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レポート
本年2月より、LPガス業界において、LPガス事業者代表、消費者、
学識経験者からなる「LPガス料金問題検討会」が開催されていましたが、
今般、最終報告書がまとまりました。ついてはここに要旨及び全文を掲載致します。
LPガス料金問題検討会 −最終報告要旨−
平成12年7月
(注:下線が引いてある部分は、中間報告からの主な修正・追加部分)
1.趣旨
 本検討会は、LPガス料金透明化・取引適正化に向けた販売事業者の取組みの促進及びLPガス料金に対する消費者の理解の増進を目的として検討を行ってきた。
 本検討会においては、(1)一般家庭用に小売販売されるLPガスの料金のあり方についての基本的考え方の整理、(2)LPガス料金をめぐり指摘がなされる個別論点についての分析、(3)料金透明化に向け取り組むべき課題についての検討を行い、去る4月に中間報告としてとりまとめた。その後、関係方面から求めた意見を踏まえ、今般、最終報告書としてとりまとめたところである。
 今後は、本報告書の提言内容について、関係者による積極的な取り組みが行われることを期待するとともに、その実施状況の把握にも努めることとしたい。
2.LPガス料金に関する基本的考え方
(1)自由料金であるLPガス料金
 LPガスについては、自由競争の下で市場原理に価格決定を委ねることにより、最適な価格水準が実現できるという考え方から、料金に関する法的な規制は課されず、販売事業者各々の経営方針に基づき自由に設定された料金による販売が行われている。

(2)LPガス販売事業の公共性
 一方、LPガス販売事業は、2500万世帯の生活エネルギーを安定供給するという経済的社会的使命を担っており、「日常生活に不可欠な財・サービスを提供する」という意味で、それを使用する消費者にとって公共性が高いと考えられる。

(3)LPガス市場における競争の評価(その1:LPガス取引における構造的な特徴)
(1)  家庭用LPガス取引においては、メーターによる体積販売及び保安規制との関係等から長期継続的な取引関係が形成されやすくなり、こうした取引構造の下、他の販売事業者の顧客を獲得するための価格競争は行われない場合が多く、料金の透明性も確保する動機が働かなかった。
(2)  消費者は、LPガス料金を一種の公共料金であると思っていることが多く、また、自由に販売事業者を選択できるということを知らない場合が多い。
(3)  LPガス販売事業者の中には、価格競争が活性化し、継続的取引ができなくなると、供給設備に対する投資を回収できなくなること等から、情報開示に消極的な販売事業者も多い。
(4)  また、都市部以外の需要家数が少ない地域においては、販売事業者の数自体も少なく競争相手が少ないことから、競争原理が働きにくくなっている場合もある。

(4)LPガス市場における競争の評価(その2:各種報告書等における指摘)
(1)  料金体系の不透明性の問題については、昨年6月の公正取引委員会報告書(「LPガス販売業における取引慣行等に関する実態調査報告書」)において指摘されているほか、規制改革委員会も、昨年7月の「規制改革に関する論点公開」において指摘を行っている。
(2)  顧客移動の制限をもたらす取引慣行の存在についても、昨年6月の公正取引委員会報告書において指摘されているほか、アクションプランに係るヒアリング調査等でも、販売事業者が情報公開に消極的であることとともに、他の販売店の顧客を獲得することはしないという考えを持つ販売事業者も少なくないことがうかがわれた。

(5)LPガス市場における競争の評価(その3:最近における競争促進の状況と問題点)
 ここ数年の間に、首都圏を中心に、LPガス販売事業者間における顧客獲得(顧客切り替え)競争が激化している。また、公益事業の規制緩和が進む中、エネルギー間競争も高まりを見せており、LPガスにおける競争も促進の方向にある。
3.LPガス料金について指摘される個別論点
 LPガス料金をめぐり指摘される個別事項や消費者からの苦情としては、以下の項目が挙げられる。なお、実際には、消費者の信頼を確保し、価格競争力を高める観点から、料金透明化に向け積極的に対応している販売事業者が増えていることも事実である。
(1) 販売事業者から消費者に対し、料金情報について十分な提供がなされていない(料金表さえ配付されないという苦情も少なくない)。
(2) 料金設定や料金変更について販売事業者に問い合わせても合理的な説明がない。
(3) 需要家間、地域間でLPガス料金に格差があり、その格差について合理的な理由がない。
(4) 消費設備の費用負担が明確でなく、これが不透明な料金体系になっている一因ではないかと考えられる。
(5) LPガス料金水準が都市ガスと比べ高いという消費者の声が多い。
(6) 小売価格は下方硬直的であると言われる。
(7) 小売価格に占める原料の輸入価格の割合が1割に過ぎず、流通コストがかかり過ぎている。
4.LPガス料金透明化に向けての提案
(1)料金情報提供のあり方
(1)  販売事業者毎に店頭に料金表を備え、消費者に対し料金体系及び価格について説明できるようにしておく。
(2)  料金情報を消費者に定期的に提供する。
(3)  特に料金の構成内容について、基本料金、従量料金を区分して示すなどして、わかりやすく請求書・領収書等にて説明する。
(4)  定期的に料金水準を見直し、料金改定の必要性について検討するとともに、料金改定の際には、消費者に対し改定理由についても十分な説明を行うよう努める。

