エルピーガス振興センターリポート
第4号 September 1999
エルピーガス振興センターに期待される役割とは
−中原晟介新理事長に聞いてみました−
既にご案内の通り、去る6月11日のエルピーガス振興センター理事会において、末木前理事長の後を受け、中原晟介新理事長(コスモ石油ガス:代表取締役社長、日本LPガス協会:副会長)が選任されました。
新理事長の就任挨拶については、6月30日に行われたプレス懇談会の席上でお話させていただいておりますので*1、皆様もこの内容については既に業界誌等でご覧いただいているものと思います。新理事長挨拶の概要*1『この数年間、国を挙げて自由化・規制緩和が進められ世の中のいろいろな仕組みが大きく変化しています。経済界にあっては業種・業態の垣根が規制撤廃とともに益々低くなり、垣根の外側の動向がよく分からなければ方針を誤りかねない状況になってきています。自分の業界・企業内の旧来の見方しかできないでいると、まわりの変化に取り残されます。
LPガスは3年と経験が浅く申し訳ございませんが、多少外側の視点が残っている分、こんな時に業界発展のためにお役に立てればと思っております。
この2年間、振興センターを外から見てきて、今以上に存在感を出せれば良いなと思いました。存在感を出すためには、方法論的にいえば広報・PRの仕方を工夫することでもありますが、本来、設立の目的である業界の活性化や振興のためより一層努力し、業界関係者や消費者が「こんな身近なこともやっているのか」と言われるような活動ができればいいなと思います。
そこで関係者の皆様から、どの様なお手伝いができるかご意見・ご要望を頂戴し、事業を進めていきたいと考えております。』
業界関係者の皆様は、こんなご意見・ご要望をお持ちです |
ところで、エルピーガス振興センターではLPガス業界の事業活性化に係る調査や技術開発を進めて参りましたが、アンケート調査等のなかで、業界関係者の皆様から当センターに対して以下のようなご意見や要望事項を頂いております。その一部を紹介しますと・・・・
調査研究の目的は調査データの分析にあるのではなく、具体的にどう動くかを明示するものが望ましい
技術開発や調査は業界においてすぐに活用できるものに特化して欲しい
消費段階に踏み込んだベースで、あるべき価格体系をシミュレーションしてみてはどうか
LPガス産業の在り方を各分野別に調査研究し、法改正を含めその調査研究成果をいかに実現するか、その努力を期待したい
LPガス業界は、ある意味で非近代的であったり硬直化している面を持っているが、エネルギー産業での確固たる地位確立のためにも振興センターの強い指導力やリーダシップが必要だ
就任以来2か月が経過して |
そこで、就任以来2か月が経過した今、理事長はこれらの意見や要望に対してどのように考えているか聞いてみました。
『関係各位の方々からのご意見、ご要望を集約いたしますと最終的には、次の二点に絞られるかと思われます。
まず第一は、調査・分析、技術開発といった従来の活動をもっと掘り下げ、かつ、身近で実践的なレベルでの成果が期待できるものにして欲しいというご意見であり、第二は、調査や技術だけでなく、業界が抱える商流の課題に対しても、あるべき方向を提示し、積極的に係わるべきではないかというご意見です。
最初のご意見については、ご指摘を真摯に受け止めて今後の活動の柱にして行きたいと思っております。
具体的には、一つに研究・調査がまとまればセンターの仕事は終わりというのではなく、むしろまとめた結果をどう普及させるか、事業の現場で成果を上げるにはどのような問題を除去しなければならないのか、といった実践面までフォローする姿勢を持つことが大切であり、この努力が重なれば、皆さまの要望に応えることができるのではないかと考えます。
そのためにも一人でも多くの方々がセンターとの接触を持って戴くことが先ず必要なことだと思います。
是非、お気軽に当センターにお立ち寄り下さるようお願いいたします。次のご意見については、なかなか難しい問題であります。
競合エネルギー問題とも絡む料金問題の在り方、流通経費削減の集約、協業の在り方等、自由化・規制緩和の中で早急に解決をせまられる課題が多くなるにつれ、このような要望が高まっているようにも思われますが、ご承知のごとく、センターは団体の性格からして商流の当事者ではありません。
