギ
  ーの)安定供給という面から頑張ってもらいたい。

 価格問題
 ①適正価格とは何か。零細業者が生きていくための適正価格なのか、あるいは、消費者が
  要求する低価格が適正価格なのか。(立場で反対になってしまう)大変難しい問題であ
  る。
 ②家庭用と業務用の価格差がかなり大きい。消費者が納得できる説明が求められているの
  ではないか。
 ③料金については納得できるような説明をしているかどうかが問題で、LPガス事業者は
  一層の周知をしないと、エネルギー大競争時代に生き残れないと思う。
 ④売り手と買い手の大きな意識変化は、「価格の問題ですよ」あるいは、「撤去費用の問
  題ですよ」とかに止まらない、もっと違う考えが出てくるはずだ。
 ⑤都市ガスと電気はどれぐらいの金額かということが簡単に積算できるが、LPガスに関
  してはよく見えない点に問題がある。
 ⑥価格改定の通知についても様々な工夫が凝らされている例を見た。消費者の声を聞いて
  実行しているので、この点はいい方向だ。
 ⑦若い世代は公共料金という概念が消えている。生まれた時から、規制緩和・自由化が進
  行しており、競争の中で料金が決まるのが当たり前という概念が普通になってきている。
 ⑧(LPガスを一律同料金との意見に対して)灯油は「全部一律800円だ」というよう
  な話はできない……と同じで、LPガスでもそのような取り決めをすること自体が独禁
  法では違反となる。
 ⑨LPガス料金も電気料金のように公共料金だと感じている消費者が多いので、LPガス
  料金は自由競争で決まっているとの説明が(業界にとっては)いいのではないか。いわ
  ゆる自由化の先取りだ。





 災害対応と安全対応
 ①(LPガスのような)独立型で分散型の熱源は貴重なものであり、避難所等へのバルク
  供給システム設置については、引き続きしっかり対応してもらいたい。 
 ②LPガスは災害に強いエネルギーだと(今まで以上に)アピールすることができれば大
  変素晴らしいことである。
 ③炊出し訓練は良い試みだと思う。常に炊き出し訓練をやれば(災害対応として)常態化
  していけるのではないか。
 ④日本の場合、災害の際の「えげつないPR」はどうかという問題がある。どこまでなら
  許されるのかを念頭に置いて、その感触を確かめながら対応していく必要がある。
 ⑤雪害に対して注意が必要。雪が少ないところでも普段から注意しておく必要がある。
 ⑥平成23年、24年、25年と事故件数が多くなっている。ぜひ今後とも、行政側から
  の注視・監視を含めて対応してもらいたい。




10 懇談会の評価
 ①今回は昨年よりも意見交換が活発化し、協会の説明等も大変よくなっている。高く評価
  したい。
 ②約10年間この会に参加している。過去に比べ(資料、事業者から提案等々)進歩して
  いると今日は感じた。
 ③今回は懇談会の交流をとおして、互いによく学んで意見を言い合ったと感じた。さらに
  良い交流の場にしていただきたい。
 ④初めての出席者から非常に勉強になったという意見があった。その点、内容もあり非常
  によい懇談会であった。




 (事務局長/大森栄治)