LPGC WEB通信  Vol.8  2014.11.10発行 

What WLPGA ?

 WLPGA(World LP Gas Association:世界LPガス協会)について業界の大半の方は、
報道や業界ニュースあるいは国際会議等でご存じだと思います。しかし、その沿革や組織、活
動などは意外と知られていないのではないでしょうか。ちょうど先月はマイアミにおいてWL
PGAフォーラムが開催されました。
 今月号は「What WLPGA ?」と題して、概要をご紹介いたしたいと思います。
 なお、WLPGAフォーラム・マイアミ大会の報告はWEB通信12月号、1月号の2回に
分けて掲載する予定です。

Ⅰ  WLPGAの沿革
1.WLPGAの前身、WLPGF(世界LPガスフォーラム)の誕生

 1982年10月アイルランド・ダブリンにおいて「1980~1990年の欧州LPG事
情シンポジウム」が開催されました。この時、日本からは郷裕弘氏(旧 ブリヂストン液化ガ
ス・常務)が参画いたしました。同シンポジウムの主催は、国連欧州経済委員会です。
 1985年10月にはスペイン・マドリードにおいて「1985~2000年の欧州LPG
事情シンポジウム」が欧州LPガス連合主催、国連欧州経済委員会後援で開催されました。
このシンポジウムにおいて、WLPGF(World LP Gas Forum:世界LPガスフォーラム)
を結成することで意見が一致し、2年後の1987年6月に結成されました。

【WLPGFの目的】
 ○世界LPG産業の継続的発展を促進
 ○国際会議、展示会等の実施
 ○教育および情報交換のためのセミナーの開催
 ○情報の収集・伝達

 このWLPGFには、日本側の下記3団体が加盟いたしました。
 1987年  全国エルピーガススタンド協会(現全国LPガス協会)
 1988年  日本LPガス協会
 1990年  エルピーガス振興センター

2.WLPGA(世界LPガス協会)の設立
 WLPGFは1996年、WLPGA(World LP Gas Association)と名称を変更し、今日
に至っています(本部:フランス・パリ)。
 1998年に同組織はフランスの税制に準拠するために、WLPGAが100%支配する有
限会社World LP Gas Association SARLを設立しました。
WLPGAはフランスの法律上、NPO(Nonprofit Organization)であることから、毎年開
催するフォーラムや出版物販売などをSARLが担当しています。


Ⅱ  WLPGAの概要
1.ビジョンとキーワード 

 WLPGAは権威ある世界のLPガス業界の代弁者として、「LPガスの利用を促進させ、
よりクリーンで健康的な豊かな世界を発展させること」をビジョンとしています。
 また、キーワードとしては「気候変動」「天然ガス拡大」「エネルギー高価格」「LPガス
価格乱高下」「政府規制」「技術開発・革新」「業界標準・規制と優良ビジネス慣行」の7項目
を掲げています。

2.ミッション
 2008年9月に5項目のミッションが策定されました。
 (1) 低炭素社会へのクリーンなエネルギーとしてのLPガスの利点・位置を実証する。
 (2) LPガス市場発展・維持の環境を創造する。
 (3) 革新を発見し、促進する。
 (4) 健康・安全・環境に関する標準と優良ビジネス慣行の遵守を促進する。
 (5) 全ての関係者間のコミュニケーションを促し、後押しをする。

3.メンバー
 2014年9月現在、世界58ヵ国の217の企業・団体が会員として加盟しており、その
活動域は世界100ヵ国以上に及んでいます。会員の構成は多岐にわたっており、
 ○協会・団体、調査研究機関等
 ○産ガス国の生産者、販売企業(消費国の元売・卸・小売・オートガス等)、輸送会社等
 ○機器メーカー(供給機器・消費機器、充填設備等)等
 ○エンジニアリング会社、自動車改造会社等
 ○コンサルタント、情報企業等
などとなっています。




4.国際的な位置づけ
(1)国際連合(UN)の社会・経済評議会のLPガスに関する諮問機関として承認されてい
   ます。
(2)国際海事機構(IMO)および国際ガス連盟(IGU)と密接な協力関係を有すると共
   に、国際化標準機構(ISO)にLPガスおよび関連機器・装置の規格について、助言
   ・提案する機関となっています。
(3)世界銀行による発展途上国へのLPガス関連の援助について、助言する機関になってい
   ます。
(4)HNS(有害危険物質による海洋汚染)問題を扱うIOPCF(国際油濁補償基金、本
   部:英国・ロンドン)における世界のLPガス業界を代表する国際機関として、オブザ
   ーバーとなっています。
   HNS:Hazardous and Noxious Substances
   IOPCF:The International Oil Pollution Compensation Funds