LPガス業界内の改善・方向付けは、日団協を構成する商流当事者を中心とする方々の決意と行動にかかわるものであります。
しかしながら、当センターの設立主旨である業界の発展と活性化は、調査あるいは技術開発だけで達成できるものではありません。
当センターにとっての制約もありますが、業界発展のために、商流に係る問題についてもできる範囲で協力させていただく、ということも考えております。
折に触れ、主務官庁、会員の皆さま始め関係各位にご相談し、お知恵を戴きながら期待に応えるべく今後も頑張りたいと思います。』
今後も折に触れ、理事長の忌憚なき意見を紹介したいと考えております。
また、本紙面を借りて恐縮ですが、退任された末木凰太郎前理事長(株式会社ジャパンエナジー取締役副社長)には、当レポート創刊に際して多大なご尽力をいただきました。
改めて感謝の意を表します。
設備助成事業室からのお知らせ
−平成11年度 補助事業(助成制度)のご案内−
LPガスを利用した設備導入に係る、平成11年度の各種助成制度についてご案内します。
コージェネレーションシステムの導入に関して |
本システム導入による先進性・波及効果が見込まれること また、補助金交付条件は、対象経費の二分の一、又は9千万円のいずれか低い額で、単価125千円/kWを上限とします。対象はLPガスを燃料とするコージェネレーションシステムで、以下の要件を満足するものです。
- 単機250kW、全体で500kW以上の発電能力(設置対象建造物の全設備稼電力の1.1倍以内であること)
省エネ効果が5%以上
システムが供給する熱及び電力は民生用または業務用に使用されること
家庭用ガス冷暖房機導入時の融資制度について |
LPガス(またはLPガスを原料とした都市ガス)を利用した吸収式ガス冷暖房機やGHPを導入する際に、その費用(機器費と工事費の標準経費範囲内合計額)について指定銀行から融資を受ける場合に、金利の一部を補助する制度です。
- 家庭用(居住用住宅)に設置する場合に適用
室外機の冷房能力は22kW(7.5RT相当)以下
固定金利1.2%(9月30日までの運用利率)、返済期間5年以内
充てん所への自家発電装置導入に関して |
LPガスを燃料とした自家発電装置を充てん所に設置する際に、その費用の一部を補助する制度です。
- 20t以上の貯蔵能力を有す充てん所(オートガススタンドを除く)への設置する場合に適用
発電能力は充てん所の全設備稼電力の1.1倍以内であること
補助率は20%で限度額は16,800千円/件
本年度がラストチャンス(11年度が事業最終年度)
いかがでしょうか。上記要件に該当する計画をお持ちで、当該制度利用を希望される方は、ぜひご連絡下さい。
お問い合わせは、当センターの設備助成事業室まで。設備助成事業室 担当:小林、加藤 TEL(03)3507-0047 FAX(03)3507-0048
シリーズ「専務理事に聞く」
−社団法人全国エルピーガススタンド協会 内田 賢 氏−
LPガス関連団体の常勤役員としてご活躍中の専務理事にお話を伺うシリーズ「専務理事に聞く」の第3回目です。
今回は、全国エルピーガススタンド協会 内田専務理事にお話を伺いました。
なお、質問に対するご回答は紙面の都合上、編集部で要点を中心に再構成いたしましたことをご容赦願いたいと存じます。
全国エルピーガススタンド協会の重点施策をお聞かせください |
弊会は昭和38年6月、全国LPガススタンド協議会として設立し、昭和43年6月に社団法人の認可を受けました。爾来、弊会の主目的は、エルピーガススタンドの保安に関する調査研究、指導、啓蒙教育であり、その基本姿勢は今日も変わっていません。
従って、本年の重要施策の第一は、自主保安管理体制の確立と事故防止対策の強化推進です。また会員事業所及びLPガススタンドでの操業時における死亡事故ゼロの記録も36年余となっており、この継続も私どもの使命と考えています。
