LPGC WEB通信  Vol.9  2014.12.10発行 

第27回WLPGAフォーラム報告 part.1

 平成26年10月27日~30日にマイアミで開催されました、第27回WLPGAフォー
ラムに当センター松澤理事長と共に参加いたしました。今月号と来月号で概要をご報告いたし
たいと思います。


 フォーラム参加概要
(1)期 間  平成26年10月27日(日)~10月30日(金)
(2)場 所  米国・マイアミ インターコンチネンタル・ホテル・マイアミ 
(3)目 的  
   経済産業省の補助事業である石油ガス国際交流事業・事後対話事業の一環として、世界
  のLPガス情勢に関する情報を収集し、合せて当センター主催の「LPガス国際セミナー
  2015」(2015年3月5日~6日開催予定)の招聘活動を行ってきました。
   当センターからは、松澤理事長と岩田(調査研究部)の2名が参加いたしました。
(4)各国からの参加者、その他の参加者
   米国を中心に、アジア・大洋州、欧州、中東、アフリカ諸国等から88カ国の参加があ
  り(デリゲーション・リスト)、フォーラムへの参加者は約2000名とのことです。国
  別参加者は以下のとおりです。
  ①米国    661名
  ②インド   132名
  ③ブラジル   77名
  ④日本     73名
  ⑤ナイジェリア 52名
   日本はトップ4ということで、WLPGAからも感謝の言葉がありました。また、フォ
  ーラムに併設された展示会場には97ブースが揃い、日本からは、伊藤(I・T・O)グル
  ープ、新コスモス電機、ヤンマーの3社が出展いたしました。



会場となったインターコンチネンタル・ホテル・マイアミ

 理事会・総会と新体制
 10月27日の理事会で決議された松澤理事長以下3人の方がその後に催された総会におい
て新理事として全会一致で承認されました。
 理事会に続いて総会が開催されました。議事は2013年ロンドン総会の議事録承認、理事
長、財務担当役員およびGEO兼専務理事からの各報告、そして決算報告と続き、会費の3%
エスカレーションも含めて、全ての議事が全会一致で承認されました。
 また、次回以降のフォーラムは、
  2015年9月28日~10月 2日 シンガポール
  2016年9月25日~ 9月29日 イスタンブール
で開催することも決議いたしました。



総会風景

11名の理事からなる新体制


        キンボール・チェンWLPGA理事長     ジェームズ・ロックオールWLPGA・CEO
          と握手する松澤新理事               と握手する松澤新理事

 フォーラム
 今回のフォーラムのテーマ
   The Future Starts Now.(未来はここから始まる)

1.10月28日「VIPオープニング」

  開会     ジェームズ・ロッコール  WLPGA・CEO
  歓迎挨拶   ジョナサン・ベンチモル  イベロアメリカLPG協会
  主催者挨拶  キンボール・チェン    WLPGA理事長
  基調講演   ロザネッティ・バリロス  米国エネルギー省

2.10月28日「円卓会議―ギャップを意識せよ」

=写真、左から順に=
①ウォルト・ハート(IHS、米国)
 演題「需給ギャップを算定する」
 世界のLPG供給は2020年には3.2億トンに達する。しかし中東地域に不確定要素が
 見られる。石化原料として基本需要が79%、価格次第が21%で、価格次第石化需要ギャ
 ップは14~17百万トンになる。
②ジョン・ウォルシュ(UGIコーポレーション、米国)
 UGIは販売搬送会社で「ギャップは気にしていない。前向きに考えている。」顧客へ届け
 るインフラに極めて大きなニーズがある。
③ジョナサン・ベンチモル(AIGLP、ブラジル)
 南米では過剰供給は歓迎である。しかし容器の所有権と需要への必要性を強調した。資産が
 保護されなければ投資をしようとする会社はないからだ。需要喚起とLPGが「選ばれる燃
 料」にする国の政策の策定が重要である。
④司会者 ジョン・キングストン(プラッツ・エナジー・ウィーク、英国)
 基調として、持続する世界のLPGの需給ギャップが問題提起されました。
⑤アデバヨ・イビログバ(ナイジェリア国営石油、ナイジェリア)
 Cooking for life gap(生命のための調理格差)がある。WLPGAのプロジェクトで10
 億人が伝統的な燃料からLPGへ切り替えた。人口動態は巨大都市の絶え間ない増加で需要
 増に拍車をかけている。
⑥フィル・ショウ(アーガス・メディア、英国)
 フレアで燃やすのは大きな問題である。LPGが「愛されない製品」であることも。課題は
 世界が過剰生産をいかに活用するかだ。業界はエタンにも目を向けるべきだ。
⑦アブヘイ・ナト・ジャ(IOC、インド)
 インドのLPGは1955年から始まり、現在需要16百万トン年6%の伸率。しかしVL
 GCが着桟できる港は6つしかなく、それも改善せねばならない。インドの最大の課題は補
 助金付LPG需要の管理である。