5.日本の会員と位置づけ等
(1)日本の会員数は15企業・団体であり(2014年9月現在)、会員数では米国に次ぐ
   主要メンバー国です。日本の団体会員としては、日本LPガス協会、高圧ガス保安協
   会、エルピーガス振興センターなどがあり、また、企業も12社が会員となっていま
   す。
(2)エルピーガス振興センター・理事長は、WLPGAにおいて世界を代表する理事の一人
   として任命されています(マイアミ大会で理事は11名になりました)。今回のマイア
   ミ大会においては、エルピーガス振興センターの松澤理事長(ENEOSグローブ・社
   長)がWLPGA理事に就任いたしました。
(3)WLPGAの方向性などの需要な事項を検討する審議会(Industry Council)のメンバ
   ーとして日本も参加しています。
(4)WLPGAのHNS関連活動において、日本は継続的にサポートしています。


Ⅲ  WLPGAの組織と活動
1.組織・総会・理事会等

(1)総会は年1回開催されます。今年はマイアミで開催されました。ちなみに、昨年は英国
  ・ロンドンで開催され、英国王室のアン王女がご挨拶されるなど、格調の高い会議です。
  また、理事会(Board of Director Meeting)は年3回程度開催され、その内1回は総会
  に合せて開催しています。
(2)審議会(Industry Council)は、WLPGAの戦略の方向付けを審議する重要な会議で
  す。
(3)活動テーマとして「オートガス部会」「技術部会」「気候変動部会」のほか、油濁補償
  基金、有害危険物質(HNS)による海洋汚濁……などLPガスに関係の深いテーマを扱
  っています。




アン王女のお写真(WLPGAフォーラムの撮影ではありません)

(4)世界のLPガス統計の発行


 
2.WLPGA最大のイベント…フォーラム
 WLPGA最大のイベントが総会と共に開催されるフォーラムです。1988年に第1回が
米国・サンフランシスコで開催され、2014年の今回のマイアミ大会は第27回となりま
す。
 フォーラムは、原則、南北アメリカ地域 → 欧州アフリカ地域 → アジア大洋州地域の順で開
催されており、最大の開催回数を誇るのはLPガス産業発祥の地米国で、4回開催されていま
す。日本は1993年に幕張で開催いたしました。
 参考までに過去の開催地を下表に示しました。
 なお、来年はシンガポールで開催される予定です。

マイアミ大会・会場近くのリゾートホテル群


マイアミ市内


3.WLPGA新体制
 10月27日WLPGAマイアミ大会における理事会でCEOジェームズ・ロッコールから
理事人事に関する動議が出され決議された後、総会において満場一致で承認され、11名の新
体制となりました。



マイアミ大会・総会風景

新体制(11名)
 理事長   キンボール・チェン(アメリカ)
       エネルギー・トランスポーテーション・グループ 会長
 財務役員  グリーンバーグ(アメリカ)
       UGIグループ 取締役会会長
 筆頭副   ヤギズ・エユボグル(トルコ)
  理事長  アイガス 最高経営責任者(CEO)
 副理事長  アンダース・アンダーソン(デンマーク)
       コーサンクリスプラント 最高経営責任者(CEO)
 副理事長  アデバヨ・イビログバ(ナイジェリア)
       ナイジェリア国営石油 グループ経営執行管理者
       エンジニアリング・テクノロジー
 副理事長  ケン・ウィルソン(オランダ)
       SHVエネルギー 最高経営責任者(CEO)
 理 事   ハヌング・ブディヤ(インドネシア)
       プルタミナ ダイレクター マーケティング・トレーディング
 理 事   ペドロ・ホルへ(ブラジル)
       ウルトラガス 専務 
 新理事   ジャェ・フーン・リー(韓国)
       SKガス 最高執行責任者(COO)
       SKアドバンスト 最高経営責任者(CEO)
 新理事   アサフ・ササオグル(フランス)
       トタールガス 副社長 LPG部門
 新理事   松澤純(日本)
       エルピーガス振興センター 理事長


総会後、キンポール・チェン理事長と語らう松澤新理事(左)
 なお、マイアミ大会の報告はWEB通信12月号、1月号の2回に分けて掲載する予定です。

(調査研究部/岩田)