LPGC WEB通信  Vol.14  2015.05.11発行 

仙台市で宮城県LPガス協会・青年部会総会で記念講演

 平成27年3月4日(水)宮城県仙台市にて宮城県LPガス協会第一回青年部会総会が開催
され、記念講演の招聘を受けました。「米国シェールガス革命のわが国のLPガス産業への影
響」をテーマとして、「LPガス講習会」を実施いたしました。
 昨年夏以降の原油価格の大幅下落、それに伴う海外LPガス取引価格の値下がりを背景に
「昨今の原油・LPガス情勢」ならびに「ガスシステム改革の動向」も講習会のテーマとして
取り上げました。

 講習の概要
INDEX
 1.LPガス業界の歴史、現状について
   ・昨今の原油・LPガス情勢について
   ・ガスシステム改革について
 2.LPガス需給状況について
 3.シェールについて
 4.米国シェールガスについて
 5.米国LPガス動向について
 6.他地域でのシェール開発の可能性
 7.その他

□開催日        平成27年3月4日(木)
□受講者        55名(LPガス販売事業者)
□開催場所       仙台市「KKRホテル仙台」
□東北地方6県の概況  全世帯数      3,644千世帯(平成26年度)
            LPガス世帯比率     約69%
            LPガス消費量   1,030千トン(平成25年度)
            LPガス協会会員数  3,391社


宮城県LPガス協会  小埜寺 宏 会長   ご挨拶


青年部会  真壁 賢二 会長   就任ご挨拶

「LPガス講習会」風景

 講習の内容

 
1.LPガス業界の現状/LPガス需給状況について



 ○青年部会の皆様は20代~40代の方々が中心で、将来の業界を担う二代目・三代目の社
  長に大きな期待が寄せられました。
 ○LPガスの導入期、普及期、黎明期、停滞期、近未来に分け、昭和31年ごろのLPガス
  市場が形成され始め、輸入が始まった経緯、エネルギー環境をおさらいしました。過去の
  LPガス調達の苦労、努力、また、安定供給基盤の確立の重要性について解説いたしまし
  た。供給ソースとして、中東依存度が高いことから、幾多の供給不安の経験(第一次、第
  二次オイルショック、LPGショック(1983年)第一次湾岸戦争(1991年))の
  出来事、対処等を披露しました。



 ○中東地政学的リスクの軽減を目的とした供給ソースの多様化の実現、サウジCPに対する
  けん制による調達価格の安定化を目的とした米国シェールLPガスの調達の重要性を説明
  しました。






 ○原油、LPガスの国際価格が下落している現状下、米国シェールオイル・シェールガスの
  生産増が市場への影響を与えているであろう事を説明いたしました。今、市場競争性は昨
  年夏の「期待」から6ヶ月後、「現実」になっている事を強調し、粛々とした、努力・継
  続が重要である事を力説いたしました。このようなことから、本テーマは非常にタイミン
  グが良かったと思います。
 ○また、原油下落によるシェールガス開発の一部中堅企業の撤退(WBHエネジーの米連邦
  破産法11条の適用申請(2015年1月4日付け))を含め、シェールガス開発事業の後
  退懸念の質問が出ましたが、非効率な生産業者が淘汰され、最も効率的な業者が生き残る
  であろうとの見解を披露し、シェール業界は、健全な形でこの危機を乗り越えるであろう
  ……との期待を述べました。




 


 
 ○現状認識として、日本のエネルギー政策見直しの概要にも触れ、ガスシステム改革の概
  要、ガス事業法改正のポイント整理を説明いたしました。ちょうど前日の3月3日(火)
  に「電気事業法等の一部を改正する等の法律案要綱」が閣議決定された事も伝えました。
 ○また、60年以上続いた電力・ガスの地域独占の時代が幕を閉じようとしており、202
  0年「送配電部門を分社化」、2022年「ガス導管部門を分社化」が改正案の柱です。
  10兆円規模の日本のエネルギー市場が開放されようとしているとの現状認識について説
  明いたしました。「優れた営業力を持つLPガス事業者には2.4兆円の家庭向け都市ガ
  ス市場に参入することが可能となり、大きなビジネスチャンス」とのメッセージを送りま
  した。


 2.シェールについて/米国シェールガスについて
 

 ○シェール(頁岩)の実物サンプル(JOGMECより借用)の写真を配布。
 ○シェールガスの生産・流通システム、また、在来型VS非在来型の違いについても説明い
  たしました。






 ○日本勢のプロジェクト、および、キャメロン、フリーポート、コープポイントの概要につ
  いても解説しました。
  LPガスの商品化はプロジェクト内容、契約に基づきますが、我が国の期待は大きいとい
  えましょう。
 
○米国シェールガスの生産拡大により、2020年には純輸出国に転じる見込みで、米国は
  純輸入国から大変化、革命が起きると言われています。


 
3.米国のLPガス動向について




 
 ○米国のシェールLPガスの生産・輸出は順調で、2014年も1,300万トンの輸出が
  見込まれています。内、日本勢は約100万トンの契約があり、2016年には200万
  トン越えの見込みです。
 ○その結果、中東依存比率を約20%軽減できる可能性があります。さらに、パナマ運河の
  拡張工事(2016年1~3月オペレーティング開始予定)により、輸送の効率化が図ら
  れ、従来の喜望峰回りより、航海日数が半減するものと期待されています。

 

 ○北米シェールLPガスの調達は粛々と進んでいます。日本勢7社がその役割を担ってい
  ます。大いに期待したいところです。




 
 ○供給ソースの多様化、中東比率の低減は2012年以降徐々に実行を上げてきています。
  2014年に関しましても、北米からの調達は100万㌧を超え、中東比率はプロパンで
  80%を下回る見通しです。

4.講習の結び
 
○供給基盤の確立・実行(供給ソースの多様化、中東地政学的リスクの分散)
 ○サウジCPへのけん制強化、市場メカニズムの導入促進
 これらが現実化すれば、わが国LPガス産業への好影響が期待できます。



 受講者からのご意見・ご感想等

 1. アンケート結果について

  ①満足度
       十分満足             26名
       どちらかと言えば満足       12名
       どちらかと言えば満足できなかった  2名
       満足できなかった          0名
                      計 40名
       「十分満足」「どちらかと言えば満足」の割合は95%(38名/40名)で、
       合格点はいただけたのではないかと思います。
  
  ②自由意見
       ○LPガス業界の需給を中心とした変遷が体系的に理解できました。
       ○シェールガスの仕組みが解り易かった。
       ○最近の原油、LPガス情勢が理解できた。
       ○米国シェールLPガスの日本の流通段階への寄与を大いに期待したい。

 2.受講者の使用エネルギーと年齢構成
       LPガス        36名
       都市ガス         4名
       オール電化        0名
                 計 40名

       20代          4名
       30代         11名
       40代          9名
       50代          6名
       60代          7名
       70代以上        3名
                 計 40名

 
3.関心のあるテーマ
       ・需給動向       19名
       ・価格動向       28名
       ・料金内容       11名
       ・販売店の切替     16名
       ・災害時(非常時)対応  6名
 (広報室/酒井賢二)