LPGC WEB通信  Vol.45  2017.12.11発行 

中国・四国地方液化石油ガス懇談会の概要

 10月31日に中国地方懇談会(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)、及び11月
16日に四国地方懇談会(香川県・徳島県・愛媛県・高知県)を開催しましたので、概要を報
告します。
 中国地方懇談会は、昨年同様、広島市で開催しましたが、例年高松市で開催する四国地方懇
談会については、本年度は高知(高知市)での開催となりました。
 本年度9地方懇談会の最終会である九州・沖縄地方懇談会(11月24日 福岡市)の開催
概要については、次号で報告いたします。

液化石油ガス懇談会の概要
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、
       事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、
       関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  平成29年度は全国を9ヵ所に区分し開催する。
(3)参加者 消費者委員…………(消費者団体の幹部等)
       事業者委員…………(都道府県LPガス協会の幹部等)
       学識経験者委員……(知見を有する大学教授等)
       自治体委員…………(都道府県、市町村等)
       経済産業省…………(経済産業省、地方経済産業局及び産業保安監督部)
       オブザーバー等……(業界関係者等)
       報道関係


議事次第
(1)開会挨拶
 (中国地方懇談会) 中国経済産業局 資源エネルギー環境部       谷本 隆 部長
 (四国地方懇談会) 四国経済産業局 資源エネルギー環境部      橋場 芳文 部長

(2)資源エネルギー庁からの説明
 「LPガスが消費者から選択されるエネルギーとなるために」
 ~LPガス料金の透明化に向けた液石法省令等の改正、取引適正化ガイドラインの制定~
  (中国地方懇談会)資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課 佐々木 裕真 企画係長
  (四国地方懇談会)資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課   目黒 浩 課長補佐

(3)産業保安監督部からの説明
  (中国地方懇談会) 「最近の液化石油ガス保安行政について」
         中国四国産業保安監督部 保安課    森田 清樹 液化石油ガス監督官
  (四国地方懇談会) 「最近のLPガス保安行政について」
         中国四国産業保安監督部 四国支部 保安課    大川 庫弘 課長補佐

(4)自治体からの説明
  消費者からの相談事例及び対応について
                                各府県消費生活担当部署
  料金透明化・取引適正化に関する立入検査・帳簿検査実施状況及び今後の予定について
                                 各県LPガス保安担当部署

(5)懇談(消費者委員からのプレゼンテーション及び各委員との意見交換)
 中国地方懇談会
  消費者委員に対する、次の事前質問(意見)事項、即ち、
   ①エネルギー自由化時代にLPガスを選択してもらうためには?
   ②料金透明化・取引適正化への国の取り組みで実感した変化は?
   ③LPガス料金への疑問・不満、販売店に期待することは?
   ④LPガスの契約・取引について、販売店に期待することは?
   ⑤消費者団体で行っている啓蒙活動は?
   ⑥その他自由意見
  の6項目について、各消費者委員より約40件の質問や意見があり、各県の事業者委員、
  行政の三者間で活発な意見交換が行われました。
  ①の内容については、LPガス料金は安いに超したことはないが、まず料金透明化が重要
  であること、また現状では競争原理が働いているとは感じ難く、自由料金であるとの認識
  が浸透していないのが実態であり、LPガスを選んでもらう環境に改善すべきとの意見、
  ②については、国から料金透明化及び取引適正化の措置が示され、料金の公表も進みつつ
  あることの評価や、6月からの検針で請求書に基本料金と従量料金・原料費調整額が明記
  された例も挙がりましたが、事業者による一層の徹底と、行政による本措置の進捗調査と
  事業者への指導が求められました。
  また③④については、広島県生活協同組合連合会より日本生活協同組合連合会による調査
  「わが家の電気・ガス料金しらべ」の報告があり、賃貸型集合住宅に顕著である都市ガス
  との料金格差が縮まっておらず、他エネルギーとの比較においてどう優位性を持つのかと
  の問いかけがありました。また同調査報告で、契約時の14条書面交付の受領認識が消費
  者に薄いとの結果から、契約とその内容についてのわかり易い説明を事業者に求めまし
  た。加えて、検針や容器交換時に声を掛けて、等の要望もあり、消費者との接点が多い
  LPガスならではのメリットをもっと活かすべきとの意見がありました。
  その他⑤⑥については、各県LPガス協会との連携による保安講習会やLPガスを使って
  の料理教室の開催状況、また自治体に対する災害対応バルク設置の働き掛けについて、消
  費者団体が会報を通じ会員にPRを行っている状況等が報告されました。