第二としては、LPガス車の普及促進です。LPガス車の車輌数のピークは平成2年11月の32万台で、以降微減傾向が続いています。この原因は自家用乗用車におけるタクシー中古LPガス車からガソリン新車への転換や、大都市部における個人タクシーのガソリン車指向がその主なものですが、ほぼ底を打った感もあります。一方、貨物車の分野では、逆にこの5年程僅かながら増加傾向が続いております。これは地方自治体におけるLPガス清掃車の導入、生活協同組合及び大手宅配業(日本通運、ヤマト運輸等)の増加がその要因と考えられます。LPガス車の排ガスのクリーン性については、以前より理解されている面も多かったのですが、ここに来て更にそれが進みつつあるという感を強くしています。
会員の皆さんには地方自治体のあらゆる分野でのLPガス車の導入を図っていただけるよう、資料を提供しながらお願いしております。また、実際に走行中の車がLPガスを燃焼としており、環境対策に寄与していることをアピールする目的で、この8月から東京を手始めに「タクシーは身近なパートナー この車は低公害な“LPガス車です”」というステッカーをタクシー車輌に貼付する運動を全国展開しております。
エルピーガス振興センターに期待することは |
振興センターにおいては、以前、大型車のリーンバーンエンジン(希薄燃焼)を手懸けられ、4トン積みのトラックとして日の目を見るに至りましたが、11年度からは更なる高効率LPガスエンジンの開発に取り組んでいただけることとなりました。我が国におけるLPガス自動車の技術開発は、元々ユーザーであるタクシー業界に依存した部分が多く、自動車メーカーもガソリン車に重点を置くのみで、LPガス車に対する思い入れは少ないようです。欧州では、LPガス車の技術開発が進んでいるとのことで、直噴式、デュアルタイプの乗用車が我が国に先行して走っています。これは、日本の法規制が障害となって立ち遅れたもので、決して技術力の差ではないと思います。今回振興センターが開発に着手される4トン積の高効率LPガスエンジン車が実用化されれば、欧州に肩を並べる以上の成果となると思われます。最近の東京都におけるディーゼル車規制の風潮等を見るにつけ、今回のエンジン開発に大きな期待を寄せるものであります。
行政サイドに対して期待することは |
自動車の排ガスのクリーン性については、先ず、電気、CNG、メタノール、ハイブリッドの4車種が低公害車として位置付けられています。行政サイドとしては、「助成措置とセットにして普及させる対象車輌」ということで正式な認可ではないという発言もありますが、既成事実としてこの4車種が「低公害車」として一般に認知されつつあります(その他に「低排出ガスレベル車」「クリーン車」等の呼称も使用しています)。一方、地方自治体やその集合体においても独自の低公害車の指定制度を作り、インセンティブを与えているケース等が見受けられますが、実体としては足並みが揃っていない感が強く残ります。
また、排ガス等の現状の規制については、ややもすると技術の進んでいるものには厳しく、遅れているものにはそれなりの対応をしているように感じられます。
このように、様々な呼称の問題や紛らわしい概念・規制値等について、判り易い将来像を提示していただきたいと思っています。
業界全体に対して期待することは |
5〜6年前迄は、LPガス車の普及促進活動というのは、弊会の専売特許のようなものでした。展示会についても神戸国際展示場や池袋西武百貨店等で開催したこともありますが、業界として盛り上がるには至りませんでした。平成5年11月LPガス自動車普及促進協議会が業界の総意で立ち上がり、ここ数年は全国各地でLPガス車の展示試乗会が開催され、また低公害車フェアへの出典等流通三団体の多大なご協力を受け、かなりの成果を上げていると感じております。
地方自治体へのLPガス車導入促進には、現車を見て乗ってもらうことが一番であり、この点でも皆様のご協力で開催できることに感謝しております。今後はLPガスの位置づけ向上の一助としてLPガス車の普及に努めたいと存じます。
今、特に興味を持っていることは |
新橋駅前、居酒屋“志ら滝”のご主人鈴木さんは、“狂”のつく野球好きです。住まいのある月島では子供達にソフトボールを教えているとのことで、彼の野球談義の奥深さは玄人はだしです。高校野球、プロ野球(特にジャイアンツの話)は勿論の事、彼の教えている子供達の話になるとボルテージが一段と上がり、目の輝きが増してきます。会話の端々に指導者としての真剣さと子供達への優しい心遣いが感じられ、夜の更けるのを忘れてしまいます。
