LPGC WEB通信  Vol.22  2016.01.04発行 

第28回世界LPGフォーラム報告 Part.3

 本年の世界LPG協会(WLPGA)主催「世界LPGフォーラム」は9月28日~10
月1日、シンガポールのサンテック国際会議・展示場で開催されました。今月号は10月1
日フォーラムの講演内容を中心に報告します。今回は最終回です。

 セッション3:チャンスを逃がすな

フィリップ・ショー (アーガスメディア)
「チャンスを逃がすな シンガポール」


●LPGの価格は安定期があるか No 今の価格制度は継続されるか Yes
 LPGの国際価格設定の分水嶺があるか No
●LPGファンダメンタルズ 2004年-2014年 生産4.1%アップ
 消費4.0%アップ
●米国シェールと中東のガス処理が2025年25百万トン余剰のキードライバーである。
●好機とリスク:LPGは構造的に余剰 ナフサも同じ 両者で廉価競争となる
●有益、低炭素、豊富なLPGの需要を促す世界 
●世界のエネルギーミックスでLPGは潜在力を発揮する


ロブ・ドナルドソン(タルガリソーシーズ)
「チャンスを逃がすな」


●2014年4Qから2015年2Qでリグ数は激減した。
●550+千bdエタンが廃棄
●リグ効率が向上
●「スーパーパッド」が24井に集約される。
●水平横堀が生産を最大化
●複数地層で累層掘削
●井戸の生産は伸びている。
●製油所は横ばい
●製油所はプロパンを自家燃で使用
●2015年9月11日時点 リグ数56%減(前年対比) プロパン生産4%減(前年対比) 
●モントベルビューの分留能力 ガルフの輸出ドックの整備が進んでいる


アーマド・バンバン(プルタミナ)
「上流の嘆き下流の好機」


●油価とガス価の下落と弱いドルで産ガス国は危機的状況に
●一方LPG新興国はこの恩恵で好機が多数到来した。
●インドネシア LPG伸び率5%から8%へ 2015年には65%の純輸入国へ ガソリンは
 補助金無しへ 油とガスの補助金8割減へ 補助金予算は34%減
●補助金0へ向けてマーケット発展の好機が多数生まれた。


ドーナル・マーフィー(DCCエナジー)
「LPG充填DCCの成長」


●DCCは1994ロンドン証券市場へ上場(1994) 従業員1万人 14か国で操業
●売り上げ2兆円 ROCE18.9% 経常420億円
●ビジョンは「燃料と関連商品とエネルギー消費者へのサービス提供の販売、マーケティン
 グ、配送とで国際的リーダーになること」
●「ブタガス」ブランドはフランスのLPGシェア25%成熟マーケットでLPGのマーケテ
 ィング


アルバート・デ・ギースト(リクイガス)
「LPG充填DCCの成長」


●ニュージーランド 生産21万トン 需要16.5万トン(伸び率4-6%) 
●家庭業務用(45Kg容器43% 9Kg容器13%) 産業用31% フォークリフト8% オー
 トガス5%
●価格 NZの卸価格は需給により乱高下する。小売り価格は下がっていない。価格はガス価
 値により下支えされている。
●LPG国際価格の分水嶺があるか おそらくNo 価格安定性は おそらくNo 手頃感は
 たぶんYes



 セッション4:エクセプショナルエネルギー実行中

ルネ・セジャー・ローセン(マン) 
「2ストロークエンジン用低サルファー新燃料:LPG」


●2015-2016年 重油・ガス併用新造船3隻就航 NG船 メタノール船 エタン船 
●なぜLPGか
 低サルファー コストセービング 脱硫装置初期投資より安価 将来の燃料選択幅拡大 
 改造が容易 積荷から補給する場合はバンカーリングの時間と料金の節約可
●LPG対TierII重油(%) NOx15-20 SOx90-95 PM90 CO₂10
●メインインジェクションからガス注入 パイロットインジェクションには重油使用 



ルーベンス・バサグリア(Xテック)
「LGIシステム:眠れる巨人を起こす技術」


●IMMISSシステムとは
●Integrated 統合された
●Multifunction 多機能の
●Multipurpose 多目的の
●Injection 噴射
●System for Sealed and Pressurized fuels 密封・加圧燃料用システム



アバス・ビルグラミ(PERC)
「大型発電のLPG使用」


●LPGは30,000Mw分の重油、ディーゼル油、ナフサ焚きの発電所に代わりえる
●再生可能エネルギーと共同利用できるLPG
●都市ガスとLNGの理にかなったバックアップ燃料である。
●LPGは調理、暖房を担う電気の完全な代替燃料である。
●経済的、運搬性、安全性、清浄性はLPG世界で発電用燃料として使用する要因となるべし。