 3.10月28日「基調講演―ホセ・アンドレス シェフ」
 高名なシェフは少数の恵まれた者のために料理を提供するが、私はいま恵まれない多数に主
に料理を提供する。NGOワールド・セントラル・キッチンはハイチで学校の給食用燃料をバイ
オマスからLPGに切り替えた。クリーンな燃料と調理は学生(家族も)の生活を一変させハ
イチに明るい未来を約束する。
 LPGはこの触媒である。
 業界人に向かって、「あなた方は正しいビジネスをされている。よりより暮らしに変えるこ
とのできる30億人の新規顧客が待っています」とのメッセージが届けられました。
 ※ホセ・アンドレス シェフ:シンク・フード・グループのオーナーであり、ワールド・セントラル・キッチンの創始
  者でもある。



握手するホセ・アンドレス シェフとWLPGAのチェン理事長
WLPGAとワールド・セントラル・キッチンのグッド・プラクティス・ガイドライン調印の場面
(バイオマスからLPGに転換させる協同事業)


4.10月28日「セッション1―使わないと損をする」
=写真、左から順に=
①司会者 ロイ・ウィリス(PERC、米国)
②アンドリュー・フォード(SHVエナジー、オランダ)
 「エクセプショナル・エナジー・イン・アクション:LPGアプリケーション・データベース」
  待望久しいLPGアプリケーションのデータベースとウェブサイトの立ち上げである。エ
  ネルギーと情熱に満ちた興奮の瞬間であり、新しいウェブサイト作成に向けての一里塚。
  またLPGアプリケーションについて知りたいことが何でも揃う総合ショップである。
③タッカー・パーキンス(PERC、米国)
 「プロパン灌漑用エンジンと芝刈り機-開発と将来」
  LPGの全ての長所と昇降機から芝刈り機、灌漑用エンジンまで広範な機器用プロパン切
  り替えの説得力のある事例。偉大な技術は十分でないことが多い。
  明らかに超越していなければならない。LPGで駆動するエンジンの最近の事例と同様
  に。
④ラリー・オズグッド(コンサルティング・ソリューションズLLC、米国)
 「大型発電機のLPG利用」
  大規模発電用LPG利用がテーマ。9割がCHPである。
⑤ベルナルド・ハーツァー(船長、米国) 
 「プロパン-船用燃料」
  プロパン駆動船外機に代えるメリットを説明。
⑥ジョルジオ・バサグリア(カバニャ・グループ、イタリア)
 「LPGアプリケーションを生活用に」
  カヴァニャLPG駆動のグリーンギア製品を紹介。製品が業界や顧客にもたらす機会を
  強調した。


5.10月28日「セッション2―よりよく行え」
=写真、左から順に=
①司会者 ブレイズ・エジャ(オリックス・エナジーズ、スイス)
 LPG業界が「よりよく行う」ためには革新が必要である。 
②セドリック・モレル(センシル・テクノロジーズ、スイス) 
 「革新的通信技術で効率的解決」
  バルク配送に関係する革新的通信技術による効率のいい問題解決。同社の目的は顧客をス
  マートにすること。大粒の雨大にテレメトリーシステムが基礎の技術、効率のいい配送ル
  ート計画とロジ費用低廉化。
③リカルド・トニエット(スーパーガスブラス、ブラジル)
 「ブラジルの容器再生:過去の成功を基に」
  ブラジルの容器改良の同社実績を紹介。13kg容器のスクラップ割合がスマート認識シ
  ステムによって減ったQualivalケースを説明。
④クリスチャン・フレドバーグ(コーサン・クリスプラント、デンマーク)
 「自動容器充填プロセスによる人的エラー除去」
  オートメーョンによる人的エラーの除去による細かい改良が業務を改善することになる。
 「よりよくする方法があるなら、見つけよ」
⑤バーバラ・メイサン(EID、米国)
 「周波数認識(RFID)容器追跡で収益向上」
  容器追跡のRFID(周波数同調)技術の紹介。240の応答装置が供給されてきた。装
  置は米粒大の大きさである。
⑥ ロバート・バッティ(シリコン・コントロールズ、オーストラリア)
 「配送費を半減させる5段階」
  Gaslog技術による配送コストの半減化。460万回の配送からデータ集計した。トラック
  が停止するたびに40ドル(5000円)費用が発生する。これにより大幅コスト低減の
  プロセスをまとめた。


1日目フォーラム会場風景

以上で前半部分(part.1)の報告を終えます。なお、後半部分は1月号に掲載いたします。
(調査研究部/岩田 稔)