そんな時、いつの日か私も30数年前のように高校生を相手にノックバットを握れたら…などと夢みたいなことを考えては、盃をあげている昨今です。
エルピーガス振興センターからのご報告とご案内
第七期中国研修生修了式 |
毎年、国際協力事業の一環として受け入れ行っている中国研修生(上海市煤氣銷售(集団)有限公司 18名、青島市煤氣公司 2名)の修了式が8月27日当センターにおいて行われました。10年度は研修生20名を受け入れ、例年通り昨年9月から一年間のLPガス研修(初めの2か月は東秩父村での集団研修、残り10か月は各受入企業での研修)が行われました。
修了式には受入企業7社(潟Tイサン、伊藤工機梶A新コスモス電機梶A富士工器梶A潟Pーイージー、仙台プロパン梶A三菱液化ガス梶jから幹部・担当者の方々にご列席いただき、受入企業を代表して潟Tイサン川本社長より来賓のご挨拶を頂戴しました。引き続き当センター専務理事 黒田より研修生にLPガス研修修了証の授与が行われ、最後に研修生を代表して李 団長から謝辞の挨拶がありました。その後行われた懇親会では、残り少ない日本滞在のひとときを和やかに過ごし、8月30日には研修生20名無事中国へと帰国しました。
以下、前述の李団長の日本語での挨拶を掲載します。李 団長(上海市煤氣銷售(集団)有限公司) 謝辞周思来元総理がかつて留学したことがある日本で、我々も1年間を過ごしました。私達は、体で覚えたLPガス技術と受入企業の皆様への感謝の気持ちとともに帰国の便に乗ります。
振り返ると日本での短い1年間は、私達の人生という名作の中に一番すばらしいページとして何回も何回も読み返しても飽きることはないでしょう。
昨年9月26日に第七期中国LPガス研修代表団20名は日本に到着しました。まるで昨日のことのようです。日本に来てすぐ東秩父村に入り、1か月の日本語研修を受けながら、村民たちとの文化交流も行いました。東秩父村では、日本人の”素朴さ・情熱・善良さ”がよく分かりました。企業に入り実務研修を始めてから、この印象が更に深まりました。海外での研修にも拘わらず、各企業の豊富且つ綿密な研修計画のおかげで、異国での孤独や寂しさも全然感じませんでした。日常の現場研修で日本人社員のまじめな勤務態度、高い作業効率や仕事のリズムの速さ、同僚の助け合いなどは、私達の心に深く残りました。特に、毎朝の朝礼の挨拶は社員達の愛社精神や責任感がよく現れております。
この1年間、日本のLPガス技術研修だけでなく、日本文化も勉強になりました。1月の初詣、4月の花見、8月のお盆。また、仙台の雪景色、大阪城の雄大な古代建築、日本の象徴として美しい富士山などすべて忘れられない思い出になりました。
私達は日本の進んだLPガス技術と共に日本の伝統文化、日本人の友情も一緒に研修の成果として自分の会社に持ち帰りたいと思います。帰国後は身に付けた日本のLPガス技術と管理方法、例えばバルク供給システム、LPガス安全集中監視システムや日本人の仕事姿勢を上海ガス・青島ガスに活かし、中国のLPガスの発展のため頑張ってまいります。
最後になりますが、この1年間大変お世話になりました各企業の皆様に改めて厚くお礼を申し上げます。
日本と中国のLPガス業界の交流がますます盛んになるように、両国人民の友情もますます深まるように、各企業のますます発展するようにお祈りいたします。なお、本年度もLPガス関連企業のご協力を得て、引き続き第八期研修生18名を受け入れるべく準備をしているところです。
インターネット経由で配信開始 |
ホームページURL: http://www.lpgc.or.jpLPGCレポートの本号(第4号)から、当センターホームページ上での参照が可能になりました。
今後は今まで以上に広範囲な業界読者層への情報提供を実践すべく努力して参ります。
ただひとつだけ気がかりなことがありまして、我々は情報提供や配信技術などのコンテンツ分野での仕事はまったくのアマチュアで、今後も試行錯誤の繰り返しで進んで行くであろうという点です。
したがって、業界関係者のお力添えをいただけますと非常に助かります。
ぜひ、ご意見、ご感想、ご批判等々お寄せいただければ参考にさせていただきたいと存じます。
Eメールアドレス: info@lpgc.or.jp
事務局より
本年7月にエルピーガス振興センターは設立10周年を迎えました。