  事業者委員からは、消費者委員の質問・意見への回答として、料金透明化・取引適正化へ
  の取り組み状況、災害への対応、保安及び高齢者対策や火育・食育を通じてのPR等の取
  り組み状況等が、用意された資料により報告されました。
  料金の決定については、自由料金を旨としており、各事業者の自主判断に委ねざるを得な
  いが、業界は、料金透明化及び取引適正化を第一義とする一方、充填所の共同利用や容器
  の共同配送等によりコスト削減も進めており、マイコンメーターの設置やSiセンサーコ
  ンロの普及にも力を入れて保安面の更なる強化に取り組んでいるとの表明がありました。

  また、資源エネルギー庁からは、各自治体の消費生活担当部署に対し、消費者相談が
  あった際は、併せて各県LPガス協会に設置している「LPガスお客様相談所」も紹介
  し、活用してほしいこと。ホームページで「適正な」LPガス料金を提示すると謳う団体
  があるが、本来「適正料金」とは、消費者が納得して契約した料金であり、提示された価
  格を鵜呑みにしない様に注意すること。加えて、賃貸型集合住宅の事業者切り替えについ
  ては、あくまで液石法上の契約の主体は大家ではなく入居者であり、入居者全員の同意ま
  たはその委任を受けた大家が、事業者に対し切り替えを申し出、残ガスの問題が無けれ
  ば、1週間以内に既存事業者は撤去の上切り替えとなるので、この段取りを踏まえてほし
  い旨のコメントがありました。
  更に、賃貸型集合住宅の住設費用負担問題について、自治体は同費用の家賃への算入につ
  いて国土交通省への提言を要請し、また事業者からは本件について大家や不動産業者だけ
  でなく建築士も絡む場合があるとの説明があったが、資源エネルギー庁として本件につい
  ては調査実施の検討段階にあり、関係省庁を通じ実行面が確保できる方策や今後のアン
  ケート及び調査対象等の具体策について検討中であるとの表明がありました。

 四国地方懇談会
  四国地方懇談会でも、消費者委員より約40件の質問・意見が寄せられました。料金透明
  化・取引適正化については、大部分の消費者委員は、料金算定根拠の通知義務化等の取り
  組みは良いが、消費者として変化の実感が今のところ無い、との意見でした。高知県消費
  者委員より、まだ合算値一本の請求書だが、事業者との信頼関係が築けているので現状で
  結構と思っていたところ、同委員が参考に倉敷市在住の身内からLINEで取り寄せた
  LPガス料金明細書の画像では、使用量・基本料金・従量料金・料金メニュー等の算定根
  拠及び検査日等が明記されており、やはり事業者は他県の好事例を参考にして欲しいと訴
  えました。
  他の消費者委員からも、料金は基本料金と従量料金の合算であることや、料金が事業者に
  より異なり、格差も大きいことを最近知った、これでは自由化ではなく不公平?との意見
  もあり、途上にある料金透明化の早期進行が期待されました。
  更に、こうち生活協同組合からは、日本生活強度組合連合会による調査「わが家の電気・
  ガス料金しらべ」で、LPガスは元々自由料金であることの認識、また契約時の14条書
  面交付において受領認識が、どちらも四国地方で薄いとの結果が出ており、消費者がエネ
  ルギーを選ぶ際にメリットが解る様な仕組み作りと、未来を考える消費のあり方の追求を
  業界に強く求めました。

  これに対し事業者より、料金透明化・取引適正化については、講習会の開催により事業者
  への啓蒙に努めており、料金明細の記載については時間がかかっているが目下システム等
  の対応中であること、また標準的な料金について勉強会を開催の上、経済産業省の指導に
  沿い、ホームページを作成して料金公表する様呼び掛けており、LPガスを選んでもらう
  環境作りへの取り組みについて説明がありました。
  また、南海トラフ地震対応で災害に対する意識の高い地域として、各県とも熱心な防災訓
  練の実施状況や、中核充填所、災害対応バルクの設置例等について詳しい説明がありまし
  た。