ショーン・ギッチョン(アルガス)
「合成天然ガス(SNG) LPGの好機」


●SNGのコスト 40-50%タンク 25-35%機器 25-35%エンジニアリング・設置費
●LPG・空気混合の規模に技術的制限なし
●一般的には高圧は高コスト
●制御は完全に自動化
●建設期間 小システム 3月 大システム 6月
●SNGはLPG企業が最大の使用者である都市ガスユーザーに直接マーケティングするこ
 とを可能にする。
●SNG混合は顧客が燃料を換えたり最廉価の燃料を使用できるようにする。
●移動機器にも使用できる。
●発電にも使用できるが、タービンは高圧を要求するので濃縮が問題 エンジンに使うには
 特別な混合比が必要である。



ジョージオ・バサグリア(グリーンギア)
「前を見据えて」


●グリーンギアはカヴァニャグループと歩を一にする
●小エンジン 1億台以上生産(ホンダ Kawasaki スバル コーラー ブリッグス&ス
 トラトン)
●芝刈り機 1000万台 0.304百万KL
●発電機 1250万台 フードトラックは年間ピロパン6.4千KL使用、3百万台とすれば全体
 で1.9百万KL
●水中ポンプ 0.152百万KL
●全体では2.4百万KLの需要となる。
●グリーンギアはLPG容器も多用途で使用し消費量をアップさせている。


 セッション5:地平を越えろ

エリック・ハーン(エルガス)
「オートガスビジョン」


【問題点】豪州オートガス 6年間で110万トンから70万トンへ急減
 ●エンジン改造の政府補助がオーナーの改造意欲に結びついていた
 ●2006年から2013年は改造費「ただ」だったが2014年以降中止された。
 ●同時に2011年12月2.5セント/L 2015年7月12.8セント/Lの課税
【ソリューション】価値提供は魅力的でなくてはならない
 ●改造費1,500-2,500ドル 快適要素(トランク内タンク 安全性 給ガスノズル)
 ●インストーラ―・ネットワークの質と評判
【戦略】
 ●新需要の創造 新しいLPG車の販売と中古車の改造
 ●顧客重視 モットーは「顧客を勝たせて勝負に勝つ」
 ●3,200SSのネットワーク保持とインフラ整備


スチアート・ウェイディ(ブロスマンガス)
「オートガスビジョン」


●フリート顧客がブロスマンガスの収益の基盤である
●フリート顧客は「完全な問題解決」が提供されれば「浮気」買いをしない。
●LPG会社は協力会社を通してフルレンジのサービスを提供すること ガス販売の範疇を
 越える
●LPG会社内での技術的専門性が要求される。(車両 充填 インフラ サービス&メン
 テ)



ニッキ・ブラウン(カヴァニャグループ)
「LPGのイメージを変えるWINLPG」



●女性の支持と確保のためのビジネス・ケース
●LPG業界へ女性力を生かせ
●プロパン専門職に向けて女性の教育とLPGの魅力をアピール




オリヴィエ・レヴァロワ(カーボンクリア)
「LPGの隠れたジェンダー影響」


●スーダンの人口95%はバイオマス使用。
●森林伐採で10本のうち1本しか再生せず。
●コンロ+容器が1月のサラリーと等価である。
●ダルフール 低排煙コンロ・プロジェクト
●コンロ15,000個を配送する。
●地域婦人会が実行グループである。
●画期的な金融制度でコンロ+容器を入手しやすくする。



アシャン・デ・シルヴァ(ラーフガス)
「きれいな調理 無駄のない暮らし」


●スリランカ 人口2,200万人のうち30%LPG 67%バイオマス 100万人がプランテーシ
 ョンに従事(最高級セイロン茶30万トンの産地 GDPの15%相当)
●全人口の67%がバイオマス調理で命の危険に 薪使用で83%が肺疾患に
●「きれいな調理 無駄のない暮らし」推進 
●プランテーション・ヒューマン・デベロップメント・トラストと長期パートナーシップを
 組む
●容器+調整器+コンロを廉価で斡旋する
●18か月で5万世帯に普及させた。



次回の29回大会はトルコのイスタンブールで開催
会場:Istanbul Lutifi Kirdar – International Convention and Exhibition Centre
日程:H28年9月27-29日

(調査研究部/岩田稔)