(2)消費設備コストの位置付け・契約の明確化
(1)  消費設備については、贈与以外の場合には、配管施工時に当該消費者に対して適正なコストを請求することが望ましい。
(2)  配管以外のガス器具などの消費設備についても、消費者とのトラブルが起こらないよう所有権や業者を変更する際の費用負担のあり方について明確にするなど適切な契約内容とすることが重要である。

(3)三部料金制等の採用
(1)  LPガス料金の透明性向上のためにも、二部料金制だけでは十分対応できない場合には、三部料金制や複数料金制の採用を考える必要がある。
(2)  都市ガスや電力において導入されている原料費調整制度と同様の料金見直しの仕組みについて、LPガス販売事業者においても検討することは、LPガス価格の下方硬直性の是正や料金の透明性向上等のためにも有益であると考えられる。

(4)需要構造に合わせた料金体系の研究
 LPガスの需要構造(使用量、使用用途等)にあわせた複数の料金表を設けて消費者に選択させる方式について、販売事業者が研究を行う。

(5)原価計算実施の検討
(1)  料金体系について合理的な説明を行うという観点からは、可能な販売事業者においては、原価計算を実施することも一案である。
(2)  業界団体において、引き続き中小販売事業者等に対して、原価計算の手法等について講習等を行っていくことは有益である。

(6)LPガス料金に対する消費者意識の向上
 今後、LPガス料金の透明性の向上や情報公開の促進のためには、販売事業者の取組みに加え、消費者自身によるチェックが行われることが必要不可欠である。

(7)LPガス料金の情報提供に関する行政等の取組み
 LPガスに関する一般向けの情報提供として、以下のような取組みを更に充実させていく。
(1)  石油情報センターによる全国LPガス小売価格調査の実施及び取引適正化等に係るパンフレットの発行・配布
(2)  都道府県及び市町村の生活情報誌を活用したLPガスの取引に係る情報の提供
(3)  消費者・販売事業者・行政による懇談会や消費者等を対象とした講習会等を通じた消費者・事業者間の対話の促進
(4)  日本LPガス協会、(財)エルピーガス振興センターのホームページにおける、LPガスの輸入価格動向等LPガスの情報提供
5.終わりに
 本報告書における提言が多くのLPガス販売事業者によって実行に移されることを強く望む。本報告書がLPガス産業に対する消費者からの信頼確保の一助となれば幸いである。
 特に、各地域のリーダー的企業である大手・中堅の販売事業者においては、本報告書に基づく具体的な改善措置を明確化するよう要請したい。そして、このような動きがLPガス業界全体に波及することを強く期待する。
 なお、LPガス販売事業者においては、流通コスト削減の必要性及び契約の重要性について、十分認識することが必要であることを、最後に付言したい。

 
LPガス料金問題検討会委員名簿
委員長 石井 晴夫 作新学院大学大学院経営学研究科教授
委員 浅野 泰司 出光興産(株)ホームエネルギー部部長付
菊池 鴻逸 神奈川県エルピーガス協会会長
木村 紀武 前 シナネン(株)常務取締役
現 日高都市ガス?代表取締役社長
重松 公夫 岩谷産業(株)エネルギー・生活事業グループ事業統轄役員補佐
堰本 信子 和歌山県婦人団体連絡協議会副会長
高木 純子 土浦暮らしの会会長
高須 國廣 兵庫県プロパンガス協会会長
竹越 健二 竹越法律事務所 弁護士
兵頭 美代子 主婦連合会参与
宮川 淡 日本石油ガス(株)経営企画委員会事務局長
宮沢 方子 コーペル会長
村田 恵美子 神奈川県消費者の会連絡会代表幹事



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