  資源エネルギー庁からは、昨年度実施した料金公表状況調査(エルピーガス振興センター
  が受託)については、フォローアップのため引き続き本年度も実施し推移状況を確認する
  予定であること、また本年9月より経済産業省としても管轄の56事業者に対し立入検査
  を実施しており、経済産業局及び自治体による本年度の立入検査の状況も含め、省/局/
  自治体各々の解釈が異ならないよう、実施後の振り返りについて、形式は未定だが会議を
  開催する予定があるとの表明がありました。

(6)総括コメント(学識経験者委員)
 中国地方懇談会    広島経済大学 経済学部 メディアビジネス学科 北野 尚人 主任教授
(今回初就任)
  「消費者に選ばれる」をテーマとしての議論であったが、選ばれるまでには他エネルギー
  との競争が生ずる。また、ビジネスにおける競争では、相手を知ることが非常に重要であ
  るが、本日はその両意識があまり感じられなかった。
  各委員間のやり取りでは、国・自治体・事業者は一生懸命に取り組んでいるが、残念なが
  ら消費者にきちんと伝わっていないのでは、との疑念から、丁寧でわかり易いコミュニ
  ケーションがこの業界には必要であると、広告代理店で36年間コミュニケーションを研
  究したプロとして感じた。

  冒頭の資源エネルギー庁からの説明資料は、正確だが読みにくい。消費者向け以外の国や
  自治体の文書は、正確さが優先されるので、字数が多く読みにくいのは致し方ない。しか
  し、事業者がパンフレット等で消費者に伝える際は、専門用語は使わず、かみ砕いて表現
  する必要がある。
  また、呼称がLPガス、LPG、液化石油ガス、プロパンガスと様々。学生は、全部違う
  ものだと思っている。丁寧なコミュニケーションを図っていくという点で、名称の統一化
  を提案する。

  資源エネルギー庁の説明の中で、料金請求時に基本料金/従量料金の区分がなく使用量と
  請求額のみの記載についての苦情が多く、業界の「イメージ」を損なっているとのコメン
  トにもあった通り、選ばれるためには「イメージ」を良くしていく必要がある。LPガス
  にはその構成要素として、「自由料金」「料金透明化」「災害時の役割」等の好パーツが
  存在しているのだから、それを丁寧に伝えていくべきである。
  更に、7割の事業者が、見込みも含め来春までに料金メニューを公表するが、残る3割の
  事業者を含め公表の有効性を担保するためには、やはり罰則等が必要と思われ、国や自治
  体がどの様に進めるかが一つの課題である。

 四国地方懇談会                   高松大学経営学部 植木 英治 教授
  一昨年以来の出席だが、従前よりここで話されてきたことが活かされ、省令改正やガイド
  ラインの制定に反映されたものと感じた。
  まだスタートから間もなく、具現化されていない部分が多々あるが、業界が改善を進め、
  行政がよりきめ細かい指導を行うことで、実現していくものと思われる。
  諸意見については消費者に分があるが、事業者も行政も改善は国民生活の向上に繋がるこ
  ととなるので、更にこの懇談会での議論を活かしていくことを望む。

開催風景・中国地方液化石油ガス懇談会

中国経済産業局資源エネルギー環境部谷本部長による開会挨拶。右へ順に中国経済大学北野教授、
資源エネルギー庁佐々木企画係長、左は中国四国産業保安監督部森田液化石油ガス監督官


挨拶及び基調説明する資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課 佐々木企画係長

消費者相談事例や立入検査等の状況を報告する自治体委員

実態を説明の上事業者や行政に対し意見・質問する消費者委員

消費者委員からの質問・意見に対し取り組み状況を踏まえ真摯に回答する事業者委員

 
LPガス業界に対し「丁寧なコミュニケーションを!」と総括した、学識経験者委員初就任の北野教授。

開催風景・四国地方液化石油ガス懇談会 

 
 四国経済産業局資源エネルギー環境部橋場部長による開会挨拶。
左は中国四国産業保安監督部四国支部保安課大川課長補佐。

 
 挨拶及び基調説明する資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課 目黒課長補佐

 
 消費者相談事例や立入検査等の状況を報告する自治体委員

 
料金透明化・取引適正化の徹底を要望する消費者委員 

 
消費者委員からの質問・意見に対し取組状況を詳細に亙り説明する事業者委員 

 
国民の生活向上に資するべく改善を祈念した高松大学経営学部 植木教授 

(広報室/野村 晃久)