LPGC WEB通信  Vol.13  2015.04.10発行 

第20回中国LPGカンファレンス開催
 2015年3月19~20日、中国・杭州市において、広東油気商会の主催による第20
回中国LPGカンファレンスが開催されました。約160名の参加があり、米国のLPG増
産、輸出拡大、そして日本における米国産LPGの取り組み、さらには中国国内市場、とり
わけPDH原料としての影響など、多くのテーマに関心が集まりました。
 また、今後、PDH(Propane De Hydrogenation)プラントの立ち上がりが続く中国市
場の国際市場への影響は少なくない……等々の指摘もあり、活発な意見交換がなされました。

 日本からは、コスモ総研の中村氏、RIMの高橋氏、荒畑(筆者)がそれぞれ、
 ①米国のシェール革命とアジアLPG需給バランスに対するインパクト
 ②日本のLPG市場について…その価格
 ③米国LPG輸出と日本へのLPG輸入の影響
についてプレゼンテーションを行いました。

 なお、歓迎の挨拶の後、表彰式が行われ、中国のLPGの発展に寄与した約30名の方々
の表彰式も催されました。  




 プログラム


 3月19日…1日目のプレゼンテーション
(1) 歓迎挨拶

    Wu Qingbiao 氏 広東油気商会 会長
     過去20年の中国のLPG産業の歩みと家庭業務用、窯業、アルミなどの工業
    用を始め様々な分野でLPGが使われているとの概略説明がありました。上海、
    香港、広東などでは自動車用として、また、最近はPDH原料としてプロパン需
    要が高まっており、第二のLPG輸入ブームの到来と言えるとのことです。20
    14年は前年比1.7倍の710万トンになり、国内生産は26百万トンを超え
    たとのことです。
     最後にこの会議が次の20年に向けてよい会議になる事を望むと締めくくりま
    した。

(2) 祝辞

 

(3) 新たなオイルショック後の世界のLPG市場の展望
 
講演するYanyu He 氏(IHSエナジー)

(4) 米国のNGL市場とLPG輸出の見通し
 Phillips 66の B.Briggs氏よりプレゼンテーションがありました。
 NGL生産はここ10年間程で70%以上増加したことに加えて、Phillips 66 が取り組む
プロジェクトについて簡単な説明がありました。
 Sweeny One(100MBPD)は2015年下期、Freeport LPG輸出基地(150M
BPD)は2016年下期に完成し、本格的に輸出を開始するとの観測がなされました。

 

(5) 米国のLPG輸出と日本への輸入の影響
 

(6) 米国における発展するLPGの化学原料としての役割
 
 Facts Global Energy のO.H. Wee氏より、「米国における発展するLPGの化学原料とし
ての役割」と題してプレゼンテーションがありました。
①米国の石化産業は年率3~4%伸びていること
②シェール開発が安い化学原料を提供していること
③そして米国以外の化学会社も安い原料を求め工場建設の動きがあること
④また、国内需要を満たした上で、南米を中心に輸出も視野に入れていること
など、LPGの化学原料としての役割について、多方面にわたる講演がなされました。
 参加者の知見を広めていたようです。


(7) 中国におけるPDH熱波
「中国におけるPDH熱波」(PDH Heat Waves in China)のタイトルでZheijian Shaoxing
Petrochemical Co., Ltd の Y.Yilei氏より講演がありました。

 
 

(8) 国際LPG船市場の発展の傾向


(9) プロパン脱水素とクラッキングの対比
 Contrastive Analysis of Propane Dehydrogenation & CrackingのタイトルでCNOO
C Refining & Chemical Huizhou Companyの G.Baolin氏よりプレゼンテーションがあ
り、第1日目を終えました。


 3月20日…2日目のプレゼンテーション
(10)米国のシェール革命とアジアLPG需給バランスに対する
インパクト

  
 

(11)世界のLPG市場の開発について
 英語題名Global LPG Market DevelopmentのタイトルでC.C.Poh氏(Eastport Global
Pte Ltd)が世界のLPG貿易、LPG船の市場などについての講演を行いました。
 2015~2016年とVLGCの新造船が市場に出てくるため、船腹は2014年→
2015年→2016年とおのおの前年対比で19.5%、18.8%と拡大していく……
との説明がありました。


 

(12)アジアのLPG価格の動向とその見通し
 
 Argus Media のM.Li氏からは「アジアのLPG価格の動向とその見通し」についてのプレ
ゼンテーションがありました。
 原油価格がプロパン極東市場(FEI)の値動きに大きな要素となっていること、201
4年は特に、原油価格との値差(Spread)が第四四半期では拡大したが、概ね安定していた
こと、2013年までは第四四半期でFEIが上がっていたが2014年は逆に下がったこ
となどスライドを使った分かり易い説明がありました。その主要ポイントは、
 ①中国は2014年4月以降、輸入は急増し、月間65~70万トン程度まで増加し、米
  国や西アフリカ産LPGの増加が目立ったようだ。
 ②安価な米国産LPGが欧州に流れ、西アフリカ産LPGが行き場を失い極東、中国に流
  れたと見えること、また、中国のPDHプラントのホームグラウンドである中国東部は
  昨年253万トンのプロパンを輸入していること、これは、前年より78%増加である。
 ③その他、2015年の話題として、
  1) Phillips 66のFreeport 輸出基地が2016年第3四半期頃完成する。
  2)新造VLGCが2015年33隻、2016年46隻の引き渡しが行われ、現状の1
   65隻に対し48%増となり、VLGCのフリートは大幅に拡大する。
  3)パナマ運河の完成まで現行パナマ運河を通過できるVLGC船4隻は大きな利益を上
   げている。
  4)インドでは2014年は前年に比べて100万トン輸入が増加したが、すべて中東玉
   である。また、中国の輸入の40~50%はイラン玉である。
  5)タイ、インドネシア、台湾は輸入を拡大し続ける。
 などの、濃密な内容の説明がなされました。

(13)中国のLPG需給状況の現状と展望
 

 (14)太平洋地域での裁定取引とその価格
 
 「太平洋を地域での裁定取引とその価格」(Transpacific Arbitrage and its Price Trend)
の演題でJ. Chung氏(OPIS)がプレゼンテーションを行いました。


(15)日本のLPG市場について…その価格


(16) 中国のLPG基地の現況と将来の見通し


 PDHプラント見学
 昼食後、Sanyuan Petrochemical(浙江三圆石化)のPDH(Propane De
Hydrogenation)プラント見学に参加いたしました。約1時間バスでの移動後に現地(浙江
省・紹興市)につきました。プラントの規模は45万トン/年の生産能力です。
 私自身、原料受入は大型船による本船受入れであると思い、工場は港の近くにあると想像
していました。しかし、プロパンの受入れは高圧・陸上受入れということを知り、驚いた次
第です。毎日100台のローリーで搬入するということですが、さすが中国の感がいたしま
した。

(調査研究部/荒畑誠)